Archive for the ‘れきはく・今日の出来事’ Category

大野ヶ原小学校で平和学習

2022年7月15日
授業風景
資料を見つめる児童たち

 7月12日(火)、西予市立大野ヶ原小学校で平和学習を実施しました。平和学習は戦後70年を機会に取り組み始めた事業です。その特徴は、学芸員が戦時資料を学校に持参し、資料を見て、触れて、感じてもらいながら戦争の悲惨さと平和の大切さを考えることです。博物館を出発して約2時間。大野ヶ原は気温21度の涼しさ。13時のチャイムと同時に、児童のみなさんの気持ちのよいあいさつで平和学習が始まりました。

 平和学習に参加した児童は6年生1名、4年生2名の計3名。まず、満州事変から終戦に至る歴史の流れを説明し、「ヘイタイ人形」、「戦艦文鎮」、「国民学校の通知表」を通して子どもたちの身の回りにも戦時色が表れていったことを紹介しました。

 続いて、配給制度や切符制度について、米の配給量を見せながら給食と比較したり、衣料切符でスカートやズボンを買う場合を想定したりして、当時の苦しい生活を振り返りました。また、戦前の兵役制度について説明し、出征兵士が身に着けていた千人針について紹介しました。その製作方法、5銭玉や10銭玉が結び付けられている意味を説明すると、児童のみなさんは当時の女性たちに思いを馳せているようでした。

 愛媛の大きな空襲として、松山・今治・宇和島空襲を紹介しました。松山空襲で投下された焼夷弾の殻を手にしながら、形や重さ、77年を経ても消えることのない焦げ臭さなど、五感を通して空襲の惨状を想像してもらいました。6年生は修学旅行で長崎に行くと聞いていたため、長崎型模擬原爆「パンプキン」についても触れました。長崎に原爆が投下される前日、宇和島に「パンプキン」が投下されていた事実を伝えると、大変驚いていた様子でした。

 最後に、鉄兜、防空頭巾、ゲートル、もんぺを実際に身に着けてもらう体験コーナーで2時間の授業をしめくくりました。

 児童のみなさんからは、「歴史に関心をもつことができた」、「体験を通して当時の様子がよくわかった」、「今後は戦時下の郷土にも関心を持ちたい」といった感想を聞くことができました。戦争体験者の高齢化が進む中で、戦時資料が果たす役割は益々大きくなると思われます。今後も戦時資料が語り掛ける声を児童・生徒のみなさんに伝える役割を担いたいと思っています。平和学習のご依頼については、お気軽に博物館までご連絡ください。

ロビー展「青谷弥生人がやって来た」開幕!

2022年7月9日

本日(7/9)より、ロビー展「青谷弥生人がやって来た!」が開幕しました。本展は、鳥取県鳥取市にある青谷上寺地遺跡(あおやかみじちいせき)で2000年に発掘された人骨を基に、弥生時代後期(約1800年前)の男性の顔を鳥取県が復元したものです。2021年10月に復顔が公開されるやいなや、SNSなどで「誰かに似ている」と話題となり、そっくりさんを決めるコンテストや名前の募集が行われました。

そして2022年度、鳥取県の弥生時代・文化の魅力を全国に発信することを目的とした「とっとり弥生の王国プロモーション推進事業」の一環として、「青谷上寺朗(あおやかみじろう)」の復顔像の移動展示(ミュージアムキャラバン)が開催されることになり、7月24日(日)までの間、当館のエントランスホールにて無料で見学できます。写真撮影も可能です。是非、この機会に、弥生人に会いにきませんか。 また、最終日の7/24(日)13:30~15:00にはで関連事業として濱田竜彦氏(鳥取県地域づくり推進部とっとり弥生の王国推進課)による考古講座 とっとり弥生の王国プロモーション推進事業「日本海を望む弥生の村と人々」を開催予定です。定員は150名・ハガキ、当館HPからもお申込みできます。ロビー展と合わせて、山陰の弥生文化を学んでみませんか ?

【歴史文化講座】愛媛の災害と言い伝え

2022年6月18日

竹井賢二先生の講座「愛媛の災害と言い伝え」

本日は、竹井賢二先生による歴史文化講座「愛媛の災害と言い伝えー自然災害伝承碑に学ぶー」が行われました。

昭和18年7月の豪雨により、重信川の堤防が決壊し、現在の松前町域の大部分が浸水被害を受けています。竹井先生は、当時松前町内に居住し、水害を体験された方々から聞き取り調査を行い、その成果を、古写真や地図などを交えながらわかりやすく紹介していただきました。

また、国土地理院が令和元年に地図記号に制定した「自然災害伝承碑」のうち、愛媛県内で登録されている12件や、未登録の伝承碑などもご紹介いただきました。

この6月から7月にかけての梅雨時期は集中豪雨による水害、土砂災害が発生しやすい季節。今回の竹井先生の講座からは、それぞれの地域において、過去の災害の体験者から直接お話をうかがうことで、地域の災害履歴を確認する大切さを学びました。竹井先生、ありがとうございました。

#災害 #重信川 #松山市 #松前町 #砥部町 #東温市 #水害 #西日本豪雨 #昭和18年7月水害 #自然災害伝承碑 #愛媛 #愛媛県 #博物館 #歴史 #民俗 #国土地理院 #地理院地図 #地図 #愛媛県歴史文化博物館

正保伊予国絵図の修復について

2022年5月18日

当館が収蔵する「正保伊予国絵図(しょうほういよのくにえず)」の修復を行うため、専門業者への引き渡しがありました。この修復は(公財)住友財団の一部助成を受けて行うもので、令和4年度、5年度の2年間を予定しております。

正保伊予国絵図は、縦横ともに7メートルを超え、全国の国絵図の中で最大級のものといえます。裏書などにより、本図は松山藩が幕府に提出する原本と同時平行して作成していた控図に当たることが判明しています。縮尺は6寸1里(約21,600分の1)。城・陣屋・古城をはじめ村名や村の生産力を示す石高、主要街道、船路など詳細な交通情報が記されています。

巨大な絵図であるため、折り目部分に負荷が大きく、現在は大きく二つに分裂しているほか、紙の継ぎ目の糊はがれが生じ、一部に画像のズレも見えます。

引き渡しの様子は報道機関にも公開、多くの取材があり、絵図の一部を広げて、国絵図の詳細な情報を御覧いただきました。修復後には絵図の高精細デジタル撮影を行い、当館HPの「絵図・絵巻デジタルアーカイブ」で公開する予定です。

本日開幕しました。特別展「古代文学と伊予国」

2022年2月11日

特別展「古代文学と伊予国」開幕しました。資料総点数212点、古典籍約120点を4月7日まで公開します。

最初の展示資料は『古事記』上巻。イザナギノミコトとイザナミノミコトによる国生み神話です。伊予之二名嶋(四国のこと)を生み、この島は、身(からだ)は一つであるが、面(顔)は四つあると記されています。そして伊予国を愛比売、讃岐国を飯依比古、粟(阿波)国を大宜都比売、土佐国を建依別と呼ぶと書かれています。現在の愛媛県の県名の由来となった記事です。この愛媛の「愛」を出発点に、今回の特別展では、恋愛、家族愛などの様々な愛のカタチを紹介しています。

また、 特別展「古代文学と伊予国」の関連書籍として、本日より、伊井春樹(当館名誉館長)著・愛媛県歴史文化博物館編『愛媛の文学資料』(四六版、320頁)を販売しています。愛媛県に継承された『古今和歌集』、『伊勢物語』、『源氏物語』などの古典籍を約120項目にわけて、解説しています。価格は1500円(税込)。販売は博物館ミュージアムショップにて。もしくは博物館0894-62-6222までお問合せください。1冊送料310円となっています。

博物館実習

2021年11月10日

11月9日(火)~14日(日)の6日間、博物館実習が始まりました。博物館実習は学芸員資格を得るために習得しなければならない単位です。今年度は県内から3名、県外から1名の大学生が申し込まれました。県内の方は当初予定していた8月17日(火)~22日(日)に実習を行いましたが、コロナウイルスの感染拡大のため、県外の方はこの時期の実習となりました。昨日から実習に臨んでいる方は山梨県にある都留文科大学でイギリス文学を学ばれている学生さんです。

今日から本格的に資料整理実習が始まり、午前中は歴史資料の取り扱い方や資料の撮影について実習しました。撮影した資料は、西条藩初代藩主松平頼純の死後に行状をまとめた「頼純主行状」です。撮影するたびに頁をめくるのですが、無理な姿勢が続くため疲れが出てきます。意外と大変な作業です。実習生に尋ねると、イギリス文学を専攻しているので、このような資料を手にするのは初めてとのこと。今後、民俗資料や考古資料の整理実習も行う予定です。資料の性質に応じた扱い方を学んでいただければと思います。

寒暖差の多い季節の変わり目、体調に気を付けて6日間乗り切ってください。

実習風景

歴史資料の写真撮影

「大名の船」サテライトシンポの準備できました

2021年10月30日

いよいよ明日の10月31日に、特別展「大名の船-海の参勤交代-」に関連したサテライトシンポを、新居浜市の愛媛県総合科学博物館を会場に開催します。報告者からのレジュメも揃い、コピーも完了しました。37ページの充実した内容です。あとは開会を待つばかり。ぜひご来場ください!

充実のレジュメ集

サテライトシンポジウム

タイトル:「大名の船-海の参勤交代-」

日  時:令和3年10月31日(日)

     13:00~17:00

場  所:愛媛県総合科学博物館 多目的ホール

     新居浜市大生院2133-2

概  要:

 愛媛県歴史文化博物館の特別展「大名の船―海の参勤交代―」に関連して開催するシンポジウムです。徳島藩・西条藩・小松藩の事例報告から、戦闘を目的とした大名の船が、参勤交代の際に人を運ぶ手段へと性格を変えていく過程や華麗な船行列の様相も紹介します。また、講演会では、より視野を広げて、参勤交代で江戸に滞在することになった藩士の暮らしぶりについても取り上げます。

スケジュール:

 13:00~ 開会

 13:10~14:10

   講演   勤番武士の江戸滞在生活

         岩淵 令治氏(学習院女子大学 教授)

 14:20~16:20

   報告1  阿波の水軍森家と徳島藩

         根津 寿夫氏(徳島市立徳島城博物館 館長)

   報告2  西条藩主松平頼純の生涯と国入りの船行列

         前田 正明氏(和歌山県立博物館 学芸課長)

   報告3  小松藩の参勤交代

         井上 淳(愛媛県歴史文化博物館 学芸課長)

 16:30~17:00 パネルディスカッション

令和3年度の博物館実習が始まりました。

2021年8月19日

 8月17日(火)~22日(日)までの日程で、博物館実習が始まりました。新型コロナウィルスの感染者が拡大する中、開催が危ぶまれましたが、参加者を県内の大学に通う学生のみとし、マスクの着用、毎朝の検温、換気、手指消毒等・感染対策を行い、実施しています。

 実習に参加している3名の学生は、初日のオリエンテーションや施設見学等を終え、2日目の18日は資料の写真撮影(巻子や冊子等)や整理に係る計測等の実習を行いました。

 今後は、「教員のための博物館の日」の運営補助やワークショップの対応等も行う予定です。

 例年になく、雨が続いておりますが、体調に気をつけながら、皆さん頑張ってください。

テーマ展「東予と南予の弥生文化と青銅器」開幕!

2021年7月17日
展示室入口
展示室入口

7/17よりテーマ展「東予と南予の弥生文化と青銅器」が当館考古展示室にて開幕しました。本展は、令和3年度京都国立博物館考古資料相互活用促進事業に伴い、西条市福成寺天神谷出土平形銅剣5点、(伝)西予市宇和町出土広形銅矛1点が里帰りすることを契機に、主な東予地域・南予地域出土の青銅器とともに、近年、発掘調査が進んでいる東予地域と南予地域の弥生時代の遺跡の調査成果を紹介するものです。

展示は12/5までの予定です。開催期間中には、4回のテーマ展関連講座を予定しています。この機会に是非、ご覧ください。

展示状況
展示状況

第43番札所明石寺と大寶寺道体験ウォーキング実施しました

2021年3月1日

令和3年2月27日(土)、四国八十八箇所霊場第43番札所明石寺と大寶寺道体験ウォーキングが行われました。参加者は約50名。 最初に、当館のエントランスホールに集まり、開会式のあと、当館の常設展「密●空と海-内海清美展」を見学、そして現在開催中の特別展「明石寺と四国遍路」を観覧しました。

展示室では、明石寺所蔵の県指定有形文化財「絹本著色熊野曼荼羅図」(室町時代)、本尊千手観音像の眷属とされる二十八部衆、風神・雷神像(鎌倉時代)などの迫力ある仏像彫刻など、明石寺の絵画、彫刻、工芸、古文書などの文化財、四国遍路関係資料を間近に見ていただきました。

その後、歴博から白王権現(明石寺奥之院)を経由し明石寺までウォーキング(約1㎞)しました。

明石寺では明石清澄ご住職のご協力によって、本堂内を特別に拝観させていただきました。また、ご住職からは明石寺の歴史について、愛媛大学四国遍路・世界の巡礼研究センター長の胡光教授からは、愛媛の四国霊場の特色についてお話しがありました。

境内を散策した後は、明石寺から国重要伝統的建造物保存地区の卯之町中町までをウォーキング(約1㎞)しました。この道は国史跡の「伊予遍路道 大寶寺道」に指定されています。

 天気にも恵まれて、博物館の見学、遍路道ウォーキング、明石寺特別拝観、卯之町中町散策など、盛りだくさんのメニューでしたが、参加者からはとても充実した体験ウォーキングができて良かったとの感想を多くいただきました。

明石寺の寺宝を特別公開する特別展「明石寺と四国遍路」は3月14日(日)迄。とても貴重な機会なので是非ともお見逃し無いように。