今回、奈良国立博物館よりお借りした資料は、平安時代後期の石手寺経塚出土品(白磁四耳壺2点・青白磁合子1点)です。 これは四国八十八ヶ所霊場第51番札所・石手寺の裏山より発見された経塚資料です。経塚とは、末法思想の影響により、経典の消滅を恐れ、それを地下に埋納して後世に伝えることを意図した施設であり、平安時代後期には全国的に盛行します。
本経塚については、発見された明確な場所や経緯が不明な部分も多いのですが、一辺約2mの方形経塚の四隅に、白磁四耳壺が各1本ずつ埋納されていたと伝えられています。この白磁四耳壺は、元々、他の用途で使用されていたものですが、最終的には経巻を納める経筒に転用されました。また、経塚の副納品として青白磁合子なども出土しています。このように平安時代後期に、石手寺の裏山において経塚が造営されたということは、当時、この地が神聖な場所(=霊場)として認識されていたことがうかがえます。 なお、本資料については、『鹿園雑集』奈良国立博物館研究紀要に、この研究報告を書かれた石岡ひとみ先生(県教育委員会 専門学芸員)に、下記の日程で考古講座を行っていただきます。興味のある方はぜひご参加いただきますようよろしくお願いいたします。
◆平成28年1月16日(土) 13:30~15:00
「石手寺経塚と周辺の遺跡-テーマ展の見所-」