愛媛県佐田岬半島に伝わる裂織の上衣です。経(たて)糸は木綿糸、緯(よこ)糸に細かく裂いた古木綿布が用いられたリサイクル織物です。現地で「ツヅレ」とか「オリコ」などと呼ばれています。再生された裂織の布地は丈夫で暖かく、農・山・漁村の仕事着などに用いられました。
佐田岬半島の裂織は、袖や襟の部分に絣木綿布を用いたものや、緯糸に絣木綿の裂布が用いられ、紺絣の白地や色絣の色地が断片的に見え隠れする独特な身頃の色合いとなっているものも多く見られます。
佐田岬半島は、伊予絣や久留米絣など、西日本の木綿絣の産地近郊に位置し、裂織の材料に絣木綿が大量に使用されていることから、裂織は絣の普及以降の産物として位置付けられます。