Archive for the ‘常設展おすすめ情報’ Category

テーマ展「江戸・近代の絵巻を楽しむ」開幕!

2014年11月29日

テーマ展「江戸・近代の絵巻を楽しむ―博物館コレクションから―」が本日11月29日(土)に開幕しました。

会場は、文書展示室です。

愛媛県歴史文化博物館では、平成6年の開館以来、愛媛の歴史や人々のくらし・文化に関わるさまざまな資料を収集してきましたが、今回は、博物館コレクションの中から、江戸時代・近代の絵巻を特集展示しました。

瀬戸内海の航路、海上交通をビジュアルに描いた「西国海路図絵巻」(江戸時代中期、当館蔵)

別子銅山における銅の採掘から精錬までの過程を描いた「別子鉱山図巻」(明治18年、当館蔵)

道具の妖怪が大行進する姿を描いた「百鬼夜行絵巻」(江戸時代写、当館蔵)

宇和島市吉田町の吉田秋祭りの江戸時代後期の様子を描いた「吉田祭礼絵巻」(大正5年写、当館蔵)

この4点を、大パノラマのように広げて展示しています。

絵巻資料は、通常展示室では展示スペースの関係上、長い幅で広げて展示、紹介することが難しいのですが、今回は4点に絞り、なるべく多くの場面をご覧いただけるようにしています。

会期は、平成27年1月25日(日)までとなっています。(常設展示観覧料で観覧できます。)

テーマ展「すえのうつわもの-館蔵品の須恵器紹介-」開催中

2014年11月7日

10月11日(土)より、考古展示室にて「すえのうつわもの-館蔵品の須恵器紹介-」と題したテーマ展を開催しています。

これは、当館保管の須恵器のうち、5世紀後半から8世紀ごろのもの、およそ300点を展示し、時期ごとの変遷や器種の多様性を紹介するものです。

展示している須恵器の出土した遺跡名を列挙しますと、展示室入って右側から順番に、上難波南10号墳、松環古照遺跡、久米窪田Ⅴ遺跡、上難波南0号墳(いずれも松山市)、経ヶ岡古墳(四国中央市)、上三谷原古墳(伊予市)、大小谷谷窯跡(四国中央市)、尾土居窯跡(西条市)、片山1号墳、同4号墳、同7号墳(いずれも今治市)、池の内遺跡(西条市)です。

また、展示室中央部では、上三谷4号墳(伊予市)から出土した大型の壺や、池の内遺跡から出土した大型の甕、大下田2号東墳(砥部町)から出土した器台、上三谷2号墳(伊予市)から出土した装飾須恵器などを展示しています。

本テーマ展は、来年4月5日(日)まで開催しております。常設展示室の一部ですので、常設展示観覧料が必要(小中学生は無料)となりますが、須恵器の優美な形や古代人の技を感じに、ぜひ見にいらしてください。

また、平成27年2月7日(土)には、三吉秀充氏(愛媛大学埋蔵文化財調査室講師)による講座「須恵器の生産と流通」も開催されます。そちらもあわせてご参加ください。

テーマ展「悼みのかたち-縄文・弥生時代のお墓-」の開幕

2014年3月21日

今年度、考古展示室においては「常設展示室における復元住居の遺跡-半田山遺跡と片山内福間遺跡-」、「発掘された伊予の井戸」といった2つのテーマ展を行ってきました。それぞれ生活を営む上で重要となる「住居」と「井戸」をテーマに企画したものですが、今回は「悼みのかたち-縄文・弥生時代のお墓-」と題した「お墓」の展示を行います。

古来より、墓には、単純に地面に穴を掘っただけの土坑墓や、土を盛って築いた墳丘墓、土器棺や木棺を使って埋葬した墓など様々な形態があり、こうした特徴の違いは、時代や地域など、人々の死生観や社会構造の変化が大きく反映しているようです。また、そこから出土する人骨や副葬品は、人類学や考古学にとって大変貴重な資料も多く、当時の社会を知る上で重要な手掛かりとなっています。

そこで本展では、北井門遺跡2・3次調査(松山市)・持田町3丁目遺跡(松山市)・水満田(みつまた)遺跡(砥部町)といった縄文時代後期末~弥生時代後期の遺跡を中心に取り上げ、縄文人・弥生人の埋葬に対する意識や習俗、社会構造の変化について紹介したいと思います。

本テーマ展は、6月8日(日)まで開催しております。常設展示室の一部ですので、常設展示観覧料が必要(小中学生は無料)となりますが、ぜひ見にいらしてください。

お正月の支度

2013年12月25日

 年の瀬も近くなり、博物館でもお正月支度が着々と進んでおります。
 先日は民俗展示室2の復元家屋に並べられている食事模型がお正月のものに変わりました。

海のいえでの展示替えの様子

いつもは麦のまざったご飯もお正月は輝く白米に変わります。

里のいえの箱膳に乗り切らないほどのお正月の料理が並びます。
お雑煮やかずのこなど、今のおせち料理とくらべてみるのも楽しいかもしれません。

食事模型の展示替えが終わると、次は暖房道具を展示しました。

豆炭あんかを展示

ずらりと並んだ暖房道具は里のいえの座敷で見ることができます。
湯たんぽや火鉢、やぐらごたつに足あぶり。
見ているだけであたたかい気分になります。

民俗展示室以外でも、企画展示室では「午年のお正月」がテーマですから、時々の流行を反映した双六やカルタ、愛媛県内のしめ飾りの写真など、お正月気分満載の空間になっております。
あわせてぜひご覧ください。

テーマ展「宇和海の船大工」展はじまります

2013年12月21日

 12月21日(土)より、テーマ展「宇和海の船大工」展が開催されました。
 本展示のきっかけは、ある船大工さんから、船大工道具や船の設計図である「板図」、そして「板図」をもとに作られた船の模型などを当館へ寄贈いただいたことにはじまります。
 資料の寄贈にあたり、資料の名前や使い方、船大工の仕事などを聞き取り、記録する中で、その貴重さや船大工の美意識などを知り、ぜひ展示につなげることができないかと考え、準備をしてきました。
 そして以前当館に寄贈された別の船大工道具や、村上節太郎撮影の造船所の写真なども合わせ、今回の宇和海の船大工の仕事を紹介する展示となりました。

 
船の模型(奥)と板図(手前)


船大工道具

 博物館の展示ができあがるまでにはさまざまな形があり、今回のようにまずはじめに資料がありそこから展示へとつながるものもあれば、あるテーマをもとに資料を調べ、集めて展示へとつながる形もあります。今回企画展示室で同時開催されます「午年のお正月」展は後者のタイプだと言えます。平成26年の干支、「午」と「お正月」をテーマに、当館の各研究科の学芸員が「これぞ!」という資料を持ちよっての展示となりました。時代も場所も研究分野の垣根も越えたおめでたい展示となっております。
 ぜひご来館ください。職員一同お待ちしております。

テーマ展 「宇和海の船大工」
開催期間 平成25年12月21日(土))~平成26年2月3日(月)
会場    愛媛県歴史文化博物館 文書展示室

テーマ展 「午年のお正月」
開催期間 平成25年12月21日(土))~平成26年2月3日(月)
会場    愛媛県歴史文化博物館 企画展示室

テーマ展「発掘された伊予の井戸-水をめぐるくらし-」開幕

2013年10月16日

10月12日(土)より、考古展示室にて「発掘された伊予の井戸-水をめぐるくらし-」と題したテーマ展が開幕いたしました。展示風景①
これは、愛媛県内の発掘調査により出土した井戸に焦点をあて、それぞれの構造の違いを紹介し、そこに残っていたモノを展示することで、現代のように上水道が完備してなかった古代から近代の人々にとって、井戸はどのようなものだったのか、それに関する知恵や技術への理解を深めてもらおうとするものです。

展示風景②
本テーマ展は、来年3月2日(日)まで開催しております。常設展示室の一部ですので、常設展示観覧料が必要(小中学生は無料)となりますが、来年1月26日(日)には関連講座も予定しておりますので、ぜひ見にいらしてください。

民俗展示室3「四国遍路」展示替えのお知らせ

2013年8月1日

民俗展示室3「四国遍路」は、7月30日に一部資料の展示替えを行いました。

 今回新たに次の資料が常設展示に加わりました。

・弘法大師と衛門三の刷り物 

・弘法大師御事蹟壱千百年忌記念絵葉書、大正4(1915)年、個人蔵

・四国八十八箇所順拝略図、江戸時代

・四国第三拾八番土佐国足摺山図、明治時代

・遍路宿宿帳、昭和7~18(1932~43)年

 そのうち、「四国第三拾八番土佐国足摺山図」は、明治期に作成された四国霊場第38番札所足摺山金剛福寺の絵図です。絵図には略縁起を紹介し、境内の伽藍と足摺岬周辺の名所旧跡が描かれています。太平洋の沖合には日の丸をつけた洋船、帆船の姿も見られ、当時の様子を伝えています。

 また、「遍路宿宿帳」は、愛媛県上浮穴郡川瀬村大字下畑野川(現久万高原町)にあった旧遍路宿・大黒屋において、昭和7~同18年にかけて作成された遍路の宿帳です。畑野川集落は地理的に第44番札所大宝寺と第45番岩屋寺の中間地点にあたり、歩き遍路が順打ちして岩屋寺に向かう際、往復とも同じ道を通るため、宿に荷物を預けて巡拝する「打戻り」の拠点でした。そのため最盛期には遍路宿が10数軒あったそうです。この遍路宿宿帳に記録された遍路の数量的なデータは、昭和10年代の四国遍路の動向を知る上でとても貴重な資料といえます。常設展示室にある四国遍路の資料もぜひご覧ください。

弘法大師御事蹟壱千百年忌記念絵葉書

四国第三拾八番土佐国足摺山図ほか

遍路宿宿帳

テーマ展「懐かしの鉄道展」開幕

2013年4月24日

4月23日(火)にテーマ展「懐かしの鉄道展」が文書展示室で開幕しました。昨年度の夏も鉄道に焦点を当てた特別展「GO GO TRAIN!」を開催しましたが、その後寄託いただいたNゲージや当館が所蔵する吉田初三郎の「鉄道旅行案内」などの歴史史料を含め、約100点を展示しています。展示室はコンパクトですが、新たな視点も加えた鉄道展となっています。

展示構成

1.描かれた鉄道  「鉄道旅行案内」2巻 「松山道後名所図会」(拡大)

  鉄道が松山に延伸した昭和2年の様子を吉田初三郎の独特な鳥瞰図で御覧下さい。

2.鉄道玩具    ブリキの鉄道玩具、電流や電池で動く鉄道玩具

  5/3(金)~6日(月)の開館時間には、電池で動く鉄道玩具を走行させます。

3.鉄道雑誌    「鉄道ジャーナル」

  瀬戸大橋の開通や四国の新型特急を取り上げられているほか、全国の有名な鉄道が表紙を彩っています。

4.Nゲージ    181系特急 185系特急 2000系特急 8000系特急等

  四国の歴代特急・アイランドエクスプレス・サンライズエクスプレス・121系電車などを、軌間9㎜の精巧な鉄道模型の世界で御覧下さい。

  本展を機会に愛媛の鉄道史に興味をおもちいただくとともに、さらには交通史と地域史に関心をおもちいただければ幸いです。

   

描かれた鉄道コーナー 

Nゲージコーナー

 本展の期間は、6月9日(日)までです。常設展示観覧料で御覧頂けます。

なお、現在企画展「民具王国」(特別展観覧料必要、常設展示観覧料との共通券も有り)

テーマ展「常設展示室にある復元住居の遺跡」(常設展示観覧料必要)も開催中です。

片山内福間遺跡-今治平野の中世集落-

2013年4月19日

 前回の考古展示室のテーマ展紹介では、「半田山遺跡」を取り上げましたが、今回は考古展示室に入って左側のゾーンに展示している「片山内福間遺跡」について見ていきたいと思います。

 片山内福間遺跡は、今治市内南西部(今治市片山)に位置し、国道196号線の改良工事に伴い、1982年に発掘調査が行われた遺跡です。
 発掘調査の結果、掘立柱建物やそれに付随する柵、井戸、土坑等が見つかり、今治平野における中世集落の一端が明らかになりました。遺物は、土師皿や鍋・釜などの地元の焼き物のほか、畿内で生産された瓦器椀や、東播磨産須恵器のこね鉢、中国産の青磁碗等、各地域から運ばれてきた多様な焼き物が出土しています。

 中世の集落は、一般的には「掘立柱建物」で構成されています。この掘立柱は、穴を掘り、柱の根元部分を穴に差し入れて柱を立て、土を埋め戻して固めることによって据えられた柱をいいます。片山内福間遺跡においても、こうした柱穴が数多く発見されていますが、この中から掘立柱建物と考えられるプランは10棟が想定されています。当館の常設展示室2にある中世民衆の住居は、このうちの1つ、「3号建造物」を参考に復元したものです。

 3号建造物は、桁行1間(約2.25m)×梁間3間(約4.58m)の建物で、その面積は約10.3㎡となります。他の建物も2間×3間や1間×2間の小規模なもので、その大半は北西から南東に棟方向を揃えている規則性が確認できます。この建物に付随する井戸は1基が発見されており、方形木組みで、曲物が井筒とされています。また、屋敷地と屋敷地の境には、素掘りの溝である1号溝と2号溝があり、その方向がほぼ同じで平行していることから、土地の所有関係を明示するための「区画溝」と考えられています。

 本展では、このほかにも、蒼社川流域において発掘調査された馬越遺跡や馬越和多地遺跡2次、八町遺跡といった中世集落もあわせて展示しておりますので、ぜひご覧下さい。
                        ※調査写真は(公財)愛媛県埋蔵文化財センター提供

半田山遺跡-瀬戸内海を望む弥生時代の集落-

2013年4月16日

 前回、考古展示室でのテーマ展「常設展示室にある復元住居の遺跡-半田山遺跡と片山内福間遺跡―」開催の告知をいたしましたが、今回は少し踏み込んで、本テーマ展を紹介させていただきます。まずは、考古展示室に入って右側のゾーンとなる“半田山遺跡”について見ていきたいと思います。

 半田山遺跡は、西条市飯岡にある丘陵上に位置し、1987~89年に四国縦貫自動車道建設に伴い発掘調査が行われた遺跡です。その調査区は、丘陵頂部にあたる第1調査区(標高約120m)と、それよりもやや北に下った場所となる第2調査区(標高約80~120m)が設定され、調査面積は合わせて31,000㎡にもおよぶ大規模な調査となりました。

 発掘調査の結果、今から約2,000年前の竪穴住居や掘立柱建物等が数多く検出され、それに伴い、その当時の人たちが使用していた土器や石器も大量に出土しました。
 竪穴住居については、建て替えも含めて23棟が確認されていますが、当館の常設展示室1において原寸復元している竪穴住居は、このうちの1つ、「12号住居」を参考に復元したものです。この12号住居は、第1調査区北部のやや東側に位置し、その規模は、直径約5.4mを測る円形の竪穴住居です。炉跡は、地面を掘り窪めた「地床炉」であり、住居中央部のやや南側で検出され、その深さは約20㎝を測ります。支柱穴に相当する柱穴は7つあり、それぞれ直径約30㎝、深さ約60㎝を測り、炉跡からは約1.0~1.3m離れた位置に配置されています。この住居内から、弥生土器(壺・甕)や石鏃、敲石、ミニチュア土器など244点が出土しており、これらの資料から、弥生時代後期初頭の住居として位置づけられています。
 発掘調査で発見される住居跡は、こうした床面・炉跡・柱穴などの地下構造部分が残されているのみであり、上屋構造については、実験的や検証等から想定し、復元しているのが現状です。

 本展では、このほかにも瀬戸内海燧灘南岸の主な弥生集落についても一堂に展示しておりますので、ぜひご覧下さい。
 次回は、「片山内福間遺跡」について紹介いたします。
(※調査写真は(公財)愛媛県埋蔵文化財センター提供)