友の会土器ドキクラブでは、当館に寄贈された和口遺跡採集の旧石器時代の石器の整理をしています。和口遺跡は、僧都川の支流である和口川のほぼ中流右岸の低丘陵上、南宇和郡愛南町御荘和口の通称「西の駄馬」に所在しています。昭和61年に、ここでナイフ形石器等数百点の遺物が採集されたのを契機に、翌年新聞紙上で遺物発見の報道がなされ、旧石器時代の遺跡として周知されるようになります。
昨年12月16日、その見識を深めるため、講師に㈶愛媛県埋蔵文化財調査センターの多田仁氏を招き、平城交流センターで和口遺跡とその遺物について解説していただいた後、実際に和口遺跡を訪ねました。

多田氏によると、「和口遺跡の石器には主に頁岩(けつがん)とよばれるこの近辺で取れる石が材料として用いられているが、石器の製作技術には、瀬戸内技法(備讃瀬戸地域で発達した2万年前の石器製作技術)で製作されたナイフ形石器や翼状剥片が存在している。このことから、現在の香川県あたりにいた旧石器時代人が和口まで移動してきたと考えられる。」ということでした。参加者は、氏の話を興味深く聞き、熱心にメモを取ったり、質問したりしていました。
その後、交流センター内に展示してある平城貝塚出土遺物を見学し、昼食をはさんで、和口遺跡にむかいました。




和口遺跡に着くと、石器を探してみることにしました。




20分くらい探した結果、7点の石器が拾えました(ただの石は、これの10倍ほど拾いましたが…)。これらの石器は、愛南町教育委員会におわたししました。
この後、和口川に行って頁岩を拾い、その場で多田氏に石器の製作実演をしていただきました。


土器ドキクラブ員にとっては、愛南の旧石器にふれ、とても充実した1日でした。