松山市道後にあるセキ美術館では、開館10周年を記念して4回にわたり「愛媛・感動の美術家たち」をテーマに展示が行われていますが、現在はその第三期展として、「愛媛ゆかり日本デザインの先駆者たち」展が開催されています。会場には、日本のデザインの基礎を築いた愛媛出身の4人、杉浦非水、高畠華宵、柳瀬正夢、真鍋博が制作したポスター、挿絵、表紙絵、装丁図書などが一堂に展示されています。この4人の作家がいずれも愛媛県出身ということは案外知らなかったという方も多いのかもしれませんが、今回の展示では4人のデザインがまとめて楽しめるものとなっています。
また、4人以外にも、戦前戦後の愛媛の地域で活躍したデザイナーとして、7人の人物が3階展示室に取り上げられています。その中の永井刀専について、当館から資料を出品しています。刀専はハンコ屋さんでありながら、デザイナーでもあったちょっと変わり種の人物で、愛媛の新聞草創期に『海南新聞』『愛媛新報』に題字や商品広告のデサインなどを提供しています。刀専のデザイナーとしての仕事のうち、展示では昭和初期の松山の風情ある情景を絵葉書サイズの木版画に仕上げた刀専版画、企業やお店がつくった記念スタンプのデザインが紹介されています。とりわけ、最も多く制作された道後温泉の刀専版画が、地元で展示されることには感慨深いものがあります。なお、セキ美術館発行の展示図録には、井上淳「職人デザイナー 永井刀専」を掲載しています。あわせてご覧いただけたら幸いです。
展示は12月2日まで。月、火曜日は休館。入館料大人500円、大、高校生400円、小中学生300円。
詳しいお問い合わせ:
セキ美術館
電話089-946-5678
※下の写真は刀専版画のうち、道後温泉シリーズの一枚。刀専にとって道後温泉はホームグランドで、毎日のように通い、たくさんのスケッチを残しています。そうしたスケッチをもとに、道後温泉の一瞬の空気までも切り取った版画作品がつくられていきました。
