Archive for the ‘特別展おすすめ情報’ Category

【展示予告】特別展「古代文学と伊予国」④

2022年1月29日
『愛媛の文学資料』表紙
『愛媛の文学資料』裏表紙

2/11からの特別展「古代文学と伊予国」に合わせて、伊井春樹著・愛媛県歴史文化博物館編『愛媛の文学資料』(四六判、モノクロ、320頁)を刊行します。

愛媛県内の美術館、図書館等に所蔵される古典籍約120点をまとめた一冊。

これまで、愛媛県内の古典籍(鎌倉時代、室町時代以降の古写本や、江戸時代の版本等)については、まとまった書誌情報が刊行されることがなかったため、今回の『愛媛の文学資料』は、愛媛県内における古典文学に関する資料の基礎データとなります。

また、各資料については、当館名誉館長の伊井春樹による成立の経緯、内容、文学史上の意義、伝本の状況や書写の経緯などが解説されていますので、古典文学や書誌学の入門書としても活用できるのではと期待しています。

販売価格は1500円(予定)。2月11日からミュージアムショップで販売します。同日から博物館HPでも注文販売を受け付けます。

現在、その最終校正中です。1月31日から印刷・製本に入ります。

【展示予告】特別展「古代文学と伊予国」③

2022年1月15日
男女が入れ替わる愛と苦悩の物語
『とりかへばや物語』

2月11日開幕予定の特別展「古代文学と伊予国-愛媛の文学資料-」では、古代文学に関する江戸時代以前成立の写本・版本を数多く展示します。主な展示資料のラインナップは、以下のとおりです。実物資料が約120点、写真パネル等も加えて約180点の古代文学資料を展示室で紹介する予定です。

  1. 『古事記』愛媛県立図書館蔵/江戸時代刊
  2. 『日本書紀』当館蔵/江戸時代刊
  3. 『万葉集』当館蔵/江戸時代刊
  4. 『懐風藻』当館蔵/江戸時代刊
  5. 『三教指帰』当館蔵/江戸時代刊
  6. 『古今和歌集』今治市河野美術館蔵/鎌倉時代写
  7. 『古今和歌集仮名序』当館蔵(複製)
  8. 『和漢朗詠集』今治市河野美術館蔵/鎌倉時代写 市指定文化財
  9. 『伊勢物語』今治市河野美術館蔵/市指定文化財
  10. 『枕草子』愛媛県立図書館蔵/江戸時代刊
  11. 『源氏物語』今治市河野美術館蔵/鎌倉時代写
  12. 『源氏物語』愛媛大学図書館蔵/室町時代写
  13. 『伊勢物語歌留多』愛媛大学図書館蔵/江戸時代作
  14. 『大和物語』愛媛大学図書館蔵/室町時代写
  15. 『住吉物語』大洲市立図書館蔵/矢野玄道旧蔵
  16. 『とりかへばや物語』大洲市立図書館蔵/矢野玄道旧蔵
  17. 『釈日本紀(伊予国風土記逸文)』当館蔵/江戸時代刊
  18. 『平家物語』当館蔵/江戸時代刊

【展示予告】特別展「古代文学と伊予国」②

2022年1月13日
特別展「古代文学と伊予国」チラシ

2月11日開幕予定の特別展「古代文学と伊予国-愛媛の文学資料-」の広報物が完成しました。展示する古代文学に関する資料の中には、恋愛や家族愛に関する和歌や物語、仏教の修行の妨げとなる愛執など、様々な愛のカタチが表現されているものが多いことや、愛媛県の県名にも含まれていることから、今回の展示のメインキーワードを「愛」の一文字で表すことにしました。広報物デザインは、デザイナーの小野慎平氏に依頼し、デザインしていただきました。展示資料のほとんどが、江戸時代以前の和本(版本、写本)であり、一見するとわかりにくく、理解が難しい点もありますので、この広報物と同様、展示資料をわかりやすく解説する予定で、現在、準備作業を進めています。

【展示予告】古代文学と伊予国

2022年1月11日

特別展「古代文学と伊予国―愛媛の文学資料―」

開幕までちょうど1ヶ月となりました。特別展「古代文学と伊予国‐愛媛の文学資料‐」。

展示の大きな構成としては3本の柱をたてています。

まず一つ目が、古代の文学資料に見られる伊予国(愛媛県)について。

飛鳥から奈良時代の文学資料には『万葉集』の「熟田津」、「伊予湯」等、伊予国(愛媛県)に関係する記事が数多く見られます。また平安時代の『今昔物語集』等の説話文学では四国遍路のルーツとされる「四国辺地」、『大和物語』等の物語文学では藤原純友の乱も語られています。そして、和歌文学、特に『古今和歌集』等の勅撰和歌集や百人一首の作者の中には、山部赤人、紀貫之、大江千里、能因法師、西行法師など、四国や伊予国と関係の深い人物が多く見られます。それらに関する資料を展示します。

構成の二つ目が、テーマ「愛」。

愛媛県の県名「愛」にちなんで、本展では、『古事記』に見える木梨軽皇子(きなしのかるのみこ)と妹の軽大郎皇女(かるのおおいらつめ)との恋愛悲話や、『万葉集』に登場する恋に生きた額田王(ぬかたのおおきみ)、在原業平(ありわらのなりひら)が主人公とされる恋の物語『伊勢物語』等、古代文学に登場する様々な「愛」(「恋愛」、「愛執」、「家族愛」等)のカタチを取り上げます。そもそも、愛媛県の名前の由来も『古事記』からとなっています。

そして、構成の三つ目が、愛媛県内に継承された古典籍について。

当館の伊井春樹名誉館長が、昭和40年代に愛媛新聞連載「愛媛の文学資料」(全123回)にて、県内に所在する古代文学資料の名品を紹介しており、本展ではその中から、鎌倉時代や室町時代に書写された『古今和歌集』や『源氏物語』等を展示することで、豊富で幅広く継承された愛媛県内の古典籍の世界を紹介します。

これから開幕まで、展示予定の資料を、随時、紹介していきたいと思います。

会場 愛媛県歴史文化博物館 企画展示室

会期  2022年2月11日(金・祝)~4月7日(木)

開館時間 午前9時~17時30分(展示室への入室は17時まで)

第43番札所明石寺と大寶寺道体験ウォーキング実施しました

2021年3月1日

令和3年2月27日(土)、四国八十八箇所霊場第43番札所明石寺と大寶寺道体験ウォーキングが行われました。参加者は約50名。 最初に、当館のエントランスホールに集まり、開会式のあと、当館の常設展「密●空と海-内海清美展」を見学、そして現在開催中の特別展「明石寺と四国遍路」を観覧しました。

展示室では、明石寺所蔵の県指定有形文化財「絹本著色熊野曼荼羅図」(室町時代)、本尊千手観音像の眷属とされる二十八部衆、風神・雷神像(鎌倉時代)などの迫力ある仏像彫刻など、明石寺の絵画、彫刻、工芸、古文書などの文化財、四国遍路関係資料を間近に見ていただきました。

その後、歴博から白王権現(明石寺奥之院)を経由し明石寺までウォーキング(約1㎞)しました。

明石寺では明石清澄ご住職のご協力によって、本堂内を特別に拝観させていただきました。また、ご住職からは明石寺の歴史について、愛媛大学四国遍路・世界の巡礼研究センター長の胡光教授からは、愛媛の四国霊場の特色についてお話しがありました。

境内を散策した後は、明石寺から国重要伝統的建造物保存地区の卯之町中町までをウォーキング(約1㎞)しました。この道は国史跡の「伊予遍路道 大寶寺道」に指定されています。

 天気にも恵まれて、博物館の見学、遍路道ウォーキング、明石寺特別拝観、卯之町中町散策など、盛りだくさんのメニューでしたが、参加者からはとても充実した体験ウォーキングができて良かったとの感想を多くいただきました。

明石寺の寺宝を特別公開する特別展「明石寺と四国遍路」は3月14日(日)迄。とても貴重な機会なので是非ともお見逃し無いように。

『明石寺と四国遍路』展開幕!!

2021年2月16日

 

 2月11日(木)から『明石寺と四国遍路』展が開催されました。

 

 今回の展示では、近年の愛媛県教育委員会による四国八十八箇所霊場第43番源光山円手院明石寺(西予市宇和町明石)の文化財詳細調査の成果をもとに、当館の研究成果も交えて、明石寺所蔵の愛媛県指定有形文化財「絹本着色熊野曼荼羅図」(室町時代)をはじめ、寺外で初公開となる二十八部衆像と風神・雷神像(鎌倉時代)、観音経陰刻のある短刀(藤原国正銘)、境内の発掘調査出土品など、明石寺の絵画、彫刻、工芸、古文書などの文化財を一堂に会して特別に公開します。また近隣で出土した「蕨手刀」(7世紀末、西予市指定文化財)や四国遍路関係資料の展示を通じて、明石寺の歴史と四国遍路について紹介しています。

 

 明石寺の寺宝が見られるこの機会にぜひ、お越し下さい!

 

『明石寺と四国遍路』
会期  令和3年2月11日(木)~3月14日(日)
休館日 2月15日(月)、22日(月)、3月2日(火)、8日(月)

関連講座やワークショップの詳細については、こちら

 

特別展「戦国乱世の伊予と城」まもなく開幕

2020年9月18日

愛媛県歴史文化博物館では、9月19日(土)から11月23日(月・祝)まで、特別展「戦国乱世の伊予と城 -国史跡 能島城・湯築城・河後森城の世界-」を開催します。

今年度は、新型コロナウィルスの影響で年度当初には開催自体が不安視される状況でしたが、おかげさまでなんとか開催にこぎつけられそうです。資料の列品はほぼ終え、照明の調整ほか開幕間近の最終段階に入っています。

東予・中予・南予それぞれに所在する国史跡の戦国時代の3城(能島城、湯築城、河後森城)にスポットをあて、3城の関係施設・機関などから関係する歴史資料・考古資料をお借りして当館で一堂に会し、三者三様ともいえる城、城主、取り巻く歴史などを紹介する展示になります。

東予の海に位置する海賊衆能島村上氏の本拠能島城、中予の平野に位置する伊予守護河野氏の本拠湯築城、南予の山間に位置する伊予・土佐国境のかなめの河後森城は、それぞれ異なる地域性の中で独自の歴史を積み重ねてきました。この3城に目を向けることで、地域性豊かな伊予の歴史を見直すきっかけになるかもしれません。

今回の展示は、愛媛県内に遺る地域資料を中心に構成しているので、みなさんの身近な歴史に触れることができるかもしれません。
ぜひ、ご来館ください。

「戦国乱世の伊予と城」
会期 2020年9月19日(土)~11月23日(月・祝)
展覧会やイベントの詳細はこちら

魔除けの郷土玩具「牛鬼」

2020年5月28日

牛鬼の郷土玩具(当館蔵)

「牛鬼(うしおに)」は愛媛県宇和島市を代表する郷土玩具として知られています。南予地方の祭礼で登場する練物「牛鬼」を子どものおもちゃに仕立てたもので、首の中の細い棒を指で動かし、頭(かしら)を振って遊ぶ構造になっています。牛鬼は祭礼の中では神輿の先導をして露払いの役を務め、宇和島地方では魔除けのために頭(かしら)を家の玄関に飾ったりします。

さて、現在開催中の特別展「かこさとし絵本展―未来を生きる子どもたちへのメッセージ-」では、全国の郷土玩具を研究した絵本作家かこさとしが刊行した『だるまちゃんすごろく』(福音館書店、2016年)を展示しています。その中にも牛鬼の郷土玩具が描かれています。

なお、かこさとしが、昭和35(1960)年に第13回アンデバンダン展に出品した「平和ばんざい 月ばんさい」という作品にも牛鬼が描かれています。昭和34年10月、ソビエトの月探査機ルナ3号が月の裏側の撮影に成功しますが、かこさとしは宇宙空間の中央に月を描き、その周囲に数多くの全国各地の郷土玩具を画面いっぱいに配置しています。この中に、だるま、天狗、虎の張り子など後のかこさとしの絵本に登場するキャラクターのヒントとなった郷土玩具に加え、牛鬼や八ツ鹿踊りなど愛媛県に関係するもの描き込まれています。今回の特別展ではこの作品は展示していませんが、『別冊太陽 日本のこころ248 かこさとし-子どもと遊び、子どもと学ぶ―』(平凡社、2017、8~9頁)に図版掲載されています。

古代の疫病(伝染病)に関する資料-『続日本紀』・『万葉集』-

2020年5月22日

現在開催中の特別展「かこさとし絵本展」では、かこさとし(加古里子)『ならの大仏さま』(復刊ドッットコム、2006年)の複製原画を展示中ですが、この本で取り上げられている東大寺の廬舎那仏(るしゃなぶつ・奈良の大仏)は、天平年間(729~748年)に疫病(天然痘)が大流行したことにより、聖武天皇が発願したといわれています。奈良時代に編纂された歴史資料で当博物館が収蔵する『続日本紀(しょくにほんぎ)』、『万葉集(まんようしゅう)』には当時の天然痘の流行の様子が記されています。

『続日本紀』巻十二の天平7(735)年条には「この年は、収穫が非常に少なかった。夏から冬にかけて全国で天然痘が流行し、若くして亡くなる人が多かった」とあります。流行は続き、天平9(737)年6月には平城京でも天然痘は猛威をふるい、多くの役人が感染して、朝廷の政務が停止する事態となりました。また、その当時の政権を担い、聖武天皇を支えていた藤原四兄弟もあいついで感染し、病死してしまいました。

『続日本紀』巻十二天平七年是歳条(江戸時代刊・当館蔵)

また、『万葉集』巻十五には、遣新羅使に随行した雪連宅満(ゆきのむらじやかまろ)が壱岐島(現長崎県)で天然痘(「鬼病(えやみ)」と記されています)で亡くなった際の和歌(作者未詳)が紹介されています。

『万葉集』巻十五「到壱岐島雪連宅満忽遇鬼病死去之時作歌」(江戸時代刊・当館蔵)

天皇(すめろぎ)の 遠の朝廷(みかど)と 韓国(からくに)に 渡る我が背は 家人の 斎(いわ)ひ待たねか 正身かも 過ちしけむ 秋去らば 帰りまさむと たらちねの 母に申して 時も過ぎ 月も経ぬれば 今日か来む 明日かも来むと 家人は 待ち恋ふらむに 遠の国 いまだも着かず 大和をも 遠く離りて 岩が根の 荒き島根に 宿りする君

【現代語訳】
天皇が遠くに派遣する使者として、朝鮮半島(新羅)に渡るあなたは、妻が祈って帰りを待っているのではないか。自分が過ちを犯したのか、秋になれば帰ると母に伝えた時も過ぎて、月も経て、今日帰るか、明日帰るかと妻は焦がれて待っているだろうに、遠い国にはまだ着かず、大和からも遠く離れて、岩場の広がる荒れた島で、あなたはとどまってしまう。

この『続日本紀』と『万葉集』は、特別展「かこさとし絵本展」の『ならの大仏さま』のコーナーで関連資料として、8月31日(月)まで展示しています。

種痘記念日と加古里子(かこさとし)『ならの大仏さま』

2020年5月14日

加古里子(かこさとし)絵・文『ならの大仏さま』

加古里子 文・絵『ならの大仏さま』(復刊ドットコム、2006年)

本日5月14日は種痘(しゅとう)記念日です。いまから約220年前の1796年5月14日、イギリスの外科医エドワード・ジェンナーが、古代より伝染力が非常に強く死に至る疫病として人類を苦しめてきた病気「天然痘」の予防接種「種痘」の摂取に成功したことに由来して定められました。ジェンナーが開発したワクチンの効果により、世界中で次々に天然痘の流行が収束し、1980年5月8日には、WHOが地球上からの天然痘根絶宣言を行いました。

日本でも古代から天然痘の流行で人々が苦しんできました。中でも奈良時代中期の天然痘の大流行はよく知られています。有名な東大寺の盧遮那仏(奈良の大仏さま)は、天平勝宝4(752)年に聖武天皇の発願により建立されましたが、当時は、天然痘が大流行して時の政権の中枢にいた藤原四兄弟が相次いで亡くなったり、戦乱が起きたりして、聖武天皇が大仏に国家鎮護の願いをこめて造立されました。

当博物館で現在開催中の特別展「かこさとし絵本展―未来を生きる子どもたちへのメッセージ―」では、この奈良の大仏に関するコーナーを設け、加古里子(かこさとし)著『ならの大仏さま』(福音館書店、1985年・復刊ドットコム、2006年)の複製原画を展示しています。

絵本作家の加古里子(かこさとし)は『だるまちゃんとてんぐちゃん』(福音館書店)、『からすのパンやさん』(偕成社)などの幼児から楽しむことのできる絵本にはじまり、小学生以上が広く、深く学ぶことのできる科学絵本や歴史絵本を数多く出版しています。『ならの大仏さま』など、新型コロナウィルスの感染拡大が危惧されるいま、人類と感染症の歴史を考えるきっかけとなる資料も展示していますので、この機会にぜひご観覧ください。(会期は8月31日まで)