「怪人れきはく」リサーチ班から情報が届いた。
以前、学芸員が、博物館で保管している古い地元新聞を整理していたところ、
「生活道具を次世代に伝える」という短い投書記事を見つけてスクラップしていたというのだが、その記事に興味深い点が・・・。
新聞の日付は、昭和51(1976)年1月4日。
内容は以下のとおり。
機械化の進んだこの世の中、炊事、洗濯に掃除などの衣食住だけでなく、車などの交通手段、農業・漁業の動力化。生活のすみずみまで機械化されている。
便利になった面も当然あるが、機械のしくみもわからぬうちに使っているので、逆に我々人間が機械に使われているかの印象を持つ。
祖父の代から使っていたこれまでの生活道具は、その作り方から仕組みまで理解した上で使っていた。道具の工夫や知恵が手に取るようにわかっていたのである。
昨年(昭和50年)に、文化財保護法が改正され、後世に伝えるべき「文化財」として、これまでの生活道具も「民俗文化財」として保存すべきこととなった。愛媛でも年内には生活道具(民具)を集めた県の歴史博物館が開設されると聞いている。
これからは、先祖からの知恵と工夫の詰まった生活道具を大切に保存し、後世に伝えるため、何らかの活動を自分自身も行っていこうと思っている。 以上。
そして、驚くことに、この投稿者の名前は「ペンネーム 怪人れきはく(東京都在住・73才)」と書かれている。
今から32年前に、「怪人れきはく」を名乗る人物がいたのである。しかも、投稿内容が、今回、博物館にとどいた挑戦状と似ているではないか!
さらに、1976年時点で73歳という年齢。この人物が今回の挑戦状の送り主だとすると、105歳?
いやいや、怪人れきはくを目撃した職員の証言では、若い男性だったというから、同一人物とは考えにくい。謎は深まるばかり・・・。
(この話はフィクションです。)