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開催中!「異界・妖怪大博覧会」15―地獄図―

2007年8月18日


※王宮絵(福高寺蔵)

八幡浜市穴井の福高寺には、「王宮絵」・「浄土絵」という2本の仏画が伝えられています。制作された年代は享和2(1802)年。今から200年近く前の絵画です。「王宮絵」の「王宮」とは地獄の王である閻魔王宮のことを指しています。この絵では、左上に死者の生前の罪に判断を下す閻魔王を描き、その右側に様々な地獄世界を表現しています。


※王宮絵に描かれた閻魔王


※王宮絵に描かれた地獄

 地獄には8種類あるとされ、一般には、[1]等活(とうかつ)地獄 、[2]黒縄(こくじょう)地獄 、[3]衆合(しゅごう)地獄、[4]叫喚(きょうかん)地獄・[5]大叫喚地獄、[6]焦熱(しょうねつ)地獄・[7]大焦熱地獄、[8]阿鼻(あび)地獄<無間(むげん)地獄ともいいます> を指しています。この地獄世界に、生前に殺生・盗み・邪淫・飲酒・妄語・邪見の罪を犯した者がおちると信じられたのです。

 「王宮絵」には、この8種類の地獄のほかに、血の池地獄や両婦地獄(生前に浮気をした男性がおちる地獄)も描かれており、江戸時代の人々の地獄観を知ることができます。


※浄土絵(福高寺蔵)

「王宮絵」とともに伝わる仏画「浄土絵」には、中央に釈迦如来が配置され、その脇に白象に乗る普賢菩薩、獅子に乗る文殊菩薩、釈迦の弟子で仏法を永く守ることを誓った16人である十六羅漢が描かれます。福高寺には江戸時代の十六羅漢石仏(八幡浜市指定文化財)も伝わっており、羅漢信仰が根強かったことを物語っています。