
瀬戸内海沿岸の秋祭には、屋根に布団を重ねた「だんじり」が数多く登場する。この「布団だんじり」は特に香川県西部から愛媛県東予地方に色濃く分布する。山間地には少なく、かつて海上交通の盛んだった地域の祭によく見られる。
新居浜市や四国中央市の太鼓台は豪華に刺繍(ししゅう)を加えた布団だんじりとして有名であるが、それに比べて素朴なものが、しまなみ街道沿いの各地に伝えられている。
写真のだんじりは、大三島の大山祇神社の産須奈(うぶすな)大祭(秋祭)に登場する宮浦のものである。車輪をつけるのが特徴で、同型のものに西条祭りに登場する「御輿(みこし)」がある。地元の言い伝えで、大正時代初期に西条から譲り受けたともいわれ、海を越えて、だんじり文化が広がったことを物語る。
愛媛の秋祭は大三島から始まるといっても過言ではない。旧暦8月15日前後に島内各地区の祭が行われ、その翌週、大山祇神社の産須奈大祭に島内の獅子舞や奴行列等がお供として参加し、賑やかに祭が行われる。
※愛媛新聞連載「海と島に生きる」(平成19年1月22日掲載分)