
※「吉田祭礼絵巻」(当館所蔵)に描かれた牛鬼(うしおに)
「異界・妖怪大博覧会」では、「鬼のすがた」というコーナーを設け、各種の鬼を紹介します。愛媛の「鬼」で忘れてはいけないのが、南予地方の「牛鬼(うしおに)」です。
牛鬼は全国でも比類の無い練物(ねりもの)で、今回の展示では、全長6メートルの大きな牛鬼(八幡浜市川名津地区・内子町中田渡地区)も展示します。

※現存最古の牛鬼(大洲市立肱川風の博物館・歌麿館所蔵)

※内子町小田の牛鬼(当館撮影)
牛鬼は、青竹を割って牛の胴体のように編み、赤布や棕櫚(しゅろ)の毛で全身を覆い、長い首の先には張子(はりこ)製の頭を付けています。その表情は牛とも鬼ともつかないもので、二本の角と額には月輪の前立物(まえだてもの)があり、口は大きく開き、舌をむき出しにして恐ろしい表情を強調しています。
また、ケン、オバチと呼ばれる尻尾(しっぽ)は鋭く尖っており剣を象徴しているといわれ、それに白い御幣を垂らしています。祭りでは牛鬼を10~20人が担ぎ上げ、神輿(みこし)行列の先導役として、家々に首を突っ込みながら悪魔祓(あくまばら)いをしてまわります。
牛鬼がいつの時代から祭りに登場するようになったかは不明ですが、少なくとも江戸時代、1700年代後半には、南予地方(旧宇和島・吉田藩領内)にて各地の祭りに登場していることが確認できます。
なお、史実とは異なりますが、牛鬼の起源伝承として、加藤清正が朝鮮出兵の際に敵を威圧するために用いたのが始まりであるとか、大洲太郎が赤布で牛鬼を作って敵を退治したとか、宇和島藩主の許しを得て、オオカミ退治のために牛鬼を作ったのが始まりであるなどと、様々な起源伝承が各地にあります。
展示では、各地の牛鬼の頭(かしら)も紹介します。南予でも地域によって異なる「牛鬼のすがた」を、ぜひご覧になってください。
※企画展「異界・妖怪大博覧会―『おばけ』と『あの世』の世界―」は、7月10日(火)~9月2日(日)に開催します。
