2007 年 8 月 のアーカイブ

開催中!「異界・妖怪大博覧会」14―子返し図―

8月 14日 火曜日


※「子返しの図」(個人蔵)

 江戸時代末期、歌川国明画です。この図は窮民救済や育児支援をしていた社倉育嬰講中による特注で発行されたものです。

 描かれた図を見てみると、生まれてきた子を間引きしている場面がありますが、閻魔王(えんまおう)の浄玻璃鏡(じょうはりのかがみ)には、母は鬼の形相で描かれています。

 ちなみに「間引き」という言葉は近代的用語(明治時代以降に一般化された用語)で、江戸時代には「子返し」と呼ぶのが一般的です。「返す」というのは、「天」に返すという意味です。

 詞書では、子供は天からの授かりものなので、心を尽して養育するべきことを強調しています。つまり、困窮している者に子供が授かっても、養育できないと勘違いして、間引きをしてしまうことがあるが、それは間違いであって、子供は天からの授かりもので、養育費についても、おのずと天から授かり、子供を養育できるものであると、解説しています。

 この資料は、一見すると残酷ですが、当時の子育て観を示すものとして重要な資料といえます。

8月13日(月)は開館日です。

8月 12日 日曜日

博物館は通常、月曜日が休館日ですが、
8月13日(月)は、お盆期間中の為、開館します

開館時間は、9:00~17:30(入館は17:00まで)

常設展示「愛媛の歴史と文化」のほかに、

現在、企画展「異界・妖怪大博覧会」を開催しています。

ご不明な点は、博物館0894-62-6222にお問い合わせください。

開催中!「異界・妖怪大博覧会」13―まじない調法記―

8月 11日 土曜日


※はしかから逃れる符

企画展「異界・妖怪大博覧会」では、占い・まじないのコーナーで「増補呪詛調法記大全」(当館蔵)と「新撰呪詛調法記大全」(当館寄託)を展示しています。これらは一般に「まじない調法記」と呼ばれるものです。

「増補呪詛調法記大全」は、安永10(1781)年の刊で、呪詛(まじない)、占い、禁忌(タブー)の知識や手段を記しています。それ以前に刊行された「呪詛調法記」・「続呪詛調法記」の内容を集積しており、病苦や災厄を除く方法が多く紹介されています。

そもそも、調法記(重宝記)とは、江戸時代に刊行され、庶民が日常生活の実用書として使用していた書物のことで、家庭生活の事から医・薬学、農・商業など、生活全般が取りあげられました。庶民の知識や社会生活の諸相を反映したものともいえます。


※虫歯の痛みを治す符

ここで紹介している写真は、天保13(1842)年刊行の「新撰呪詛調法記大全」に記載されているまじないや占い、禁忌、信心などへの対処法の一部です。

元来、宗教者が有していた知識・技術が、こういった典籍の刊行によって庶民にも普及していったといえます。

※疫病よけの符

妖怪になった道具たち-その1-

8月 10日 金曜日

「異界・妖怪大博覧会」で展示している「百鬼夜行絵巻」には、顔や頭などの体の一部が道具で表現されている妖怪がいます。それは、道具を粗末に扱うと妖怪になってしまうという考えからきています。
これらの妖怪の中には、当館で展示している民具の妖怪も登場しますので、実際の民具と合わせて紹介します。紹介する民具は、いずれも常設展示の民俗展示室2(愛媛のくらし)で見ることができますので、企画展と合わせてご覧下さい。

○農具の妖怪

左側の妖怪は頭に箕(み)を載せて、手に枡(ます)を持っています。箕は、穀物をよりわけたり、運ぶ道具です。穀物を入れて両手で縁を持って上下に振ることで、皮や屑が外へ飛んでいきます。枡は、穀物や酒、醤油など、固体・液体を計る道具です。今の1.8リットルである「一升」が基準になっています。
右にいる妖怪は、顔になっている杵を自分の手で持って臼でついています。こちらは穀物を脱穀する様子です。二人で農作業をしているようです。

箕(み) 里のいえの前にあります

枡(ます)

○盥(たらい)の妖怪

水やお湯を張って、顔や手を洗う道具が盥です。盥の底の部分が大きな顔になっているこの妖怪は、顔や体は女の人のようですが、手足を黒い毛が覆い、鋭い爪が生えています。赤い口元に点々と見える黒い物は歯です。これはお歯黒といい、江戸時代の女性は、成人もしくは既婚のシンボルとして歯を黒く染めました。

盥(たらい) 山のいえの前にあります

この大きな盥の底が、女性の顔になると想像して下さい。

開催中!「異界・妖怪大博覧会」12―エンコ祭り―

8月 9日 木曜日


※穴井のエンコ祭り(祠におにぎりが供えられている。)

 八幡浜市穴井では毎年旧暦4月5日に「エンコ祭り」が行われます。エンコとは海に棲(す)んでいる架空の動物で、海に入る者の足を引っ張ると地元ではいわれ、中国、四国地方では河童のことをエンコと呼ぶ事例が多く、この祭りは河童祭りの一種とでも言うべきものです。地元では「水天宮祭り」とも呼んでいますが、海岸に出ることが多くなる夏の始めに、その年に水難事故が起こらないよう祈願する行事です。

 昔ながらの言い伝えでは、旧暦4月5日に、穴井に住む母親と子供が弁当を持って「灘の浜」に出かけていき、初めに、にぎり飯三個を波打ち際の石の上に供え、「エンコ様、おにぎりをお供えしますけん、どうか水難をのがれさせて下さい」と拝んでから弁当を開きます。中には、お供え物を紙に包んで海中に投げ入れる者もいたり、近くの竜王様の祠に供える者もいます。

 夕方近くになると、磯辺に酒肴持参で地区の人々が集まり、飲んだり食べたり唄ったりしますが、昭和40年代以降は地元の男性も加わるようになっています。かつては三味線に合わせて、飲む程、酔う程に歌や踊りが出ていたともいいます。

 また、今では行うことも少なくなったといいますが、海岸に出る際には、各家でエンコの嫌がるという筍(たけのこ)を食べ、腰に鹿の角をつっていました。エンコが鹿の角を嫌うという伝承は、南予地方各地でも聞くことのできるもので、一度つかまったエンコ、河童といった水に棲む動物が、命乞いの条件として毎朝、人間に魚のお礼をすることになるも、魚をかける鉤(かぎ)を鹿の角に代えたとたんにエンコの恩返しも終わってしまう、という話が一般的です。

 柳田国男「山島民譚集」(『定本柳田国男集』27巻所収、筑摩書房)によると、高知県長岡郡下田では、河童が馬を川に引き込もうとしたので、毎年6月15日には家々の馬を川端に連れていき河童祭りを行うといいます。八幡浜地方では、エンコが馬ではなく人間を海に引き込もうとする話を各地で聞くことができますが、穴井のエンコ祭りは、もともとは母子が祭りの主体であったことから、子供が水難に遭遇しないことを第一義に祈願して行われるものといえるものです。

※企画展「異界・妖怪大博覧会」では、河童の展示コーナーには、この八幡浜市のエンコ祭り以外にも愛媛県内に残る河童伝説を写真パネル等で紹介しています。

開催中!「異界・妖怪大博覧会」11―幽霊図―

8月 8日 水曜日


※江戸時代後期の幽霊図(部分)

この図は、県内に伝わる幽霊図で、誠拙(せいせつ)が画賛を書いています。誠拙は、江戸時代後期の文政3(1820)年に75歳で亡くなった伊予出身名僧で、鎌倉円覚寺に住持した僧侶です。誠拙の活躍した年代を考えると、この幽霊図は、1800年代初頭に描かれたものと推測できます。

やはり足のない幽霊が描かれていますが、足のある幽霊もいないわけではありません。例えば「牡丹灯篭」という有名な怪談話に出てくる「お露」の幽霊。生前、恋こがれていた萩原新三郎のもとに、毎夜、牡丹の灯篭を持って通ってきますが、下駄の音を響かせながら通って来ることになっています。つまり、下駄を履くということは、足があるということになります。


「牡丹灯篭」については、展示会場で紹介している石井滴水画「幽霊絵葉書」に描かれています。

異界・妖怪大博覧会関連イベントその2

8月 5日 日曜日

「異界・妖怪大博覧会」展も始まってもうすぐ一ヶ月になろうとしています。
なんと今日は、サプライズイベントとして、館内にホタカブが登場しました!
いつもホタカブが展示してあるケースの中には「巡回中」の札が残され、ホタカブは博物館内を歩き回っていました。
ホタカブに頭をかんでもらうと、無病息災と言われることから、自分からかんで欲しいとお願いする子供さんもいました。

企画展に関連した、楽しいイベントもこれからさらに盛り上がりますので、ご紹介します。

〔1〕クイズラリー めざせ!妖怪博士

「異界・妖怪大博覧会」の中で6つの妖怪クイズが君を待っています。対象は小中学生です。挑戦して、妖怪博士を目指してみませんか?参加者には当館オリジナルの妖怪シールをプレゼントしています。

8月4日と5日に開催した妖怪ミュージアムでは、クイズシートを手に
展示をじーっと見つめる子供たちで、展示室はにぎやかでした。

日時:8/11(土)12(日) 13:00~16:00
*企画展観覧料が必要です。

〔2〕探検!妖怪ミュージアム

展示室で、学芸員と一緒に妖怪の不思議を探りに行きましょう!鬼って悪者なの?妖怪の正体って何?助けた河童がお礼にくれた物って?妖怪について、学芸員がわかりやすくお話します。

日時:8/19(日)〔1〕10:00~ 〔2〕13:00~ 各回先着10名 小中学生対象
*企画展観覧料が必要です。

〔3〕おばけ紙芝居の上演

体験学習室において、鬼やおばけの出てくる民話やお話の紙芝居を上演します。お気軽にご参加ください。

日時:8/25(土)26(日) 14:00~15:30

〔4〕おばけかるたとりに挑戦!!

おばけかるたに皆でチャレンジしてみませんか?のっぺらぼうや河童がでてくるおばけかるたです。おばけが好きな子、かるたが好きな子、お待ちしています!

日時:8/26(日) 13:00~15:00 先着30名 小中学生対象

開催中!「異界・妖怪大博覧会」10―地獄絵馬―

8月 4日 土曜日

宇和島市の満願寺は江戸時代、多くの四国遍路が参詣する寺院として栄えていました。その境内には弘法大師を祀る大師堂があり、その中に安政5(1858)年に地元の者が寄進した地獄極楽絵馬が伝存しています。


※地獄極楽絵馬(左・満願寺蔵)

左の絵馬は左上に描かれた阿弥陀如来により救済される極楽世界を表現しています。中央の絵馬は、地蔵菩薩と賽の河原を描いた絵馬。地蔵菩薩は極楽浄土に往生できず、地獄へ堕ちるとされた衆生を、地獄から救済してくれる仏として信仰されていました。また、子供が石積みをしている賽の河原は「三途の川」ともいわれ、あの世とこの世を分ける境目ともいわれます。


※中央の絵馬


※右の絵馬

右の絵馬には各種の地獄世界が描かれています。右上には、地獄の入口で裁判官として人をさばく「閻魔大王」、右下には、三途の川で死者の着物を奪い取る「奪衣婆」が配置されています。愛媛県内で、このような地獄極楽図が絵馬の形で残されているのは大変珍しい事例といえます。

甲冑(かっちゅう)姿の撮影会 ―広報用の写真撮影―

8月 3日 金曜日

 秋の企画展「戦国南予風雲録」では、会期中にいろんなイベントを計画しています。そのひとつに「よろい武者になってみよう!」というのがあります。この日は、その広報に使うための写真撮影をしました。

撮影風景
撮影風景

 来館者の小中学生に声をかさせていただき、モデルになってもらって、当日体験できる甲冑を着用のうえ館内の屋上中庭で撮影しました。

僕たち兄弟、武将と足軽
僕たち兄弟、武将と足軽

 使用した甲冑は、福島正則が着用した水牛の角をあしらった兜(かぶと)と鎧(よろい)の複製(左)と、土居清良の子孫のもとに「御貸具足(おかしぐそく)」として伝わった甲冑の複製(右)の2種類。その他小道具として槍や火縄銃、幟旗(のぼりばた)などを用意してみました。
 この日は天気がよく、ただでさえ屋上は暑いのに、黒くて重い甲冑に包まれたモデルの子どもたちはもっと暑そうでしたが、おかげさまでよい広報用写真が撮れました。また、彼らは夏休みを利用して親御さんの郷里を訪ねてきていた県外の子どもさんだったようで、博物館での思いがけない記念になったようです。

暑いよ~
暑いよ~

 甲冑の体験イベントは、11月4日(日)と11月18日(日)に開催予定で、4日は「御貸具足」の方を使って足軽隊に、18日は福島正則の水牛兜を使って戦国武将に変身できます。
 また、甲冑への変身以外にも、11月3日(土)には束帯を体験できる「お公家さんになってみよう!」も実施します。
 対象はいずれも中学生までですが、束帯については衣装の形状と着付け方の都合上、身長130cm以上の児童・生徒とさせていただきます。
 そのほか、会期中エントランスでは、陣羽織・烏帽子・陣笠など各自で簡単に体験してもらい、記念の写真撮影も自由という、自由体験コーナーの設置も計画しています。
 また、11月18日(日)の開館記念イベントでは、戦国時代のいろんな場面で活躍した「馬」を身近に体験してもらおうと、愛媛の在来馬「野間馬(のまうま)」への乗馬が体験できる「野間馬にのってみよう!」も準備しています。対象は、小学6年生まで、体重50kg以下、とさせていただきます。
(※野間馬自体は戦国時代にはまだ生まれていません。「馬」に親しんでいただくイベントです。)

待ってるよ~!         (写真提供:野間馬保存会)
待ってるよ~!    (写真提供:野間馬保存会)

 詳しくは、今後のポスター・チラシ・歴博だより・ホームページなどをご覧ください。

開催中!「異界・妖怪大博覧会」9―鬼の姿―

8月 2日 木曜日


※旧広田村総津の祭りの鬼(複製)

「鬼(おに)」といえば、一般的にイメージする姿は、頭に角があって、頭の髪の毛は巻き毛で、口に牙(キバ)があって、指にするどい爪が生えている。そして何といっても、「虎の毛皮」のパンツ(実際はフンドシ)をはいている。しかも大きな金棒を持っているイメージがあります。

しかし、愛媛のお祭りに出てくる「鬼」には、角のない鬼もいますし、虎の毛皮のパンツ(フンドシ)をはいている鬼はいません。頭には、シャグマ(赤熊)と呼ばれるものをかぶっています。

手に持っている物は、「鬼に金棒(かなぼう)」ではなく、竹でできた杖(つえ)です。これで体の悪いところを叩かれるとなおるとか、無病息災だともいわれます。

しかも、「鬼」のことを、愛媛の地元では「ダイバ」とか「ダイバン」と呼ばれることが多く、これは仏教で釈迦(シャカ)の修行の邪魔をしていた提婆達多(ダイバダッタ)に由来するのではないかと思われます。

このように、「鬼」といっても、愛媛のお祭りで見られる「鬼」を観察すると、その姿はさまざまであることがわかります。