先日開幕した特別展「自転車ヒストリー 夢と希望をペダルに乗せて」、おかげさまで多くの方々に楽しんでいただいております。
本展は、自転車文化センター(東京都)及び自転車博物館サイクルセンター(大阪府堺市)の特別協力をいただき、自転車の歴史とその時代背景や、自転車を切り口とした愛媛の歩みを紹介した展覧会になっています。
四国で歴史的自転車をこれほどまとまって展示するのは初めてです。
どんな内容なのか、少しずつご紹介しましょう!
まず展示室で皆様をお迎えするのは、八幡浜で発見された我が国現存最古級の三輪自転車です。
八幡浜で発見された我が国最古級の三輪自転車(自転車博物館サイクルセンター蔵)
「これが自転車?」と不思議に思われる方もいらっしゃるかもしれません。
現在の自転車の原型となる、セイフティ型自転車が完成したのは明治18年(1885)のことです。
明治4年(1871)の浮世絵には「自転車」としてこのような乗り物が描かれています。
明治4年 東京高輪往来車盡行合之図(部分)(自転車文化センター蔵)
八幡浜で発見された自転車は、明治初期にはすでに日本で走っていた「手動+足踏み式」の三輪自転車を模して造られたようで、両手で左右のレバーを前後に動かすと、後輪が回って動く仕組みになっています。
車輪は繊細な36本の木製スポークで精巧に組まれており、その繊細な作りから、明治10年代に日本で製作されたものと推定されています。
錆はでているものの、130年以上を経ているとは思えないほど状態は良好です。
この三輪自転車は、八幡浜市浜之町の旧商家「菊池清治邸」の土蔵から平成16年に発見されました。
八幡浜市 菊池清治邸
木造2階建ての建物2棟が並んでおり、向かって右側の建物(住居棟)は明治6年の棟札が見つかっています。
向かって左側の建物(店舗棟)では、平成24年に八幡浜工業高校生が製作した三輪自転車の精巧な1/2サイズのレプリカが展示されています。
菊池家は海運業で蓄財を図り、文政4年(1821)に生まれた四代目菊池清治正明は海運業を中心に様々な事業を興し八幡浜の隆盛に寄与しました。明治19年(1886)に生まれた七代目菊池清治(世襲名)は、八幡浜町長、松山高等学校教授、広島高等学校校長等を歴任し、昭和22年には戦後の公選で八幡浜市長に当選し、戦後の混乱期に市政を担当しています。
この三輪自転車は、日本の自転車史及び明治時代の技術史を知る上で重要であると同時に、愛媛の自転車史の幕開けとして、「伊予の大阪」と称されるほどに活発な経済活動で栄えた明治前期の八幡浜、ひいては南予地域の先進的な気風を如実に伝える点でも、極めて貴重な資料といえるでしょう。
特別展「自転車ヒストリー~夢と希望をペダルに乗せて~」及び「弱虫ペダル原画展」は11月27日(日)まで開催中。ぜひお越し下さい!