2010 年 11 月 19 日 のアーカイブ

能島城と潮流体験

11月 19日 金曜日

 11月7日、特別展「伊予の城めぐり-近世城郭の誕生-」の関連講座として、村上水軍博物館の学芸員田中謙先生を講師に、「能島城と潮流体験」を実施しました。

  能島は普段上陸が難しい無人島ということもあり、参加者一同期待に胸が膨らみます。今治市街を経て来島海峡大橋まで来ると、もはや村上水軍の世界。来島・小島・中渡島・武志島など、かつての海城(うみじろ)跡を眼下に大島へ入ります。

  宮窪地区へ入っても、すぐには能島に向かわず、カレイ山展望台へ。最近はカレイ山のカレーが静かなブーム(?)のこの山、実は能島城の絶景ポイント。ここで田中講師とも合流し、能島周辺の島々・瀬戸の概観を眺め、遠くは広島県まで見渡しました・・・、と言いたいところでしたが、あいにく霧が立ち込め、能島周辺がやっとぼんやり見える程度で少し残念でした。でも講師曰く「こんな幻想的な能島城もなかなか見れませんよ。」・・・そのとおりです。

 

 下山した後、村上水軍博物館へ移動。講師の解説とともに、最新の発掘成果を織り交ぜた展示を見学。村上水軍の歴史、能島からの出土品、村上家の伝来品など、貴重な史料を分かりやすい解説で勉強しました。

  そしていよいよ海へと乗り出します。まずは能島の周囲と船折瀬戸の潮流を体験。当日はちょうど大潮の日で、潮は一段と激しく流れていました。「船折」の名もさながらに、船が流されてしまうのではないかと思うくらいの速さで轟音を立てながら、月並みですが「まるで川のように」流れる潮、大小の島・岩礁や海底の複雑な地形によって海水がまるで湧き出すかのように盛り上がる湧潮、潮と潮がぶつかり合いながら生み出される渦潮、渓流のように岩礁を乗り越え流れる潮流。あまりにも印象の違う海の姿に参加者全員、船酔いすることも忘れて潮流に見入っていました。

  

 こんな海に囲まれた能島が、まさに海に守られた城であることを実感するとともに、こんな海を航行するにはよそ者だけでは命に関わるため熟知した村上水軍たちの助けがどんなに大切なものかも実感することができました。

  

 最後に、お待ちかねの能島城へ上陸。現在桟橋が設置されている平地部は、実は戦国時代から埋め立てによる平地が作られていた場所で、生活道具なども出土しています。そこから発掘作業中の三之丸へ上り説明を聞き、そして「船だまり」といわれる北側の浜にも下りました。岩礁部に、満潮海水面に合せるように作られた武者走り、よく見るといくつもの柱穴(ピット)が開いています。「船だまり」の名のとおり、岩礁に柱を立てて船を係留していたのではないかと考えられているようです。

  

 そして、二之丸・本丸へ。本丸には、見張り台のような「井楼」(せいろう)が建っていたと考えられています。やはり発掘中の東南出丸でも説明を聞き、船へと戻りました。

  

 現在進行中の発掘現場で説明を受け、能島の様子を目にし、周囲の景観も眺め、能島城を堪能できたひとときでした。「防御遺構が少なく、生活臭さがたっぷりある能島城は、「城」としての性格を再検討する必要があるのかもしれない」という講師の一言も、大変印象に残りました。

 参加者全員、村上水軍の世界を体感した一日でした。