2008 年 7 月 のアーカイブ

「昔のくらし探検隊 海外からも入隊できます」

7月 31日 木曜日

愛媛県歴史文化博物館では、学習支援プログラムの一つとして「昔のくらし探検」というプログラムをご用意しています。
昭和の民家を復元した展示室を舞台に、昔の家や道具を実際に見て、触って、昔のくらしを身近に考えてもらうプログラムです。

今回の探検隊は、なんと外国からの入隊希望者です。香港大学で日本語を学ぶ生徒さん27名が、7月30日に「昔のくらし探検隊」として展示室を探検しました。3つの隊にわかれ、それぞれボランティアさんがつとめる隊長といっしょに、「海のいえ」「里のいえ」「山のいえ」を探検します。

実は今回、プログラムの申込があってから、隊長のお一人がすばらしいアイデアを思いつきました。「中国も日本も同じ漢字を使うのであれば、なにか通じるところがあるかも」といって作ってきてくださったのがこれです。

探検隊でおすすめのキーワードをB4サイズの画用紙に六枚、書いてきてくださったのです。今回はこの秘密兵器を携えて、探検隊スタートです。

蓑(みの)や和傘などは香港でもあるそうですが、せっかくなので記念写真を撮る方も。

秘密兵器の「キーワード画用紙」を見てもらいながら、隊長が説明をすると「ああ~」と納得のため息がもれたり、中国語で発音してもらうことも。
 また、中国の丸いまな板と日本の四角いまな板の違いや、食事の仕方、眠り方になど、日本と中国の文化の違いについて会話が広がります。
 せっかくなので、探検の先頭に立ってくれた隊長さんたちを記念写真。

 皆さんは日本に11日間滞在して、日本語の勉強や文化視察をされるそうです。「昔のくらし探検」が少しでもお役に立てればうれしいです。
 このように、「昔のくらし探検隊」に入隊するには年齢も国籍も関係ありません。(日本語がおわかりになれば)いつでも入隊お待ちしております。

日本の文様―文様になった生きもの達―(18)松

7月 30日 水曜日

(18)松 -変わることのない緑-
 

 松竹梅「歳寒三友(さいかんさんゆう)」と言われ、寒く厳しい冬の間にも凛としたたたずまいが、人の生き方の理想に重ねられてきました。松は常緑であるため不死の象徴、また神聖、清浄な植物とされます。

染型紙 松 大西金七染物店蔵(四国中央市川之江町)
 染型紙 松 大西金七染物店蔵(四国中央市川之江町)

 松の文様は、松林や樹木全体、枝ぶりなど様々に意匠化されていますが、型紙では、松葉の形にスポットが当たっています。この型紙も「近くで見なければわからない型紙シリーズ」ですね。

 こちらのデザインは、すべて点で構成されています。「錐彫り」で彫られたこの型紙、出来上がるまでの工程を想像すると、気が遠くなりそうです。

日本の文様―文様になった生きもの達―(17)蝙蝠

7月 29日 火曜日

(17)蝙蝠(こうもり) -福を招く-

染型紙 蝙蝠 個人蔵(西宇和郡伊方町)

染型紙 蝙蝠 個人蔵(西宇和郡伊方町)

 夕闇を不気味に飛び交う蝙蝠。しかし、中国では「蝠」「福」が同じ発音であることから福を呼ぶ動物として、文様に用いられました。
 この型紙のように格子と組み合わされるバリエーションもよく見られます。図中の蝙蝠は、なんともとぼけた、味わいのある顔にデザインされています。

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日本の文様―文様になった生き物たちー(16)菖蒲

7月 27日 日曜日

(16)菖蒲(しょうぶ)―勝負に勝つ!- 

染型紙 菖蒲 個人蔵(西宇和郡伊方町)

染型紙 菖蒲 個人蔵(西宇和郡伊方町)

 勝負(しょうぶ)と同じ音であり、凛とした姿もあいまって武士に好まれました。鎧などの武具にもそのモチーフは見られます。

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 また、端午の節句で用いられるように、邪気を払う植物としても考えられています。

南予の中世城跡探訪16 城川東部、北之川氏の本拠 ―甲ケ森城跡・三瀧城跡―

7月 26日 土曜日

 西予市城川町、総合支所などが所在する下相(おりあい)地区からさらに東へ尾根を一つ越えた所に、土居・窪野地区があります。三滝川に沿った細長い谷筋で、川の上流はもはや高知県との境の山脈、まさに予土国境地域といえます。やや下流の少し開けた所が土居、上流の谷が狭まった所が窪野で、土居に甲ケ森(かぶとがもり)城跡、窪野に三瀧城跡があります。
 両城ともに、中世にこの地域を支配した北之川氏の城とされています。甲ケ森城は土居の集落を西から見下ろす小高い甲ケ森山頂を利用した城、一方の三瀧城は奥まった谷に面した比高約250mもの険しい三滝山山頂を利用した城です。


  甲ケ森城跡


  三瀧城跡

 北之川氏については、当時の信頼できる資料が皆無に等しく、その詳しい確かな動向はほとんどつかめないのが実情です。伝わるところでは、北之川氏は当初は土居に本拠を据えていましたが、戦国末期に天然の要害ともいえる三瀧城に本拠を移したともいわれています。しかしながら、「土居」の地名が館跡などを示す言葉でもあり、土居の方が土地が開け、また下流域にも出やすく地域支配には適した場所であること、一方の三瀧城は谷の奥深くに位置し、険しい山の山頂という立地であることなどから考慮して、もしかすると本来は地域支配の安定・拡大を図ってより開けた土居地域を本拠としながらも、三瀧城を予土国境の峠を睨む重要拠点として、また或いは土居を攻められた時の詰めの城として、同時並行的に重視したと理解する方が自然なのではないかと思いますが、残念ながら実際のところは定かではありません。
 これも伝承ながら、北之川氏は戦国末期(年代は諸説あり)に、土佐長宗我部氏に攻められて没落したといいます。その時に、甲ケ森城も落城したといいますが、それに直接関係するかどうかは分からないものの、甲ケ森城跡からは古銭が熱で溶けて固まった状態のものが発見されています。
 この溶けた古銭ほか、旧城川町域の歴史や文化を物語る資料は、下相地区の城川総合支所の裏にある、西予市城川歴史民俗資料館に展示されていますので、足を運んでみてはいかがでしょう。

日本の文様―文様になった生きもの達―(15)雁

7月 25日 金曜日

(15)雁(かり) -秋の渡り鳥-

染型紙 雁 個人蔵(西宇和郡伊方町)

染型紙 雁 個人蔵(西宇和郡伊方町)

 秋になると訪れ、春になると北へ去っていく雁は季節を表わす渡り鳥。雁そのものの形の面白さに加えて、この型紙のように斜めに連なって飛ぶ様子も文様として愛され、「雁行(かりゆき)」と呼ばれています。また葦(あし)との組み合わせも秋の風物詩として好まれています。

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日本の文様―文様になった生きもの達―(14)とんぼ

7月 23日 水曜日

(14)とんぼ -勝つために-

染型紙 蜻蛉 大西金七染物店(四国中央市川之江)

染型紙 蜻蛉(とんぼ) 大西金七染物店蔵(四国中央市川之江町)

 「近くで見なければわからない型紙シリーズ第四弾」です。こちらの型紙もうんと間近で見なければ、何の文様かわかりません。

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 型紙を拡大すると、とんぼの姿がよくわかります。とんぼの羽と胴体の部分は「道具彫」で彫られています。道具彫は、この型紙のように楕円形や三角、花弁や分銅の形の刀を製作することからはじまります。様々な形の刀を用い、一息に彫りぬき、その形を組み合わせて文様を構成するのです。
 とんぼは別名「勝虫」とも呼ばれ、その縁起のよい名称から武士に好まれ、武具の文様にも取りあげられました。
 夏の訪れとともに現れ、秋の深まりのなかで姿を消すとんぼは、季節の変わり目を象徴する文様としても、きものにデザインされています。

南予の中世城跡探訪15 猿ケ滝城主岩本将監と薙刀 ―猿ケ滝城跡、春日神社―

7月 20日 日曜日

 肱川中流域、西予市野村町から大洲市肱川町あたりでは、険しい四国山地の深い山間を縫うように流れる肱川の姿があります。川に沿って谷間を走る国道197号線を行き、鹿野川ダム湖上流に差しかかると、大洲市・西予市の市境を迎えます。現在そこには大地トンネルが抜けていますが、南口を出てからもう一つ南の栗ノ木トンネルにいたるまでの間、ちょうどそこは東からの尾根が張り出し、ダム湖が西へ大きく湾曲しています。その張り出した尾根上に中世城跡の猿ケ滝城跡があります。伝わるところでは、現西予市城川町東部から大洲市肱川町南部辺りまで支配したといわれる北之川氏に属した、家臣岩本将監の城だったといわれます。


  猿ケ滝城跡と将監淵

 この城は、北之川氏が長宗我部氏に攻め落とされた際に、同様に攻め落とされたといわれています。その時、岩本将監は闇夜に乗じて肱川を渡って城から脱出を試みましたが、かわいがっていた白い犬が付いて来たことで敵に存在が知られ、弓矢に射られて殺されたとも自害したともいう伝説が残ります。この将監が死んだとされるちょうど城の麓の淵を、伝説に由来して今でも将監淵(しょうげんぶち)と呼ぶそうです。
 この城から南へ、支流の黒瀬川をさかのぼると旧野村町域を抜けて旧城川町域へ入ります。黒瀬川の東岸の段丘上には嘉喜尾(かぎお)地区が広がりますが、そこには春日神社という神社が鎮座しています。実はこの神社は、岩本将監が奉納したと伝わる薙刀(なぎなた)を現在にまで伝えた神社です。(注:当ブログの昨年10/3記事参照)


  春日神社

 岩本将監のことを物語る当時の確実な資料は現在見つかっていませんが、地域にはこうしたゆかりの史跡や文化財が今に伝えられています。ちなみに、この薙刀ほか、旧城川町域の歴史や文化を物語る資料は、下相(おりあい)地区の城川総合支所の裏にある、西予市城川歴史民俗資料館に展示されていますので、足を運んでみてはいかがでしょう。


  西予市城川歴史民俗資料館

日本の文様―文様になった生きもの達―(13)紅葉

7月 19日 土曜日

(13)紅葉(もみじ) -秋の彩り-

 紅葉は、文字通り秋の季節を彩(いろど)る植物です。季節の表現とともに葉の色や形が文様として注目されてきました。

染型紙 紅葉 個人蔵(西宇和郡伊方町)

型紙は流水に紅葉が流れていく様子をデザイン化した文様です。
このように紅葉と流水の組み合わせによって、紅葉の名所である大和国(奈良県)龍田川を表わすとされます。

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 この型紙の横に薄く線がはいっているのがお分かりになるでしょうか。
 この線は実際に染型紙の間に挟(はさ)み込まれたです。「糸入れ」というこの技法は、染める際にずれてしまいそうな空間の多い繊細な文様の場合使われます。張り合わされた型地紙を一度はがし、周囲をこよりで止めた状態で文様を彫ります。彫り上げたあと、こよりをはずし、型紙の間に補強のための絹糸を挟みこむという、集中力と技術、そして経験の必要な難しい技術です。
 大正10年頃、絹の網を漆で張る「紗張り(しゃばり)」という新しい技法が発明され、以後は糸入れを用いることは少なくなりました。

日本の文様―文様になった生きもの達―(12)菊

7月 18日 金曜日

(12)菊 -長寿を願う-

 延命長寿を意味する吉祥(きっしょう)のモチーフであり、秋の代名詞です。江戸時代に品種改良が進んで多彩な種類が登場しました。この動きを受けて、菊の文様も可憐な小菊からあでやかな大輪の八重菊まで咲き誇っています。

染型紙 菊 光岡染工場蔵(松山市中島町)

染型紙 菊 光岡染工場蔵(松山市中島町)

 型紙では、裏側から見た様子を表現した乱れ菊と、雪輪(ゆきわ)の中の一重菊(ひとえぎく)とが、ひねった視点で彫りぬかれています。

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