
この図は、当博物館所蔵の「高野大師行状図画」巻二の「天狗降伏事(てんぐこうぶくのこと)」の場面で、中央に弘法大師、手前に天狗たちが描かれています。
企画展「異界・妖怪大博覧会」では、天狗に関する資料についても数点ですが、展示する予定です。
さて、天狗と弘法大師にはどのような関係があるのでしょうか。この「天狗降伏事」を読んでみると、次のようなことが記されています。
室戸(高知県)の岬のそばに、金剛頂寺(こんごうちょうじ)というお寺がある。ここには、いつも天狗がやって来て僧侶を悩まし、仏教の修行の邪魔をしていた。弘法大師は、ここで天狗にさまざまな問答をされて、「私がこの寺にいる時には、ここに来てはいけない。」と言い、弘法大師が自分の「かたしろ」(人形)を作って、大きなクスノキの洞に置いた。天狗たちは、この弘法大師の指示に従って、その後、来なくなった。なお、そのクスノキは、栄えて、葉も枝も永く茂ったという。
一般に天狗とは、山伏の姿で、山岳で修行をしている者のイメージが先行しがちですが、ここに描かれている天狗は、鳥のような姿です。しかも、修行をするのではなく、逆に仏道修行の邪魔をする存在として登場します。天狗にも様々な姿、様々な性格があることがわかります。