‘館蔵資料紹介’ カテゴリーのアーカイブ

常設展示室(中世・近世)を展示替えしました。

11月 6日 金曜日

当館の常設展示室では、多くの資料を展示していますが、貴重な博物館資料の保存ならびに公開のため、随時展示替えを行っています。
さる11月4日(水)の休館日、特別展「四国遍路と巡礼」の展示替えにあわせ、歴史展示室2(中世)と歴史展示室3(近世)の展示替えも行いました。
展示替えの作業風景
どんな資料が展示室に登場したのでしょうか・・3点ご紹介します。

「西禅寺文書」【愛媛県指定有形文化財】のうち
宇都宮蓮智(貞泰)寄進状
観応3年(1352)
西禅寺所蔵/当館寄託
西禅寺文書
西禅寺(大洲市)は南北朝初期に瀧ノ城(大洲市)城主津々木谷(つづきや)行胤が創建したとされる禅宗寺院です。西禅寺文書には創建当初の観応3年(1352)年の寄進状(きしんじょう)や置文(おきぶみ)にはじまり、天正8年(1580)年の津々木谷信房寄進状にいたるまでの17通がおさめられています。今回展示したのは、観応3年(1352)6月15日、西禅寺を創建した津々木谷氏の主家宇都宮蓮智(貞泰(さだやす))が、西禅寺興隆のための費用として毎年33貫600文を寄進することを書き残したものです。

「宇和郡石城・竹城絵図」【初公開です!】
文政2年(1819)
当館蔵
石城竹城図
石城
宇和島市吉田町に位置する石城(せきじょう)と竹城を描いた絵図です。石城は、吉田湾に流れ込む立間川と河内川に挟まれた御殿山(ごてんやま)に築かれた山城で、江戸時代、石城の南麓に伊予吉田藩の陣屋が築かれました。
両城は確実な中世文書には登場しませんが、江戸時代前期に作られた軍記『清良記』には、多くの合戦の舞台となった旨の記載が登場します。
絵図では中央に「石城」「竹城」と記し、絵図下部には、両城の高さや距離などが記されており、文政期の伊予吉田藩の測量術についても知ることができます。

「両替道具」(針口天秤、銭升、銭箱、大小板)【初公開です!】
江戸時代
個人蔵/当館寄託
両替道具
両替をする際に用いた道具類です。時代劇などでも目にすることがあります。江戸時代には、金、銀、銭の3種類の貨幣が流通していたため、取引をするうえで両替は重要でした。両替時の計量に用いたのが、分銅を使って正確に量ることができる針口天秤で、両替天秤とも呼ばれました。貨幣の枚数を正確、迅速に数えるために、板に小さな枠を設けた銭升という道具も使われていました。このほか、銭や小判を収納するための銭箱や、取引の月締めに重要な月末日を間違えないために大の月(30日)・小の月(29日)を示すのに用いた看板も展示しています。初公開です!

このほかにも、さまざまな展示資料を入れ替えるとともに、少し解説を見直したり、展示の見せ方を変えてみたりしました。
当館にご来館の際は、ぜひ常設展示室にも足を伸ばしてみてくださいね。

石塔パズル(テーマ展「石手寺周辺を掘る!」)

10月 24日 土曜日

当館では、土器や埴輪などの立体パズルを数多く持っています。その種類は、縄文土器、弥生土器、鶏形埴輪、備前焼、石塔、近世陶磁器です。これらを製作いただいた業者さん曰く、これだけ各時代にわたる多様な立体パズルが揃っている博物館は全国的にもそんなにないそうです。
現在、考古展示室で開催中のテーマ展「石手寺周辺を掘る!-道後地区の発掘成果と国立博物館の里帰り展」では、上記の立体パズルのうち、「石塔パズル」を展示室内に置いています。これはバラバラになった11のパーツを積み上げていき、2つの石塔を組み立てていくものです。大変勉強にもなると思いますので、ぜひ一度チャレンジしてみて下さい。

東宮殿下行啓紀念 宇和島交通鳥瞰図

3月 22日 日曜日

現在開催中のテーマ展「吉田初三郎が描いた世界」(4月5日まで開催)から、「東宮殿下行啓紀念 宇和島交通鳥瞰図」(大正12年4月1日発行)を紹介します。

本資料は、前年に皇太子(後の昭和天皇)が四国を巡遊した際、随行していた宮内省式部官二荒芳徳(ふたらよしのり 1866~1967)伯爵の依頼により、吉田初三郎が描いたものです。

二荒芳徳は、宇和島藩9代藩主伊達宗徳(だてむねえ 1830~1905)の9男として誕生しました。 その後、北白川宮能久親王の4女拡子と結婚し、能久親王が興した伯爵二荒家を継ぎました。

宇和島城を中心とした昔ながらの街並みや堀の面影をのこす内港等が詳細に描かれています。

二荒芳徳は、ふるさとである宇和島を訪れ、懐かしく思ったことでしょう。吉田初三郎と愛媛県は、二荒芳徳をはじとする様々な人脈によって、深いつながりがありました。

「八幡浜市若山の俵札」 愛媛大学日本史研究室と当館による合同調査

2月 20日 金曜日

この小さな俵(約46×18×16㎝、当館蔵)の中身は何でしょうか?

この俵は、西予市卯之町と八幡浜市八幡浜を結ぶ卯之町街道沿い近くにあった民家(八幡浜市若山)の軒下に長らく吊り下げられていました。

八幡浜市若山の民家で吊り下げられていた俵

このたび、博物館で俵の中身を取り出したところ、四国遍路や巡礼に関係するたくさんの納め札(おさめふだ)等が丸められて隙間なく詰められていたことがわかりました。

俵から取り出された中身

納め札とは、「のうさつ」、「巡礼札」ともいいます。木製、金属製、紙製などの短冊状の札に、巡礼の名称、願意、氏名、年月日などを記し、巡礼者が参詣した証として札所や社寺などに奉納するもので、西国三十三所巡礼や四国遍路などでも使用されました。また、お接待のお礼として相手に渡したり、巡礼者同士の名刺代わりなどにも用いられたりしました。

古くは、霊場寺院の柱などに釘で木製の納め札を打ち付けたことから、霊場を「札所」、参拝することを「打つ」と呼ばれました。

俵の中に納められていた納め札。右から天保6年、嘉永元年。

納め札には呪力があると信じられ、お接待のお礼としていただいた納め札を集めて、身近にあった俵の袋に入れて、家の御守りとして天井裏などに吊るしました。俵の中に入れられ納め札は俵札(たわらふだ)と呼ばれています。

2月17・18日の二日間、愛媛大学法文学部人文学科教授の胡光先生と日本史研究室のゼミ生(13名)の皆さんと一緒に、納め札等が入ったこの俵の中身について資料調査を行いました。

最初に、当館学芸員による納め札の概要と八幡浜市若山の歴史や納め札の整理方法などについて説明をしました。

当館学芸員による納め札の解説

その後、胡先生の指導のもと、愛大生は班ごとに分かれ、実際に俵札の整理作業を行いました。

愛媛大学日本史研究室の胡ゼミ生による整理作業の様子

愛媛大学日本史研究室の胡ゼミ生による整理作業の様子

まずは、団子のように丸められた俵札等の塊を選びとり、その中の納め札が破れないように一枚一枚丁寧に取り分けました。長年、軒下に置かれていたため、俵の中は塵や埃にまみれ、汚れや劣化が著しいものも多く、整理作業はマスクを着用して、塵や埃を除きながら、資料を抽出していきました。

愛大生による資料の選別作業

丁寧に納め札を取り出す

俵の中には納め札以外にも、巡礼者のお土産と考えられる弘法大師御影や仏絵などのミニ掛軸や護符なども見られました。

俵に入れられていたミニ掛軸

抽出された納め札は、折れやシワをのばし広げて、一枚ごとに透明なシートに収納しました。その後、あらかじめ作成した俵札調査票の項目にならい、納め札に記された文字情報(主文、願意、巡礼者の住所、願主、年月等)についての解読作業に入りました。読めない文字は古文書辞典や地名事典、梵字辞典などを参照し、また、胡先生と当館学芸員が指導助言にあたりました。

愛大生による納め札の解読作業

胡先生による古文書解読の指導

今回の二日間にわたる当館と愛媛大学日本史研究室の胡先生とゼミ生の皆さんの共同調査によって、ごく一部ですが俵の中身が少し見えてきました。納め札は現時点で天保年間~明治期のものが確認されています。納め札の全体の枚数や具体的な内容の分析についてはこれからの課題となります。納め札は巡礼者の生の記録であり、また、巡礼者を迎えた地域にのこる資料でもあり、四国遍路の歴史を探る上で貴重な巡礼研究資料として注目されます。

昔の道具~冬のくらし編~ 6(最終回)

12月 18日 木曜日

 冬のくらしに活躍する昔の道具、暖房道具を紹介しておりますが今日が最終回となります。
 今回は携帯できる暖房道具です。

 右側の道具がカイロです。
 カイロは漢字で「懐炉」と書きます。懐に入れて持ち歩ける暖房器具のことです。カイロが「使い捨て」になったのは昭和53(1978)年頃で、それまでのカイロは燃料を補給して繰り返し使うものでした。
 左側はカイロの燃料にする小さな炭です。この棒のような炭に火をつけて、カイロの金属部分の中に入れます。

 このカイロは「ハクキンカイロ」といい、炭で発熱するのではありません。気化したオイルがプラチナ(白金)の触媒作用で酸化し熱を出すカイロです。オイルを入れて繰り返し使うことができました。
 現在でもアウトドアなどで利用されています。
 学校団体の来館者の反応を見ておりますと、個性的な形状の暖房道具の中でも、小学生からの人気が高いのがこのハクキンカイロのようです。

 6回にわたって紹介してきました昔の道具~冬のくらし編~ですが、一口に暖房道具といっても素材や形、熱源や使用方法など様々であるということがおわかりいただけたのではないかと思います。
 昭和初期の家屋を再現した民俗展示室2を観覧した子どもさんたちの中には
「昔のくらしは大変だった」
「生活が進化してきたのがわかった」
という感想を持つ方も多くおられます。
 しかし「辛い」「大変」「手間がかかった」という印象を受ける昔のくらし(ここでいうと昭和初期のくらし)ではありますが、道具をゆっくりと見て、機会があれば体験してもらえば、苦労だけでなく道具に込めた知恵や工夫を感じ取ってもらえるのではないでしょうか。

 冬のくらしに活躍した道具は、寒いこの時期だけの展示となりますので、ぜひ博物館でご覧ください。

昔の道具~冬のくらし編~ 5

12月 17日 水曜日

 冬のくらしに活躍する昔の道具、暖房道具を紹介しております。
 今回は炭ではなくお湯で暖を取る道具です。

 こちらの形の「湯たんぽ」はブリキ製です。プラスティック製のものは今でも見ることができます。
 蓋を開けてお湯を入れ、布でくるんで布団の中で使います。お湯を入れて使うほかに、湯たんぽ自体を火にかけて温めることもできました。朝になると、中のお湯を使って顔を洗うこともありました。

 こちらの湯たんぽは陶製のもの。栓はなくなっていますが、同じようにお湯を入れ、布に包んで使用します。
 とはいえ、使用していた様子は想像ではなかなか難しいものです。このような日常の風景は写真などにもあまり残ることはありません。
 ところが、今年度受けた寄贈資料は、木の栓と布も一緒にいただきました。湯たんぽ以外の附属物は使用していた当時のものではありませんが、使用していた様子が理解しやすいものです。

「湯たんぽの木の栓は毎年父親が作成し、穴に合うように布を巻いて調整した」
とのお話しとともに寄贈していただきました。
 博物館ではモノだけお預かりしても活用することができません。資料の名称や使用地、製作方法や使用方法など様々な情報とともにお預かりするからこそ、後世に伝えることができます。

昔の道具~冬のくらし編~ 4

12月 16日 火曜日

 冬のくらしに活躍する昔の道具、暖房道具を紹介しております。
 前回のブログで紹介した「あんか」の別名は「キシャ」でした。あんかの窓が汽車の窓に似ていることからこう呼ばれたようです。
 土製の火入の上に蓋をして暖める道具は他にもあります。

 この資料は「大和こたつ」といい、上から布団をかけて足や手を入れて暖めます。当館収蔵の大和こたつは何点かありますが、この資料の使い込まれた風合いはたまりません。

 こちらの資料は新旧(?)のこたつです。
 右側は炭でなく電気で暖める電気ごたつです。
 左側が「やぐらごたつ」といい、木の枠「やぐら」の中に炭火をいれた火入を置き、上から布団をかけて使います。

 

 このようにやぐらの一部が開閉し、中の火入を出し入れすることができます。
 このような昔の道具の仕組み、動かし方なども「昔のくらし探検隊♪冬のくらし編」と民俗講座「親子で学ぼう!古い道具と昔のくらし」で体験していただきたいと思っております。
 博物館でお待ちしております。

昔の道具~冬のくらし編~ 3

12月 14日 日曜日

 冬のくらしに活躍する昔の道具、暖房道具を紹介しております。
 前回のブログで紹介した「手あぶり」の別名は「ダルマ」でした。色といい形といい良く似ています。
 火にかざして暖める、「あぶる」ことから名づけられた暖房道具を他にご紹介します。

 こちらの道具は「足あぶり」
 両足がちょうど乗るくらいの大きさの鉄製の暖房道具です。腰掛の下におき、足をのせて使いました。

 こちらの色鮮やかな道具が「江戸手あぶり」
 ふたを開けて炭を入れ、ふたを閉めて使います。ふたがついているので、熱があまり逃げず、直火にあたる危険もないので子どもでも安心して使うことができました。上に布団をかけてこたつとしても使うことができます。

 最後に別名クイズ第二弾です。
 次の資料は「あんか」といって、土製の入れ物の中に火入があり、布団をかけて手足を暖めます。

 こちらの資料もその形状から別名でよばれることもありました。さてその別名は下の三つのうちどれでしょうか?

①キシャ ② カマボコ ③テツゴウシ

答えは次回のブログで。

昔の道具~冬のくらし編~ 2

12月 13日 土曜日

 冬のくらしに活躍する昔の道具といえば暖房道具です。 愛媛県歴史文化博物館民俗展示室では、復元家屋「里のいえ」を中心に昔の暖房道具を展示しています。

 トップバッターは火鉢です。灰を入れて炭火で暖を取る道具です。

 真鍮(銅と亜鉛の合金)でできた火鉢です。お客さま用に使い、お湯などは沸かしません。
 次の写真は桐火鉢といい、その名の通り桐の木でできています。

 とはいえ熱源は炭。木材で燃えてしまわないのかと思いますが、縁をよーく見ると

 木の火鉢が燃えないように中に銅など金属の箱が入っています。
 一口に火鉢といっても素材や使用方法など様々です。

 では最後にクイズを一つ。
 次の資料は「手あぶり」といって、文字通り手をあぶって暖を取るための道具です。

 しかしその形状から別名でよばれることもありました。 さてその別名は下の三つのうちどれでしょうか?

①マメ ②プチトマト ③ダルマ

答えは次回のブログで。

昔の道具~冬のくらし編~ 1

12月 12日 金曜日

 11月26日に行った展示替えでは、冬のくらしに活躍する昔の道具も展示しましたので、これからブログで少しずつ紹介していきたいと思います。

 まずは愛媛県歴史文化博物館民俗展示室2、復元家屋「山のいえ」にあるおひついれです。
 おひつは、炊き上がったご飯を釜から入れて、保温しておくための入れ物です。ご飯の余分な水分を吸い取ってくれるため、おいしく食べることができたそうです。
 しかし寒い冬にはご飯の保温時間も短かったため、稲わらで編んだ入れ物、おひついれに入れていました。

 次に、「海のいえ」の座敷で見ることができるのが「夜着(よぎ)」です。

 きもののような形をしていますが、夜眠る時に使う寝具です。

 この資料はお客様用の夜着ですので、襟元にはビロードが使われており、暖かく眠るだけでなく肌触りも考えられています。
 「夜着」のような昔の道具を実際に体験できるのは博物館では「特別」のこと。
 普段は申し訳ありませんがご遠慮いただいております。
 しかし!「夜着」をはじめとした昔のくらしを「知る」だけでなく「体験」もできるイベント「昔のくらし探検隊♪冬のくらし編」が新春のれきはくで行われます。
 また昔のくらしを楽しく学べる講座「親子で学ぼう!古い道具と昔のくらし」も年明け1月17日(土)に開催されます。こちらは親子ではなくても参加OKです。

 小学校3年生の社会科では「昔の道具とくらし」を学校で学びます。教科書に出てくる昔の道具に博物館で出会うことができますので、ぜひおいでください。

〇「昔のくらし探検隊♪冬のくらし編」
 学芸員とめぐるれきはく内探検ツアー!昔のくらしってどんな感じ?
日時:1月4日(日)、5日(月)13:30~(一時間程度)
集合場所:総合案内横
参加費:常設展チケット(当日券)が必要(中学生以下は無料)
   
〇民俗講座③「親子で学ぼう!古い道具と昔のくらし」
 日時:1月17日(土)13:30~15:00
 参加費:無料
 申し込みが必要です。希望する講座名・講座番号とご住所・お名前・年齢・電話番号など必要事項を記入し、はがきなどでお申込み下さい。
 お問い合わせ:企画普及グループ 歴史文化講座係
TEL(0894)62-6222
FAX(0894)62-6161