
「中国四国名所旧跡図」は、その名のとおり大和国田原本(奈良県田原本町)の仏絵師西丈が中国・四国地方の名所旧跡を描いたものである。縦29.5センチ、横44.5センチの画帖で、題の記された表紙と76枚の彩色された絵が綴じられている。絵は和泉国の堺に始まり、山陽道沿いに摂津・播磨・備前に進み、それから海を渡って讃岐・阿波・土佐・伊予を廻り、最後は66番札所雲辺寺で終わっている。そこから考えるに、この画帖は西丈が自ら行った四国遍路と金毘羅参詣の旅を、記録として描き遺したものと考えられる。
教行寺を中心とする寺内町として発展した田原本において、西丈は仏画を描く仕事をしていたと考えられるが、絵を生業としているだけあって、描き慣れている感がある。描く対象は港町、寺院、名勝、旧跡、そして時には得体の知れない生物にまで及ぶが、意外にもその絵はあまり写実的ではない。描くものの本質をとらえるためか、極端にデフォルメされており、そのことでかえって、西丈が旅で眼にしたものが生き生きと伝わってくるような、何とも不思議な味わいの絵である。
このシリーズでは、西丈と一緒に四国遍路をした気分になって、「中国四国名所旧跡図」に描かれた世界を紹介する。

















