村上節太郎写真5 涼み台とイワシ干し(昭和9年)

4月 10日 火曜日

村上節太郎写真6-57
 村上節太郎の写真と似たまなざしを感じる写真がある。それは民俗学者宮本常一が撮影した写真である。10万枚を数える宮本の写真は現在、生まれ故郷である山口県の周防大島町に寄贈され、「宮本常一データベース」として公開されている。

 この写真も宮本との共通性を感じさせる一枚。怒和島(松山市元怒和)の砂浜に敷かれた筵にイワシが干され、丸太を組んで筵の屋根を葺いた涼み台が連続して立ち並んでいる。夏の暑い日には、風が通る涼み台で寝ることもあったというが、クーラーのある現在、涼み台を目にすることはなくなった。それどころかイワシを干す砂浜も護岸工事で失われていった。日常のありふれた風景を撮り続けた二人の写真には、高度経済成長のなかで失われた様々な日本の姿が写し出されている。

※愛媛新聞連載「海と島に生きる」(平成19年1月14日掲載分)