愛媛県歴史文化博物館の秋の特別展「佐田岬半島と西日本の裂織」展では、関連講座も盛りだくさんです。
先日27日には、愛媛の裂織の里である佐田岬半島へのバスツアーを開催しました。
今回は豪華なダブル講師をお招きしたのですが、まずは伊方町立町見郷土館学芸員の高嶋賢二さんが、裂織を着ての登場です。

高嶋講師による車窓からの案内を聞いているうちに、町見郷土館に到着です。こちらに展示されている裂織の仕事着は、試着もできますので、裂織を着た姿の記念写真を撮る参加者もおられました。

また、町見郷土館では平成25年2月3日(日)まで「海でつながる畑-佐田岬の地形と農業-」展を開催中です。夏柑収穫の様子など、古い写真や田舟などの民具など、皆さん熱心に見られていました。
町見郷土館をあとにして早めの昼食の予定でしたが、参加者の皆さんの迅速な行動のおかげで、少し時間に余裕ができました。そこで、もう一ヶ所「二見くるりん風の丘パークに行くことに。巨大な風車の下、高嶋講師の話を聞きながら絶景を満喫しました。

頂いた伊方町の文化財マップを早速広げて、熱心に話し合う参加者も見られました。
亀ヶ池温泉でごちそうを頂いた後は、大佐田地区の船蔵(ふなぐら)を歩いて見学しました。

船蔵は木造二階建てで、一棟に二艘の船を収納し二軒でシェアしていたとの高嶋講師のお話しでしたが、見た目は二階建てに見えない船蔵もあり、参加者の方は不思議そうにぐるりを観察されていました。
大佐田地区を散策しながら、そのまま三崎オリコの里「コットン」へ移動します。ここで本日二人目の講師、佐田岬裂織保存会代表の小林文夫さんの登場です。

「裂織は、はじめは固いけれど、慣れてくるとなじんできます。私の分身みたいなものです。」
と語る小林さんの言葉が印象的でした。
オリコの里は、旧大佐田小学校を活用しており、こちらには昔の民具をおさめた資料室もあります。小林さんによる裂織の解説のあと、資料室の見学をするグループと、裂織の体験をするグループに分かれました。
裂織の体験では、自分の選んだ裂糸で織っていただくのですが、あっという間に時間が過ぎたようです。

「展示室の中ではわかったような感じになりますが、今回のツアーで昨日までの佐田岬の印象がかわるとうれしいです」
ツアーの終わりに高嶋講師が言われた言葉です。
「佐田岬半島と西日本の裂織」展では、裂織の魅力、佐田岬半島の魅力を伝えるべく、力の入った展示になりましたが、それでもやはり、現地でなければ伝わらないこと、感じられないことがあるのも事実です。
そのためにこのようなバスツアーや講座などが一助となればという思いから企画しております。
また、今回お世話になりました佐田岬裂織り保存会の皆様には下記の期間、当館企画展示室での製作実演も予定しています。貴重な機会ですのでぜひご来館下さい。
日時:11月24日(土)・25日(日)10:00から12:00 13:00から16:30
佐田岬裂織り保存会による裂織りの製作実演(企画展示室)