Archive for 5月, 2013

ハーモニカたんす

2013年5月30日

 特別展「民具王国びっくりミステリーツアー」で一二を争う人気の資料が「ハーモニカたんす」です。
 このたんすはただのたんすではありません。引出しを開け閉めすると「ファ~」とハーモニカのような音が鳴るので「ハーモニカたんす」と呼ばれています。空気が出入りすると音が鳴る仕組みになっています。ハーモニカは「息を吸う/吐く」で音が違うように、ハーモニカたんすも一つの引出しを「引く/押す」で音が変わります。音が出るのは、防犯の目的のためのようです。

 このたんすは松山市の一矢タンス店(現在のイチヤ家具店)が製作したもので、扉の内側にその銘が残っています。
 先日、このイチヤ家具店の一矢さんと奥様がご来館し、ハーモニカたんすについていろいろとお話ししてくださいました。
 たんすを運ぶために棒を通す「棒通し」や鍵の部分「鍵座」、真鍮製のカン(金へんに丸)などたんすの部分名称も丁寧に教えていただきました。
 また、最下部の左の引き出しを引き抜くと非常ベルのような音が鳴ります。丸い突起部が押されると鳴るものであり、もう少し新しいたんすの場合、バネのようになっているそうです。

 ハーモニカたんすは、普通のたんすと比べて高価であるとか時間がかかるというわけではありませんが、空気がもれないしっかりしたたんすでないとできないそうです。それをお客さんに説明するために、引き出しを上下逆にしても入れ、精密な作りだということをお見せしたりもしたそうです。

 このような「間箪笥」(けんだんす 幅180cm)は20年前くらいから作っておらず、今では四尺箪笥(よんしゃくだんす 120㎝)が主流となっているそうです。きものが日常的だった時代から洋服の時代になったことや、引っ越しや住宅などライフスタイルの変化が、たんすの変遷から読み取れる、大変面白いお話をお聞きすることができました。

 「民具王国びっくりミステリーツアー」では、ハーモニカたんすの音色(ねいろ)をはじめ、スゲミノの肌触りや昔の教科書の内容など、さまざまな体験をしていただけるコーナーがございます。
 おすすめの体験型展示解説会「民具王国ミステリーガイドツアー」は展示期間中以下の日程で実施しております。

 毎週土曜日 午後1時受付開始
         午後1時半~(所要時間 1時間程度)
 先着20名
 特別展観覧券が必要です

 次回は6月1日の土曜日、皆様をお待ちしています。

昔のあかり体験

2013年5月15日

 特別展「民具王国びっくりミステリーツアー」では、楽しい関連イベントがあります。その一つ「昔のあかり体験」が12日に開催されました。
 まずは参加者の皆さんと展示室へ。
 展示室の七つの謎(クイズ)の一つである「家の中で使う明りの道具」と「家の外で使う明りの道具」をグループ分けしてもらいました。
 
 

 なんと参加者の皆さん全員正解!(正解は展示室でお確かめください。)
 その後、蚊帳(かや)の前で、がんとう提灯(ちょうちん)の仕組みや行灯(あんどん)を見ていただいた後、トラックヤードへ移動しました。

 博物館の展示室では飲食はご遠慮いただいていますが、火気ももちろん厳禁です。
 今回の体験では実際に火を使いますので、トラックヤードに移動して体験を行いました。

 和ろうそくと洋ろうそくの炎を比べたり、油について説明を受けたあと、実際に提灯に火をともし、歩いてみました。
 トラックヤードの利点はもう一つ、電気を消すと真っ暗になるのです。

 真っ暗な中、提灯を手に歩く参加者のみなさんです。
 前の一方向を照らす今の懐中電灯と違って、四方八方にぼんやりと光を放っている様子がお分かりでしょうか。
 最後は火打石の体験です。みなさん上手に火花を散らすことができました。

 火は明るく照らし、熱を与えてくれるとともに、扱いを間違うとけがをしたり火事へとつながる恐ろしいものでもあります。昔の人々も、火の扱いには注意をしたことが明りの道具の構造からもわかります。
 今の照明道具や暖房道具への移り変わりについて家族で話してみるのも面白いかもしれませんね。

 「民具王国びっくりミステリーツアー」の楽しい関連イベント、次回は「昔の香り体験~小学生のはじめて香道~」です。
 香水や柔軟剤など、生活をとりまく「香り」ですが、昔の人はどのように香りを楽しんでいたのでしょうか?
 この講座はタイトル通り、小学生の子どもさんを対象にしていますが、保護者の方やそれ以外の方もぜひご一緒においでください。会場の後ろに椅子を用意しますので、同じ空間で香りを体験いただけます。

昔の香り体験~小学生のはじめて香道~
日時:  6月9日(日)13:30~15:00
講師:  橋本典子氏(香十)
定員:  20名
材料費: 200円

*事前申し込みが必要です
*住所、氏名、年齢、電話番号を記入して5月26日(日)必着ではがきまたはファックスでお申込みください。ただし応募者多数の場合は抽選となりますのでご了承ください。
 あて先 〒797-8511 愛媛県歴史文化博物館「昔の香り体験」係

 お申込みをお待ちしております。

俵編みの実演

2013年5月14日

 特別展「民具王国びっくりミステリーツアー」の期間中、毎週土曜日は展示解説会「民具王国ミステリーガイドツアー」が行われております。
 5月11日は、なんと俵編みの実演がありました!
  今回の展示ではわら細工の民具、俵やフゴ(ホゴ)、ワラジなどの体験資料の製作に宇和わらぐろの会の上甲清さんにご協力いただきました。こちらの資料は体験用ですのでなでたり持ち上げたりして体験していただけます。

  製作者の上甲さんに展示室で実演や解説をお願いしていたところ、11日に来館し実演してくださいました。

 編み台を前に来館者の方の質問に答えたり、実際に編んでみせてくださいます。
  ちょうど来館していた松山市の中学生たちは、座りこんでメモを取ったり、実際に編んでみるなど熱心に見学していました。
 また上甲さんは、俵編みの実演だけでなく、ミノの使い方や紐の結び方など民具の使い方についても笑顔で教えてくださいました。

 今回のスペシャルゲストの上甲さんですが、展示期間中にまた実演に来て下さるかもしれません。その時は事前にお知らせしたいと思っております。お楽しみに!

 民具王国ミステリーガイドツアーは展示期間中以下の日程で実施します。

毎週土曜日 午後1時受付開始
         午後1時半~(所要時間 30分~1時間程度)
先着20名
特別展観覧券が必要です

次回は5月18日の土曜日、お待ちしています。

考古講座のご案内

2013年5月8日

 考古展示室で開催中のテーマ展「常設展示室にある復元住居の遺跡-半田山遺跡と片山内福間遺跡-」に関連した考古講座を、下記の日程で行います。
 考古講座①では、瀬戸内海燧灘南岸における山住みの集落の実態や、そうした集落と高地性集落との違いなどが、また、考古講座②では、近年、発掘調査の成果が著しい今治市において、出土遺物から見た中世集落の姿など、大変興味深いお話が聞けると思います。ぜひご参加いただきますよう、よろしくお願いいたします。
 なお、本講座に関するお問い合わせは、当館 企画普及係までご連絡下さい。

考古講座①
日 時 : 6月8日(土) 13:30~15:00
会 場 : 当館 研修室1・2
講 師 : 柴田昌児氏 ((公財)愛媛県埋蔵文化財センター資料係長)
内 容 : 「弥生時代の山住みの集落と高地性集落」

考古講座②
日 時 : 6月16日(日) 13:30~15:00
会 場 : 当館 研修室1・2
講 師 : 柴田圭子氏 ((公財)愛媛県埋蔵文化財センター担当係長)
内 容 : 「今治平野の中世集落」