村上節太郎写真6 秋祭りの奴振り(現松山市宇和間)昭和26年

4月 10日 火曜日

宇和間の奴

 村上節太郎は県内各地の祭りについても記録しているが、この写真は松山市宇和間(旧中島町)の奴振りの様子である。地元の青年・少年達が奴(やっこ)道具を持って天満神社の秋祭りに練り歩く行事で、江戸時代の大名行列を模したものといわれる。このような奴行列は、県内では旧周桑郡からしまなみ海道沿岸の南北のルートに加え、海を伝って旧中島町にまで分布している。

 宇和間の奴振りには、鳥毛や槍、弓、挟み箱などの奴道具を持つ者に加え、ダイバ(鬼)・鼻高(天狗)・猿・狐が行列の先頭を歩く。猿・狐は中予地方では獅子舞の中に登場するが、宇和間では獅子は出ない。中予の獅子舞の一部要素を取り入れていることや、奴振りが東予地方に多く分布していることは、この宇和間を含む旧中島町域が民俗文化的には東予と中予の中間領域にあることを示している。
 
 なお、宇和間の奴行列には、地元の3歳もしくは5歳の男子が仮装して行列に加わるのが習わしであり、地域の中での一種の通過儀礼ともなっている。

※愛媛新聞連載「海と島に生きる」(平成19年1月17日掲載分)