松山市駅を出発した坊っちゃん列車が、大きく右にカーブを曲がりながら中の川を渡っていく。踏切手前には白色のX型の踏切標識が見えるが、これは進駐軍用の踏切標識で、「RAILROAD CROSSING」の英文が記されていた。写真からも小さな機関車が貨物車やたくさんの客車を牽引していたことがよくわかるが、松山市駅を出てから立花駅までは石手川の土手に向かって坂になっており、老朽化した坊っちゃん列車にとっては難所となった。戦後の粗悪な石炭だったこともあり、パワー不足のため満員の重みに耐えかねて登れなくなり、乗客が途中で降ろされることもあったという。坊っちゃん列車は写真の翌年には運行を終了し、ディーゼル機関車に取って代わられた。村上節太郎はその前年に坊っちゃん列車の最後の輝きを記録するように何枚も写真撮影している。
写真は平成16年に撮影した現況写真。車両だけではなく、暗渠となった中の川を含めて周辺の景観が大きく変化していることがわかる。
松山市駅を出る坊っちゃん列車の写真は、愛媛県立図書館で開催中の共催展「坊っちゃん列車が走った街~明治・大正・昭和~」(~8月26日)に現在展示中です。



















