‘資料調査日記’ カテゴリーのアーカイブ

愛媛の昔話・伝説(1)「日本は三倍広い」

8月 3日 日曜日

(愛媛県歴史文化博物館では、常設展示室にて「愛媛の民話」を紹介するビデオコーナーを設けています。このブログでは、常設展示で紹介している民話(昔話・伝説)以外にも、愛媛に伝わる昔話・伝説などの口頭伝承を紹介したいと思います。)


※笠置峠から見た宇和の風景

まだ自動車道路がない頃の話。

前は宇和海、後ろを山に囲まれた港町・八幡浜の親子が、山側の米どころ宇和盆地にある山田薬師・花祭りに行こうとして、笠置峠を登った。

花祭りでは甘酒も振舞われて、近郷近在、多くの参詣者が歩いて集まってくる。

父親は何度か行ったことがあるが、息子は花祭りが初めてで、甘茶が飲めると聞いて、とても楽しみにしていた。

峠の頂に着いた瞬間、宇和盆地の景色が目の前一面に広がった。

平地の少ない八幡浜で育った息子は「とっと、宇和はがいに広いなあ。たまげた、たまげた。」と素直に驚く。

そこで父親は真面目に答える。「坊よ。たまげたらいけん。宇和もこんだけ広いけど、日本はなあ、この三倍も大きいがやけん、よう覚えとけよ。」

息子ばかりか父親も「井の中の蛙、大海を知らず」。ただ、息子は父親の言葉を真に受けて、少しは「世間」というものを知って、ひとつ大人に近づいたような気持ちになったとさ。

※文章は、当館が平成9年に八幡浜市向灘(むかいなだ)地区で聞き取りした話をもとに再構成しています。

日本の文様―文様になった生きもの達―(18)松

7月 30日 水曜日

(18)松 -変わることのない緑-
 

 松竹梅「歳寒三友(さいかんさんゆう)」と言われ、寒く厳しい冬の間にも凛としたたたずまいが、人の生き方の理想に重ねられてきました。松は常緑であるため不死の象徴、また神聖、清浄な植物とされます。

染型紙 松 大西金七染物店蔵(四国中央市川之江町)
 染型紙 松 大西金七染物店蔵(四国中央市川之江町)

 松の文様は、松林や樹木全体、枝ぶりなど様々に意匠化されていますが、型紙では、松葉の形にスポットが当たっています。この型紙も「近くで見なければわからない型紙シリーズ」ですね。

 こちらのデザインは、すべて点で構成されています。「錐彫り」で彫られたこの型紙、出来上がるまでの工程を想像すると、気が遠くなりそうです。

日本の文様―文様になった生きもの達―(17)蝙蝠

7月 29日 火曜日

(17)蝙蝠(こうもり) -福を招く-

染型紙 蝙蝠 個人蔵(西宇和郡伊方町)

染型紙 蝙蝠 個人蔵(西宇和郡伊方町)

 夕闇を不気味に飛び交う蝙蝠。しかし、中国では「蝠」「福」が同じ発音であることから福を呼ぶ動物として、文様に用いられました。
 この型紙のように格子と組み合わされるバリエーションもよく見られます。図中の蝙蝠は、なんともとぼけた、味わいのある顔にデザインされています。

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日本の文様―文様になった生き物たちー(16)菖蒲

7月 27日 日曜日

(16)菖蒲(しょうぶ)―勝負に勝つ!- 

染型紙 菖蒲 個人蔵(西宇和郡伊方町)

染型紙 菖蒲 個人蔵(西宇和郡伊方町)

 勝負(しょうぶ)と同じ音であり、凛とした姿もあいまって武士に好まれました。鎧などの武具にもそのモチーフは見られます。

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 また、端午の節句で用いられるように、邪気を払う植物としても考えられています。

日本の文様―文様になった生きもの達―(15)雁

7月 25日 金曜日

(15)雁(かり) -秋の渡り鳥-

染型紙 雁 個人蔵(西宇和郡伊方町)

染型紙 雁 個人蔵(西宇和郡伊方町)

 秋になると訪れ、春になると北へ去っていく雁は季節を表わす渡り鳥。雁そのものの形の面白さに加えて、この型紙のように斜めに連なって飛ぶ様子も文様として愛され、「雁行(かりゆき)」と呼ばれています。また葦(あし)との組み合わせも秋の風物詩として好まれています。

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日本の文様―文様になった生きもの達―(14)とんぼ

7月 23日 水曜日

(14)とんぼ -勝つために-

染型紙 蜻蛉 大西金七染物店(四国中央市川之江)

染型紙 蜻蛉(とんぼ) 大西金七染物店蔵(四国中央市川之江町)

 「近くで見なければわからない型紙シリーズ第四弾」です。こちらの型紙もうんと間近で見なければ、何の文様かわかりません。

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 型紙を拡大すると、とんぼの姿がよくわかります。とんぼの羽と胴体の部分は「道具彫」で彫られています。道具彫は、この型紙のように楕円形や三角、花弁や分銅の形の刀を製作することからはじまります。様々な形の刀を用い、一息に彫りぬき、その形を組み合わせて文様を構成するのです。
 とんぼは別名「勝虫」とも呼ばれ、その縁起のよい名称から武士に好まれ、武具の文様にも取りあげられました。
 夏の訪れとともに現れ、秋の深まりのなかで姿を消すとんぼは、季節の変わり目を象徴する文様としても、きものにデザインされています。

日本の文様―文様になった生きもの達―(13)紅葉

7月 19日 土曜日

(13)紅葉(もみじ) -秋の彩り-

 紅葉は、文字通り秋の季節を彩(いろど)る植物です。季節の表現とともに葉の色や形が文様として注目されてきました。

染型紙 紅葉 個人蔵(西宇和郡伊方町)

型紙は流水に紅葉が流れていく様子をデザイン化した文様です。
このように紅葉と流水の組み合わせによって、紅葉の名所である大和国(奈良県)龍田川を表わすとされます。

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 この型紙の横に薄く線がはいっているのがお分かりになるでしょうか。
 この線は実際に染型紙の間に挟(はさ)み込まれたです。「糸入れ」というこの技法は、染める際にずれてしまいそうな空間の多い繊細な文様の場合使われます。張り合わされた型地紙を一度はがし、周囲をこよりで止めた状態で文様を彫ります。彫り上げたあと、こよりをはずし、型紙の間に補強のための絹糸を挟みこむという、集中力と技術、そして経験の必要な難しい技術です。
 大正10年頃、絹の網を漆で張る「紗張り(しゃばり)」という新しい技法が発明され、以後は糸入れを用いることは少なくなりました。

日本の文様―文様になった生きもの達―(12)菊

7月 18日 金曜日

(12)菊 -長寿を願う-

 延命長寿を意味する吉祥(きっしょう)のモチーフであり、秋の代名詞です。江戸時代に品種改良が進んで多彩な種類が登場しました。この動きを受けて、菊の文様も可憐な小菊からあでやかな大輪の八重菊まで咲き誇っています。

染型紙 菊 光岡染工場蔵(松山市中島町)

染型紙 菊 光岡染工場蔵(松山市中島町)

 型紙では、裏側から見た様子を表現した乱れ菊と、雪輪(ゆきわ)の中の一重菊(ひとえぎく)とが、ひねった視点で彫りぬかれています。

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日本の文様―文様になった生きもの達―(11)朝顔

7月 17日 木曜日

(11)朝顔(あさがお) -盛夏の文様-

 きものにおいて、盛夏を伝える植物文様は意外と少なく、秋の植物を早めに取り入れることで涼しさを演出してきました。その中にあって朝顔は、鉄線(てっせん)と並んで盛夏を象徴する植物です。
 
染型紙 朝顔 個人蔵(西宇和郡伊方町)

染型紙 朝顔 個人蔵(西宇和郡伊方町)

 型紙では、格子に蔓(つる)を絡ませた朝顔が、シンプルに描写されており、すっきりとした夏の清涼感が感じられます。

染型紙 朝顔 拡大

日本の文様―文様になった生きもの達―(10)燕

7月 12日 土曜日

(10)燕(つばめ) -春の渡り鳥-

 低く飛ぶ燕をよく見かける季節になりました。巣立ったばかりなのかもしれません。

染型紙 燕 個人蔵(西宇和郡伊方町)

 染型紙 燕 個人蔵(西宇和郡伊方町)

 柳の下を風を切って飛ぶ燕。すっと伸びた優美な尾羽(おばね)またの名を燕尾(えんび)が特徴的です。秋の雁(かり)に対して春の渡り鳥として、春から初夏にかけての季節をさわやかに象徴する鳥です。

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