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村上節太郎写真11 瀬戸内海のシバリ網 昭和12年

2007年4月28日

村上節太郎写真7-389
 「ウオジマ」という言葉がある。4月から5月にかけて、瀬戸内海の中央部に産卵のために群れをなして集まるタイが、まるで島のように見えたことから名付けられた言葉である。この時期のタイは身が肥えて脂がのり赤味が増していくことから桜鯛と呼ばれ、燧灘には桜鯛を目指して瀬戸内一円の漁師が集まった。

 写真はタイの群れを一網打尽(いちもうだじん)にするシバリ網漁を撮影したもの。二千枚の木の板をつけた網でタイをおどして一カ所に集めて、約1600mもある別の網で取り囲み、掛け声とともに網を絞っていく。10隻で60~70人の漁師が集団で行う勇壮な漁で、一網数千匹のタイが捕れることもあったという。戦後の乱獲や生育する藻場の減少により、タイの漁獲は次第に減っていった。大量の人数と資金が必要なタイ網も減少の一途をたどり、昭和40年代には完全に姿を消した。村上節太郎が撮影したのは、今治市桜井の漁師のタイ網であるが、その本拠地であった比岐(ひき)島では現在は民家3軒だけになっている。

※愛媛新聞連載「海と島に生きる」(平成19年1月20日掲載分:一部加筆修正)