2015 年 2 月 のアーカイブ

「八幡浜市若山の俵札」 愛媛大学日本史研究室と当館による合同調査

2月 20日 金曜日

この小さな俵(約46×18×16㎝、当館蔵)の中身は何でしょうか?

この俵は、西予市卯之町と八幡浜市八幡浜を結ぶ卯之町街道沿い近くにあった民家(八幡浜市若山)の軒下に長らく吊り下げられていました。

八幡浜市若山の民家で吊り下げられていた俵

このたび、博物館で俵の中身を取り出したところ、四国遍路や巡礼に関係するたくさんの納め札(おさめふだ)等が丸められて隙間なく詰められていたことがわかりました。

俵から取り出された中身

納め札とは、「のうさつ」、「巡礼札」ともいいます。木製、金属製、紙製などの短冊状の札に、巡礼の名称、願意、氏名、年月日などを記し、巡礼者が参詣した証として札所や社寺などに奉納するもので、西国三十三所巡礼や四国遍路などでも使用されました。また、お接待のお礼として相手に渡したり、巡礼者同士の名刺代わりなどにも用いられたりしました。

古くは、霊場寺院の柱などに釘で木製の納め札を打ち付けたことから、霊場を「札所」、参拝することを「打つ」と呼ばれました。

俵の中に納められていた納め札。右から天保6年、嘉永元年。

納め札には呪力があると信じられ、お接待のお礼としていただいた納め札を集めて、身近にあった俵の袋に入れて、家の御守りとして天井裏などに吊るしました。俵の中に入れられ納め札は俵札(たわらふだ)と呼ばれています。

2月17・18日の二日間、愛媛大学法文学部人文学科教授の胡光先生と日本史研究室のゼミ生(13名)の皆さんと一緒に、納め札等が入ったこの俵の中身について資料調査を行いました。

最初に、当館学芸員による納め札の概要と八幡浜市若山の歴史や納め札の整理方法などについて説明をしました。

当館学芸員による納め札の解説

その後、胡先生の指導のもと、愛大生は班ごとに分かれ、実際に俵札の整理作業を行いました。

愛媛大学日本史研究室の胡ゼミ生による整理作業の様子

愛媛大学日本史研究室の胡ゼミ生による整理作業の様子

まずは、団子のように丸められた俵札等の塊を選びとり、その中の納め札が破れないように一枚一枚丁寧に取り分けました。長年、軒下に置かれていたため、俵の中は塵や埃にまみれ、汚れや劣化が著しいものも多く、整理作業はマスクを着用して、塵や埃を除きながら、資料を抽出していきました。

愛大生による資料の選別作業

丁寧に納め札を取り出す

俵の中には納め札以外にも、巡礼者のお土産と考えられる弘法大師御影や仏絵などのミニ掛軸や護符なども見られました。

俵に入れられていたミニ掛軸

抽出された納め札は、折れやシワをのばし広げて、一枚ごとに透明なシートに収納しました。その後、あらかじめ作成した俵札調査票の項目にならい、納め札に記された文字情報(主文、願意、巡礼者の住所、願主、年月等)についての解読作業に入りました。読めない文字は古文書辞典や地名事典、梵字辞典などを参照し、また、胡先生と当館学芸員が指導助言にあたりました。

愛大生による納め札の解読作業

胡先生による古文書解読の指導

今回の二日間にわたる当館と愛媛大学日本史研究室の胡先生とゼミ生の皆さんの共同調査によって、ごく一部ですが俵の中身が少し見えてきました。納め札は現時点で天保年間~明治期のものが確認されています。納め札の全体の枚数や具体的な内容の分析についてはこれからの課題となります。納め札は巡礼者の生の記録であり、また、巡礼者を迎えた地域にのこる資料でもあり、四国遍路の歴史を探る上で貴重な巡礼研究資料として注目されます。

テーマ展「初三郎が描いた世界」オープン

2月 18日 水曜日

テーマ展「初三郎が描いた世界」が、17日(火)にオープンしました。常設展示観覧料で御覧頂けます。展示会場は文書展示室です。

本展のみどころは、43都道府県にもおよぶ約70作品を展示していることです。特に、愛媛県は8点、徳島・香川・高知県は各2点を展示しています。展示室を一周すると、吉田初三郎(1884~1955)独特のデフォルメされた鳥瞰図を一堂に俯瞰することができます。また、壁面に拡大展示している「松山道後名所図絵」と「瀬戸内海遊覧絵図」も御覧下さい。「松山道後名所図絵」は、讃予線(現予讃線)が松山まで延伸した昭和2年の様子を瀬戸内海側から描いていたものです。「瀬戸内海遊覧絵図」は、大阪と九州を結んだ大阪商船の航路を色分けして描いたもので、航路が虹のような曲線美をなしています。

『吉田初三郎関係資料目録』(1,000円)も好評発売中です。展示期間は4月5日(日)までです。御来館お待ちしています。

博物館のおひなさまに会いにきませんか?

2月 17日 火曜日

企画展「おひなさま」が開幕しました。
会期:平成27年2月17日(火)~4月5日(日)

赤い毛氈とお雛さま、華やかに彩られた空間は、春の訪れを感じさせてくれます。
今年も博物館のおひなさまに会いにきませんか?

おひなさまを飾りました

2月 14日 土曜日

民俗展示室2「海の家」「里の家」「山の家」では、毎年桃の節句にあわせておひなさまを飾っています。今年はボランティアさんにお手伝いしてもらって、学芸員ともども総勢7名で作業開始。

横にすると目が閉じるお人形を手にして懐かしがってみたり、動物のぬいぐるみや旅のお土産物まで玉手箱のように出てくる品々に、作業中もみんなで話がはずみます。

お人形の並びに決まりのある部分は少しだけ気を使いますが、それ以外には決まり事は特にありません。 飾り付け担当さんのセンスの見せどころ。雛段を賑やかに並べていってもらいます。

ボランティアさんのおかげでいつもより短い時間で飾り付けることができました。
完成した雛段の様子は、民俗展示室でご覧いただけます。

企画展「おひなさま」もまもなく開幕です。
会期:平成27年2月17日(火)~4月5日(日)

ぜひ博物館へ足をお運びくださいませ。

テーマ展「吉田初三郎が描いた世界」まもなく開幕

2月 6日 金曜日

テーマ展「吉田初三郎が描いた世界」の準備が始まりました。初三郎(1884~1955)は鳥瞰図の絵師で、全国各地の街並みや名所旧跡を描いています。本来一枚にはおさまらない地形を大胆なデフォルメしている点が特徴です。

今日は、壁面に拡大した鳥瞰図を二点、ウォールケース内には部分拡大した額を取り付けました。今後は実物資料の列品に取りかかります。今月17日(火)から開幕です。みなさんお楽しみに。

また、本展に先立ち昨年末に『吉田初三郎関係資料目録』(一般1,000円、友の会会員は2割引)を発行しました。こちらはすでに販売を開始しています。図版を多く掲載していますので、ぜひこの機会にお買い求め下さい。