2008 年 12 月 のアーカイブ

号外「怪人れきはくの謎」2

12月 28日 日曜日

怪人れきはく 昔の道具

「怪人れきはく」リサーチ班から情報が届いた。
以前、学芸員が、博物館で保管している古い地元新聞を整理していたところ、
「生活道具を次世代に伝える」という短い投書記事を見つけてスクラップしていたというのだが、その記事に興味深い点が・・・。

新聞の日付は、昭和51(1976)年1月4日。

内容は以下のとおり。

機械化の進んだこの世の中、炊事、洗濯に掃除などの衣食住だけでなく、車などの交通手段、農業・漁業の動力化。生活のすみずみまで機械化されている。

便利になった面も当然あるが、機械のしくみもわからぬうちに使っているので、逆に我々人間が機械に使われているかの印象を持つ。

祖父の代から使っていたこれまでの生活道具は、その作り方から仕組みまで理解した上で使っていた。道具の工夫や知恵が手に取るようにわかっていたのである。

昨年(昭和50年)に、文化財保護法が改正され、後世に伝えるべき「文化財」として、これまでの生活道具も「民俗文化財」として保存すべきこととなった。愛媛でも年内には生活道具(民具)を集めた県の歴史博物館が開設されると聞いている。

これからは、先祖からの知恵と工夫の詰まった生活道具を大切に保存し、後世に伝えるため、何らかの活動を自分自身も行っていこうと思っている。 以上。

そして、驚くことに、この投稿者の名前は「ペンネーム 怪人れきはく(東京都在住・73才)」と書かれている。

今から32年前に、「怪人れきはく」を名乗る人物がいたのである。しかも、投稿内容が、今回、博物館にとどいた挑戦状と似ているではないか!

さらに、1976年時点で73歳という年齢。この人物が今回の挑戦状の送り主だとすると、105歳?

いやいや、怪人れきはくを目撃した職員の証言では、若い男性だったというから、同一人物とは考えにくい。謎は深まるばかり・・・。

(この話はフィクションです。)

ことわざになった道具たち―その4―帯に短し、たすきに長し。

12月 27日 土曜日

帯に短し、たすきに長し
帯に短し、たすきに長し(イラスト 菊池安希子)

帯とは、きものの上からおなかに巻いて結ぶ長い布のことです。
たすきとは、袖をたくしあげてまとめるひものことです。
帯のほうがたすきより長いのですが、帯にするには短いし、たすきにするには長すぎる布のように、中途半端で役に立たないことをいいます。

例 まちあわせには時間があるし、お買い物するには時間がないし、帯に短し、たすきに長しよねえ。

帯
「昔の道具の謎をとけ!」展に展示中の帯(当館寄託)
この帯には画家が直接絵を描いてあります。絵を描いたのは、今治市出身の画家、大智勝観(おおちしょうかん)(1882-1958)です。
勝観らしいおおらかな筆によるアザミ模様の帯です。

号外「怪人れきはくの謎」

12月 26日 金曜日

怪人れきはく 昔の道具

先日、愛媛県歴史文化博物館にあらわれた「怪人れきはく」。
その正体をさぐるため、現在、博物館職員がリサーチ中。
展示室でその姿をみた職員の証言によると、年齢は若く、性別は男性のようだ。
(この話はフィクションです。)

ことわざになった道具たち―その3―ない袖は振れぬ

12月 25日 木曜日

ない袖を振れぬ
ない袖は振れぬ(イラスト 菊池安希子)

きものの袖は洋服の袖とちがって布をたっぷり使ってあります。腕を動かせば、袖も一緒に動きます。もし、きものに袖がなければ、振りたくても振れません。「ない袖は振れぬ」とは、持っていないものは出したくても出せない、という意味です。
昔は、着るモノといえば洋服ではなくきものでした。「昔の道具の謎をとけ!」展で、昔の着るモノについて探ってみませんか。

例 そんな大金を貸してくれって言われても、ない袖は振れないよ。

展示中のきもの
「昔の道具の謎をとけ!」展に展示中のきもの

おひなさまに変身中!?

12月 24日 水曜日

 12月に入り、博物館では次回の展覧会「おひなさま」の展示準備だけでなく、関連イベントの準備も取りかかっています。毎年恒例となってきた「おひなさまイベント」のメインは、なんといっても十二単や袿袴姿の着用体験になるのではないでしょうか?十二単と袿袴姿用の衣裳は新たに新調したので、広報用の写真が必要になっていました。そこで、12月のある日、いつもは資料の写真撮影に使う博物館のスタジオですが、今日ばかりは毛せんを敷いて金屏風を引き回し、慣れない撮影会となりました。
 十二単は、白衣に濃色の袴をつけた上に、単、五衣、打衣、表着、唐衣、裳を次々に着付けていきます。
十二単姿
 着付けには二人がかりで大体20分程度、こちらは、身長140センチから160センチくらいの小中学生用になっていますが、重さは12キロもあるんですよ。
 袿袴姿は、当館所蔵の西条藩松平家雛飾りの女雛と同じタイプの衣裳で、白衣に紅色の袴をつけた上に、単、袿を着付けます。
袿袴姿に変身中
 こちらの衣裳は130センチ~140センチくらいの小学生用、このほかに色違いで110センチ前後の幼児~小学生用もあります。
 大勢のギャラリーがカメラを構えているなか、和やかに撮影が進みます。
撮影中

撮影中
 着付けから撮影終了まで二時間あまり。プロの写真館のようにはいきませんが、なんとか無事撮影することができました。重い衣裳にもかかわらず、最後まで笑顔で頑張ってくれたIさん姉妹、本当にお疲れさまでした。
貝合わせで遊んでみよう
 おひなさまイベントは、平成21年2月28日(土)、3月1日(日)です。
「十二単着付け体験」、「おひなさまに変身」などイベントの詳細は後日お知らせしますので、お楽しみに。

ことわざになった道具たち―その2―金のわらじでたずねる

12月 22日 月曜日

金のわらじでたずねる
金(かね)のわらじでたずねる
(イラスト 菊池安希子)

わらじも昔のはきものです。ふつうのわらじは「わら」でできています。ずっと使っているとぼろぼろになるので、新しいわらじにはきかえます。
いくら歩いてもすりへらない鉄のわらじで、価値のあるものをじっくりと探すことを「金のわらじでたずねる」といいます。

例 金のわらじでたずねても、こんなにやさしい人はいない。

金のわらじでたずねる
「昔の道具の謎をとけ!」展に展示中のわらじ
(中央がわらじ。 左側はわらぞうりです)

ことわざになった道具たち-その1-「下駄をはかす」

12月 21日 日曜日

「昔の道具の謎をとけ!」展では、ことわざになった道具を紹介しています。2007年の「異界・妖怪大博覧会」展では妖怪になった道具を紹介しました。
「百鬼夜行絵巻」という絵巻物では、顔や頭などの体の一部が道具で表現されている妖怪が描かれているのです。それは、道具を粗末に扱うと妖怪になってしまうという考えからきています。
同じように、古くから人々の間で言われてきた教訓やことわざのなかにも、道具が出てきます。それだけ、人々に身近でわかりやすいたとえとして道具が使われたということでしょう。
紹介する道具はいずれも「昔の道具の謎をとけ!」展で見ることができますので、ぜひご覧のうえ、ことわざを使いこなしてください。
下駄をはかせる
下駄をはかす(イラスト 菊池安希子)

下駄とは昔のはきもののことです。下駄をはくと背が高くなることから、ものの値段や数字を実際よりも高くつけることを「下駄をはかせる」といいました。
下駄やぞうりも今の靴と同じように、天気や着る服、何をするかを考えて、えらばれました。さあ、「昔の道具の謎をとけ!」展で、はきものから天気や人物を推理してみませんか。

例 遊んでばっかりのあの子が落第しないなんてびっくりだ。テストの点数に下駄をはかしてもらったんじゃない?

下駄

下駄の展示風景

特集展示「昔の道具の謎をとけ!」

12月 20日 土曜日

昔の道具の謎をとけ!
特集展示「昔の道具の謎をとけ!~怪人れきはくからの挑戦状~」は、本日開幕しました。
この展示は、常設展示観覧料でご覧いただけます。
大人 500円(400円)
※( )内は20名以上の団体料金
※小・中学生、65歳以上の方は無料です。

職員一同、みなさまのご来館を心よりお待ちしております。

怪人れきはく その光と影 最終話(三話完結)

「大変よ!今すぐ展示室にいらして!」

 2008年12月20日の朝、事件は起こりました。
 E博物館の職員が展示室に駆けつけると、なんと不思議なことでしょう!展示室の入り口に、怪人れきはくからの招待状が挑むかのように掲げられています。

挑戦状
挑戦状の掲げられた展示室入り口

 呆然と立ち尽くした職員たちは、我に返り、展示室に一歩足を踏みいれます。
 するとそこには、整然と並んだ昔の道具たちと怪人れきはくからの謎が! 

「い、いつのまに、こんなことが・・・」
「昨日までは、この展示室はからっぽだったはずですわ。」
 
 いぶかしむ職員たちが、道具の謎に一つ一つ挑みながら先へ進みます。
 怪人れきはくは職員に変装し、昔の道具を綿密に調査し、来館者の動向や反応を探っていたのです。そして満をじして出された謎の数々!
 職員たちは昔の道具をよく見て、もし自分だったらどう使うか・・・頭をフル回転させながら考えます。
 そして、最後のコーナーを曲がった職員の目に入ったその姿は!
 黒いつやつやとした帽子の下に赤く光るマスク。そして指さすその先にあるものは!

指さすその先に
指さすその先に

 怪人れきはくの手によるスペクタクルの幕が今ここにあがりました。
 もう後戻りはできないのです。
 先に進むよりほかはないのです。

 ようこそ、「昔の道具の謎をとけ!~怪人れきはくからの挑戦状~」展へ

 おわり(このお話はフィクションです)

怪人れきはく その光と影 第二話(三話完結)

12月 19日 金曜日

 私の名前は「怪人れきはく」。本名はもう覚えていない。本当の名前など私には必要がないからだ。
 私の一番古い記憶は、神戸の港から母方の祖父母に手をひかれ外国へ向かう船に乗ったことだ。渡欧した初代「怪人れきはく」の足跡をたどるためドイツに向かったのは、1988年、昭和最後の年がまもなく終わろうとしている頃だった。
 あれから長い年月がたち、懐かしい故郷に戻って一番驚いたのは、私の愛する道具たちのことだ。飴色になるまで使い込まれた木の手触り、何度も研ぎなおし小さくなっていくにつれ増す金属の頼もしさ。
 あのいとおしい道具たちの活躍する場所はもうないのだろうか。私たちの手となり足となってくれた道具たちは今、どこにいるのだろうか。
 私は道具たちを探して、日本中を歩きまわった。時には丁寧に手入れされた道具に安堵し、時には今も重宝されている道具を見て快哉を叫んだ。しかし粗大ごみの日に道端に打ち捨てられている道具に涙することも多かった。修理するすべもわからず、すぐに新しい道具(それはもう機械と言えるかもしれない)を買う人々の姿にこぶしを震わせた。
 もう道具の居場所が消えつつあるのが現実なのだろうか。
 「知らない」ということ。「見たことがない」ということ。「使ったことがない」ということが、昔の道具を追い詰めているのではないだろうか。
 しかし、昔の道具に光を当てようとする動きもないわけではない。町の資料館や博物館、学校では昔の道具の仕組みや使い方に注目し、今も大切に保存されている。
 私の調査によると、近々E博物館で昔のくらしや道具を紹介する展示が行われるらしい。E博物館に恨みはないが、我輩の舞台に選ばせてもらおう。昔の道具の謎をめぐるスペクタクルの始まりだ。
 そう、挑戦状を送るのだ。

 つづく(このお話はフィクションです)

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