‘資料調査日記’ カテゴリーのアーカイブ

日本の文様―文様になった生きもの達―(9)桜

7月 6日 日曜日

(9)桜(さくら) -花と春の代名詞-
 
桜

「花見」の花といえば桜の花をさします。桜は平安時代に貴族に愛され、それまで「花」の代名詞であった梅にとってかわりました。可憐(かれん)な色や形とともに、花が散る風情や流水に浮ぶその姿が人々の心をとらえたのです。

染型紙 桜 個人蔵(西宇和郡伊方町)

染型紙 桜 個人蔵(西宇和郡伊方町)

桜の型紙は数多くあります。今回紹介する型紙では桜の花弁に広がりを持たせ、その花弁の中にさらに文様を埋め込んでいくという手の込んだ技法をとっています。

桜(拡大)

ため息の出るような精緻(せいち)な技法です。このような型紙こそ、実物を見ていただきたいと思う逸品です。

日本の文様―文様になった生きもの達―(8)鶯

7月 3日 木曜日

(8)鶯(うぐいす) -春を告げる-

 鶯の「ホーホケキョ」と鳴くさえずりは春の訪れを告げるものとされ、鶯は「春告げ鳥」とも称されます。
 鶯がその年初めて鳴く声を「初音(はつね)」と呼び、厳しい冬の終わりと待ちこがれた春の到来を意味します。

染型紙 鶯と唐獅子牡丹 個人蔵(西宇和郡伊方町)

 染型紙 鶯と唐獅子牡丹 個人蔵(西宇和郡伊方町)

 この型紙には、梅に鶯という初春の象徴が、丸い円形にデザイン化されています。
 ちなみに左の文様は唐獅子(からじし)と牡丹(ぼたん)の組み合わせです。この組み合わせの文様については、また別の機会にご紹介します。

日本の文様―文様になった生きもの達―(7)狐

7月 2日 水曜日

(7)狐(きつね)-近くで見ると-

 「近くで見なければわからない型紙シリーズ第三弾」です。
 この型紙もどこに狐がいるのか、近くでよく見ないとわかりません。

染型紙 狐 若松旗店蔵(八幡浜市)

染型紙 狐 若松旗店蔵(八幡浜市)

 よく見ると、草原を狐が走り回っているような文様です。
 狐の特徴のある耳とふさふさとしたしっぽに形の面白さを見出し、文様として取りあげられました。

染型紙 狐 拡大

 染型紙を彫る技法は「突彫(つきぼり)」、「錐彫(きりぼり)」、「道具彫」、「縞彫(しまぼり)」(「引彫(ひきぼり)」とも言います)と四種類あります。
 この型紙の丸い点は錐彫りで彫られています。錐彫りとは、半円形の刀を型地紙に突き刺し、くるっと回転させ、小さな円形を彫りぬく技法です。

日本の文様―文様になった生きもの達―(6)蟹

6月 29日 日曜日

(6)蟹(かに)-魚介類の文様-

 「近くで見なければわからない型紙シリーズ第二弾」です。目がちかちかするような型紙ですね。蟹なんかどこにいるのでしょうか?

染型紙 蟹 大西金七染物店蔵(四国中央市川之江町)

 染型紙 蟹 大西金七染物店(四国中央市川之江町)

こんなにたくさんいました。

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 蟹はそのゴツゴツとした姿形や動きの面白さから文様のモチーフに取りあげられてきました。
 四方を海に囲まれた日本では、蟹以外にも、海老や蛸(たこ)、貝類などの魚介類を文様としてデザインに取り入れています。
 また、いかりや網など、漁に関わる道具の文様も、愛媛の型紙には残されています。
 それにしても、そばに寄らなければ何の文様かわからないようなきものを身にまとった、粋な御仁はどんな人だったのでしょうか。

日本の文様―文様になった生きもの達―(5)蝶

6月 26日 木曜日

(5)蝶(ちょう)-ミステリアスな魅力-

 蝶の文様が好まれる理由として、姿の美しさ、華麗さに加えて、その変化の様子から感じられる神秘性があげられます。青虫からさなぎへそして、成虫となって羽ばたく姿に、人々は驚嘆のまなざしで見つめたことでしょう。
 日本では平安時代中期以降に「向い蝶」など有職(ゆうそく)文様として取り入れるようになりました。
 型紙では、丸っこく単純化された蝶が、愛らしく花の間を飛び回っています。

染型紙 蝶 大西金七染物店蔵(四国中央市川之江町)

染型紙 蝶 大西金七染物店蔵(四国中央市川之江町)

 型紙の右下に黒い印があります。これは、型紙を販売する商人の印(はんこ)であり、ここから名前や所在地や屋号などの情報を読み取ることができます。
 染型紙は、江戸時代、伊勢(現在の三重県)で生産や販売が盛んだったことから「伊勢型紙」とも呼ばれます。この型紙も、伊勢から伊予まではるばる運ばれてきたことがわかります。

日本の文様-文様になった生き物たち-(4)芭蕉

6月 22日 日曜日

(4)芭蕉(ばしょう) -大きな葉-

 芭蕉は、葉が1~2mの大きさになる多年草です。スリットの入った面白い葉のかたちをしています。実はバナナに似ています。

 芭蕉の文様で多いのは雪との組み合わせです。亜熱帯の植物で冬には枯れる芭蕉と、雪との組み合わせは、奇特あるいは無常観を示しているとされます。型紙でも霰地(あられじ)の白い点を雪とみることもできます。

染型紙 芭蕉 個人蔵(伊方町)

染型紙 芭蕉 個人蔵(伊方町)

日本の文様―文様になった生きもの達― (3)柳

6月 20日 金曜日

(3)柳-季節を語る-

染型紙 柳 光岡染工場蔵(松山市中島町)

染型紙 柳 光岡染工場蔵(松山市中島町)

 芽吹き柳に飛ぶ燕とが組み合わされた春の文様です。
 柳は、風になびいて枝垂れる様子が好まれ、「動き」も表現できる植物の一つです。冬には雪持ち柳、春には花や燕とともに取り合わされて、季節を語る文様でもあります。

日本の文様―文様になった生きもの達― (2)なすび

6月 19日 木曜日

(2)なすび -身近な素材-

 「近くで見なければわからない型紙シリーズ第一弾」です。一見すると小さな水玉のように見えるかもしれません。

染型紙 なすび 若松旗店蔵(八幡浜市)

染型紙 なすび 若松旗店蔵(八幡浜市)

 近くで見るとなすびが散らされた文様がわかります。丸々としたなすびの形がリズムよく配置されています。

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 この型紙の大きさは縦が247mm、横が405mmあります。染型紙はおおまかに言うとA3サイズの紙ぐらいの大きさです。もちろんもっと幅が狭い型紙や、大きな型紙もあります。
 文様では、野菜のように生活の身近な題材を取り上げたものも見られ、なすびの他に、唐辛子などをデザイン化した型紙も、愛媛には残されています。

日本の文様―文様になった生きもの達― (1)瓢箪

6月 18日 水曜日

 古来より、動物や植物などの生きものは、陶磁器や衣服といった身近なもののモチーフとして取りあげられてきました。そこには、生命力溢れる動物への憧(あこが)れや美しい花を咲かせる植物への慈(いつく)しみが込められています。
 愛媛県歴史文化博物館では、愛媛県内に残された「やきもの」や「染型紙(そめかたがみ)」(きものや陶磁器を染める際に使用する道具)について調査を行っています。
(詳しくは企画展図録「ときめくファッション-小町娘からモダンガールまで-」をご覧下さい)
 愛媛県内に残された「染型紙」の中から、取り上げられた動植物についてご紹介します。

 染型紙とは和紙を柿渋で貼り合わせた丈夫な紙です。この紙に、色々な文様を彫りぬくわけです。出来上がった型紙を布の上に置き、上からのりを置きます。そして布を染めると、のりを置いたところだけ(つまり文様だけ)白く染め残るわけです。
 「やきもの」や「染型紙」は、生きもの達のユーモラスな姿や美しい造形を創造の源とし、巧みな技術で製作されています。見事にデザイン化された染型紙から、文様の面白さに触れていただければ幸いです。

 瓢箪(ひょうたん)-くびれの魅力-

 真中がくびれ、丸々とした瓢箪。その形の面白さから絵に描かれることも多く、文様にも取り上げられてきました。瓢箪は中身を出して乾かし、水やお酒を入れる容器としても人々に親しまれてきました。六つの瓢箪を描いて「六瓢」(むびょう)、つまり「無病息災」を願う文様もあります。

 この型紙では、白抜き、輪郭、陰影の3パターンで瓢箪が彫りぬかれています。そのコントラストによって、瓢箪のフォルムの面白さをうまく生かした文様です。

瓢箪  個人蔵(伊方町)

染型紙 瓢箪 個人蔵(伊方町)

愛媛の祭り17 四国中央市の太鼓台

6月 13日 金曜日

※東予地方 四国中央市(旧川之江市)

川之江では10月13~15日に各所で太鼓台が登場します。刺繍で装飾された掛け布団が特徴です。江戸時代には新居浜太鼓台にも掛け布団はあったが、次第に垂直に立てるようになり高欄幕と呼ばれるようになりました。

四国中央市の太鼓台は新居浜型とは異なり、屋根布団が七枚(新居浜型は八枚から十枚)であり、高欄の前後に掛け布団を付けるという特徴を持っています。これは香川県西部の「ちょうさ」と共通しており、県境を挟んで香川県との交流が盛んだったことを物語っています。

現在、太鼓台として最も有名なのは、新居浜市の「新居浜太鼓まつり」ですが、歴史をひもとくと、江戸時代中期に、新居浜市よりも四国中央市の方が約3~40年早く太鼓台を祭りに取り入れています。

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