博物館には昔の道具を多く収蔵・展示していますが、後世に伝えていくため、大切に保存することも大事な役割の一つです。
しかし、民具は生活の中で使われていた道具でもあり、民具の大切さ、面白さを伝えるために体験の機会も少しずつ増やしていきたいとも考えています。
そこで、昔の民具を現在でも作ることの出来る方がいれば、お話しを伺いに行くこともあります。
例えば、西条市の大保木公民館では、長年にわたりミノ作りの講座が行われています。先日、ミノ作り講座の講師でもある伊藤幸さんにお話しを伺うことができました。
伊藤さんが作られるミノはワラではなくスゲでできています。刈り取ったスゲを二日間水に浸けたあと、ワラツチで打ち、さらに石で打ち、スゲを編む下準備をします。
ツクと呼ばれる木製の台とイシを使って編んでいく伊藤さん。
お話ししながらも手は休むことはなく、みるみるうちにミノが形作られていきます。
今回は、日よけに使うセミノと雨よけに使うミノについて、作り方や使い方などお話しを聞くことができました。
セミノは袖の部分がなく、草引きなどの農作業の時に日よけとして使いました。

ミノは雨よけとして使い、使い終わったら水を切って日の当たるところに干しておくと長く使えたとのことです。

ミノは一見しただけでも、手の込んだものだということはわかりますが、伊藤さんのお話しを聞いてあらためて見直すと、製作への苦労や工夫、使った人たちの生活が伺えて、さらに魅力が増しました。
資料だけでなく、それにまつわるお話を記録し、後世へ伝えることも大切な仕事であるという当たり前のことを再確認した1日でした。