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「高虎と嘉明」紀行1 -高虎生誕の地-

2017年10月19日

藤堂高虎は、弘治2(1556)年、近江国犬上郡藤堂村に藤堂虎高の子として生まれました。現在の地名では、滋賀県甲良(こうら)町在士(ざいし)にあたります。

琵琶湖の南を走る近江鉄道の尼子駅を降りて南東へ向かうと、そこが甲良町在士です。途中、出雲の戦国大名として有名な尼子氏の発祥地尼子城もあり、見所は豊富です。

江戸時代に編纂された藤堂家の歴史書『宗国史』によれば、当地には「城之内」と呼ばれる父・虎高が築いた構造物の遺構が残っていたといいます。現在、これに該当するとされる場所には、高虎出生地跡として小さな公園が整備されています。

出生地跡公園

少し北へ行くと、藤棚の美しい在士八幡神社が鎮座します。藤堂家の先祖藤堂景盛が応永年間(1394~1412)に京都石清水八幡宮から勧請したのが始まりと伝えられています。その時に藤も植えられたといわれ、現在は甲良町の天然記念物に指定されています。
江戸時代、当地は彦根藩井伊家の領地でしたが、藤堂家は歴代藩主が米を奉納するなど代々崇敬しました。

在士八幡神社

「高虎の道」と名付けられた小径を少し東へ散策すると、近年整備された高虎公園があります。中央の小さな池の中には、後部左右に大きく伸びた「纓(えい)」と呼ばれる装飾が印象的な、秀吉から拝領したとされる唐冠形兜をかぶる高虎の騎馬像が立っています。

高虎公園

現在当館で開催中の特別展では、「唐冠形兜」(伊賀市蔵)の実物を展示しています。

公園の入口には、徳川大坂城再築の時に藤堂家によって切り出されながらも未使用に終わったとされる巨石も据えられています。

高虎や藤堂家の痕跡が随所に残る甲良町在士、琵琶湖の東のこの地から高虎の出世の道は始まりました。

現在、愛媛県歴史文化博物館では、特別展「高虎と嘉明 -転換期の伊予と両雄-」を11月26日(日)まで開催しています。秋の行楽の季節、ぜひこの機会にご来場ください。

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