Archive for the ‘特別展おすすめ情報’ Category

特別展「浄土寺・浄瑠璃寺と写し霊場」                             まもなく開幕!

2022年9月15日

資料を確認しながら展示する学芸員
異なるパネルの中心をあわせて展示

 特別展「浄土寺・浄瑠璃寺と写し霊場」の準備も佳境を迎えました。展示室では担当学芸員の指示のもと、各時代の資料を調査してきた学芸員が展示の真っ最中です。図録原稿を片手に、資料を並べる順番や開けるページなどを確認しながら慎重に並べていきます。資料には解説ラベルもあるため、資料とラベルが間違ってないか、一点一点慎重に作業を進めます。展示には専門業者の方にもお手伝いいただいています。学芸員が指示した高さにパネルの中心が一直線に並ぶよう、 水平器レーザーを用いながら効率的に作業を行っています。また、地震などに備えて資料が倒れないように紐で結ぶなど細かい作業もあります。

 本展では四国八十八箇所霊場第46番札所の浄瑠璃寺と、49番札所の浄土寺のご協力を得て、 絵画、工芸、古文書、古記録などの文化財を特別に公開します。さらに、各地に作られた写し霊場(地四国・新四国・島四国)を特集し、遍路文化の広がりを概観します。9月17日(土)にオープンです。ご来館の際は展示における工夫や危険防止にもご注目下さい。

 

特別展「浄土寺・浄瑠璃寺と写し霊場」に乞うご期待

2022年7月14日

当館では9月17日(土)から、特別展「浄土寺・浄瑠璃寺と写し霊場」を開催(11月27日迄)するため、その準備をおこなっています。

今回は一足先に特別展の見どころをちょっぴり紹介します。

みなさんは松山市にある浄土寺と浄瑠璃寺を知ってますか?  訪れたことがありますか?

どちらも四国八十八箇所霊場の寺院で、浄瑠璃寺は第46番、浄土寺は第49番の札所です。

浄土寺は伊予鉄久米駅近く、久米北部エリア(鷹子町)にあります。諸国を遊行した空也上人が逗留したと伝えられ、空也上人像(重要文化財)が安置され、空也上人ゆかりの寺として知られています。

一方、浄瑠璃寺は松山市と久万高原町との境にある三坂峠を下った坂本エリア(浄瑠璃町)にあります。四国遍路で松山地方における最初の札所です。緑に包まれ、弁天池の蓮の花も人気のスポットとして知られています。


実は、近年、四国へんろ世界文化遺産推進事業として、愛媛県教育委員会によって、浄土寺と浄瑠璃寺の詳細な文化財調査が行われ、令和3年に両寺の調査報告書が刊行されました。

博物館では、浄土寺、浄瑠璃寺の最新の調査成果を、実物資料を展示してわかりやすく紹介します。浄土寺、浄瑠璃寺様のご協力により、秘蔵されている絵画、工芸、古文書・古記録など特別に公開します。ほとんどの資料が今回初公開となる大変貴重な展覧会です。

☆☆☆おもな見どころ☆☆☆

【浄土寺】

●中近世の巡礼者による本堂厨子(室町時代)への落書を赤外線撮影して再確認。何が記されているのか確認します!

●空也上人が描かれた室町時代の絵画「松尾明神空也上人対面図」。諸国を行脚した空也上人の肖像は必見です!

●四国遍路関係資料(へんろ絵図、案内記、古写真など)が充実!

【浄瑠璃寺】

●発掘調査によって、江戸時代の浄瑠璃寺の境域を示す土塀基礎が発見!

●浄瑠璃寺の縁起を記した江戸時代前期の薬師堂再興の棟札は必見!

●石手川に立花橋をかけた第11代住職尭音が使用したと伝えられる鉄鉢

その他、四国遍路が盛んとなると、地方で八十八箇所霊場をまねて作られた写し霊場についても特集します。本展は「えひめ南予きずな博」の関連イベントでもあり、南予地方の写し霊場も紹介します。

見どころいっぱいの次回の特別展「浄土寺・浄瑠璃寺と写し霊場」。乞うご期待。語呂合わせにあやかり、札所番号「46」「49」で、「よ・ろ・し・く」お願いします。

『えひめにいてほしい!コビト』第三弾 結果発表

2022年6月4日

『えひめにいてほしい!コビト』大募集!ですが、こびと研究家・なばたとしたかさんと歴博こびと研究室が選定した第三弾の優秀作品が発表されました。下記からご確認ください。

結果発表

3弾までの合計で1374作品の応募がありました。個性的なコビトの数々。どれも見応えがありました。

また、作品を送っていただいたお母様の手紙に、お絵かきが苦手で描きたがらなかった子どもが、こびとづかん展を観覧してから、こびとを描くことにすっかりハマリましたとありました。うれしいお手紙、ありがとうございました。担当者冥利に尽きます。

こびとづかん展は、6月5日(日)で閉幕しますが、 『えひめにいてほしい!コビト』 にご応募いただいた作品は、優秀作品とともに、博物館のエントランスホールに 6月30日(木)まで展示しています。ぜひご覧ください。

なお、6月21日(火)から23日(木)はくん蒸作業のため、臨時休館しますので、御来館の際には休館日にお気をつけください。

『えひめにいてほしい!コビト』第二弾 結果発表

2022年5月27日

『えひめにいてほしい!コビト』大募集!ですが、こびと研究家・なばたとしたかさんと歴博こびと研究室が選定した第二弾の優秀作品が発表されました。下記からご確認ください。

結果発表

愛媛に生息するユニークなコビトが続々発見されています。第三弾の募集は今日まで。優秀作品の発表まで今しばらくお待ちください。

『えひめにいてほしい!コビト』第一弾 結果発表

2022年5月22日

特別展「なばたとしたか こびとづかんの世界展」の関連企画として行われている『えひめにいてほしい!コビト』大募集!ですが、こびと研究家・なばたとしたかさんと歴博こびと研究室が選定した第一弾の優秀作品が発表されました。下記からご確認ください。

結果発表

第二弾は現在、審査中。第三弾は 5月27日(金)必着 でまだ募集しています。まだ間に合います。皆様のユニークな作品、お待ちしております。

特別展「古代文学と伊予国」 軽太子と軽大郎女の悲恋

2022年2月13日
『古事記』下巻(愛媛県立図書館蔵)
左から三行目に軽太子が「伊余湯」に流されたと記される。

現在、開催中の特別展「古代文学と伊予国」では、県名「愛媛」の「愛」にちなんで、古代文学に見る様々な愛のカタチを紹介するコーナーを設けています。

愛媛県(伊予国)に関する「愛」のストーリーといえば、木梨軽太子(きなしのかるのみこ)と軽大郎女(かるのおおいらつめ)の悲恋がよく知られていますので、展示室の導入部分に、関連資料を展示しています。

展示しているのは『古事記』下巻。允恭(いんぎょう)天皇条に、同じ母の兄妹で愛し合った皇子・軽太子と皇女・軽大郎女が、皇位継承の争いもあり、軽太子が「伊余湯」に流され、後を追ってきた軽大郎女とともに亡くなったことが記されています。

この軽太子と、同母妹の軽大郎女との許されない恋愛は、古代でも有名な悲恋物語でした。『古事記』では12首もの歌謡が記されています。

『古事記』の意訳をすると以下のようになります。

父の允恭天皇が崩御し、皇位継承が決まっていた皇太子の軽太子が、妹の軽大郎女に恋をして、密通し、歌を詠んだ。

  あしひきの 山田を作り 山高み 下樋を走せ 下どひに   

  わがとぶ妹を 下泣きに わが泣く妻を こぞこそは 安く肌触れ

 【意味】山田を作ると、山が高いので地中に配水管を走らせる。

    そのようにこっそりと妻問いをし、ひそかに私が恋い泣く妻を、

    今夜こそ安心して肌に触れたことよ。

当時、異母兄妹の恋愛は問題とされなかったが、同母の兄妹の恋愛はタブーとされていた。二人の恋愛を知った者たちは、弟の穴穂皇子(後の安康天皇)側に集まり、軽太子は大臣の家に逃げ込むも、捕えられる。そして「伊余湯」(伊予国の温泉)に流罪となった。

そして、妹の軽大郎女は兄・軽太子を慕ってあとを追って歌った。

  君がゆき 日長くなりぬ やまたづの 迎へを行かむ 

  待つには待たじ

  【意味】あなたが旅立って日がたちました。私は迎えに行きます。

    これ以上待つことはできません。

こうして伊予国(愛媛県)で再び一緒になった二人は、死出の旅を選んだのであった。

なお、この軽太子・軽大郎女の悲恋については、2月23日(祝)13:30~15:00

に開催予定の歴史文化講座「古代文学と伊予国」でも取り上げる予定です。

本日開幕しました。特別展「古代文学と伊予国」

2022年2月11日

特別展「古代文学と伊予国」開幕しました。資料総点数212点、古典籍約120点を4月7日まで公開します。

最初の展示資料は『古事記』上巻。イザナギノミコトとイザナミノミコトによる国生み神話です。伊予之二名嶋(四国のこと)を生み、この島は、身(からだ)は一つであるが、面(顔)は四つあると記されています。そして伊予国を愛比売、讃岐国を飯依比古、粟(阿波)国を大宜都比売、土佐国を建依別と呼ぶと書かれています。現在の愛媛県の県名の由来となった記事です。この愛媛の「愛」を出発点に、今回の特別展では、恋愛、家族愛などの様々な愛のカタチを紹介しています。

また、 特別展「古代文学と伊予国」の関連書籍として、本日より、伊井春樹(当館名誉館長)著・愛媛県歴史文化博物館編『愛媛の文学資料』(四六版、320頁)を販売しています。愛媛県に継承された『古今和歌集』、『伊勢物語』、『源氏物語』などの古典籍を約120項目にわけて、解説しています。価格は1500円(税込)。販売は博物館ミュージアムショップにて。もしくは博物館0894-62-6222までお問合せください。1冊送料310円となっています。

【展示予告】特別展「古代文学と伊予国」④

2022年1月29日
『愛媛の文学資料』表紙
『愛媛の文学資料』裏表紙

2/11からの特別展「古代文学と伊予国」に合わせて、伊井春樹著・愛媛県歴史文化博物館編『愛媛の文学資料』(四六判、モノクロ、320頁)を刊行します。

愛媛県内の美術館、図書館等に所蔵される古典籍約120点をまとめた一冊。

これまで、愛媛県内の古典籍(鎌倉時代、室町時代以降の古写本や、江戸時代の版本等)については、まとまった書誌情報が刊行されることがなかったため、今回の『愛媛の文学資料』は、愛媛県内における古典文学に関する資料の基礎データとなります。

また、各資料については、当館名誉館長の伊井春樹による成立の経緯、内容、文学史上の意義、伝本の状況や書写の経緯などが解説されていますので、古典文学や書誌学の入門書としても活用できるのではと期待しています。

販売価格は1500円(予定)。2月11日からミュージアムショップで販売します。同日から博物館HPでも注文販売を受け付けます。

現在、その最終校正中です。1月31日から印刷・製本に入ります。

【展示予告】特別展「古代文学と伊予国」③

2022年1月15日
男女が入れ替わる愛と苦悩の物語
『とりかへばや物語』

2月11日開幕予定の特別展「古代文学と伊予国-愛媛の文学資料-」では、古代文学に関する江戸時代以前成立の写本・版本を数多く展示します。主な展示資料のラインナップは、以下のとおりです。実物資料が約120点、写真パネル等も加えて約180点の古代文学資料を展示室で紹介する予定です。

  1. 『古事記』愛媛県立図書館蔵/江戸時代刊
  2. 『日本書紀』当館蔵/江戸時代刊
  3. 『万葉集』当館蔵/江戸時代刊
  4. 『懐風藻』当館蔵/江戸時代刊
  5. 『三教指帰』当館蔵/江戸時代刊
  6. 『古今和歌集』今治市河野美術館蔵/鎌倉時代写
  7. 『古今和歌集仮名序』当館蔵(複製)
  8. 『和漢朗詠集』今治市河野美術館蔵/鎌倉時代写 市指定文化財
  9. 『伊勢物語』今治市河野美術館蔵/市指定文化財
  10. 『枕草子』愛媛県立図書館蔵/江戸時代刊
  11. 『源氏物語』今治市河野美術館蔵/鎌倉時代写
  12. 『源氏物語』愛媛大学図書館蔵/室町時代写
  13. 『伊勢物語歌留多』愛媛大学図書館蔵/江戸時代作
  14. 『大和物語』愛媛大学図書館蔵/室町時代写
  15. 『住吉物語』大洲市立図書館蔵/矢野玄道旧蔵
  16. 『とりかへばや物語』大洲市立図書館蔵/矢野玄道旧蔵
  17. 『釈日本紀(伊予国風土記逸文)』当館蔵/江戸時代刊
  18. 『平家物語』当館蔵/江戸時代刊

【展示予告】特別展「古代文学と伊予国」②

2022年1月13日
特別展「古代文学と伊予国」チラシ

2月11日開幕予定の特別展「古代文学と伊予国-愛媛の文学資料-」の広報物が完成しました。展示する古代文学に関する資料の中には、恋愛や家族愛に関する和歌や物語、仏教の修行の妨げとなる愛執など、様々な愛のカタチが表現されているものが多いことや、愛媛県の県名にも含まれていることから、今回の展示のメインキーワードを「愛」の一文字で表すことにしました。広報物デザインは、デザイナーの小野慎平氏に依頼し、デザインしていただきました。展示資料のほとんどが、江戸時代以前の和本(版本、写本)であり、一見するとわかりにくく、理解が難しい点もありますので、この広報物と同様、展示資料をわかりやすく解説する予定で、現在、準備作業を進めています。