84番札所屋島寺から1里(約4キロメートル)と少し歩くと、85番札所五剣山千手院八栗寺(高松市牟礼町)に辿り着く。標高375メートルの五剣山の中腹にあり、眼下には志度湾から遠くは播磨灘を望む。
寺伝によると、宝亀年間、まだ幼かった空海がこの山に登り、泥土で三千仏・十王像をつくったことに始まる。その後延暦年間になり、空海が入唐に先だち仏殿を造営して自作の千手観音を安置、栗八つを埋めて入唐を祈願した。帰国後やってくると、埋めた栗が大木に生長していたため、八国寺を改め八栗寺としたという。
江戸時代の八栗寺を描いた絵画史料を見ると、いずれもいくつかの剣が天にそびえるような独特の形をした五剣山に抱かれるように寺が描かれているが、西丈もまさしくそのスタイルを踏襲している。五剣山なので元々は5本の頂きがあったが、そのうち1本は宝永地震により崩れ、西丈が目にした時には4本になっていたはずである。五剣山のごつごつとした岩の表現は、いつもながらダイナミックで見ていて楽しくなる。
西丈の絵により境内の配置を見ると、石段を上がると二王門、そこを入って左脇に大師堂、その奧に空海自作と伝える観喜天が祀られる聖天堂、正面奧に本堂、その右脇に鐘楼がある。その配置は写実的な表現で知られる寛政12(1800)年の「四国遍礼名所図会」の挿絵とほぼ一致しており、建物の精度はさておき、配置などは西丈が正確に描き出していることがわかる。
当館では、企画展「四国遍路ぐるり今昔」が、2月18日~4月6日の会期で開催しています。本史料は展示されていませんが、四国八十八ヶ所霊場の今と昔の姿を多彩な資料で紹介しています。ぜひご覧下さい。





















