妖怪になった道具たち-その3-

8月 17日 金曜日

「異界・妖怪大博覧会」で展示している「百鬼夜行絵巻」には、長い年月を経て、変化をした道具の妖怪が多く描かれています。仏具や楽器、台所道具など、人間の役に立ってきた道具が粗末な扱いを受け、妖怪になったと考えられています。展示している絵巻の中には、一見何の道具が妖怪になったのかわかりにくい妖怪もいます。

○この高下駄をはいた妖怪は、何の道具の妖怪でしょうか。

鼻の高い天狗のような妖怪が頭にかぶっているのは手桶(ておけ)です。木製の部品を組み合わせて作る円筒形の容器を桶と呼びます。現在でも「風呂桶」という名前は使われています。水を汲んだり、家畜の餌をいれたり、洗浄用、運搬用、貯蔵用、調理用と様々な用途に用いられました。とくに水を入れて運ぶ桶を手桶、手提桶(てさげおけ)と呼びます。手桶の妖怪自身が、棒にぶらさげているのも桶のように見えます。

手桶 

手桶の実物は、当館の常設展示室、民俗展示室2「愛媛のくらし」の山のいえのまわりで見ることができます。

○仲良く顔を見合わせているような妖怪は、何の妖怪でしょうか。

右側の妖怪は傘の妖怪です。破れた番傘がばらばらにならないように紐でしばっていますが、その隙間からぎょろりと目が覗いています。
展示室でこの妖怪を見た子供さんが、「これは焼き魚の妖怪だ」と学芸員に話してくれました。なるほど、軽快でカラフルな現代の傘というよりは、色や形は焼き魚に似ているかもしれません。

番傘

番傘は、竹の骨に紙を張って油をひいたものであり、骨太なので、おりたたむとかさばります。また、現在と違って傘の先を上にして収納したのですが、これは雨が傘に染み込むのを防ぐためです。

番傘は、民俗展示室2「愛媛のくらし」の海のいえの中で見ることができます。

破れ傘の妖怪の歩みを心配するかのように振り返るのは、草鞋(わらじ)の妖怪です。藁(わら)の甲冑に身を包み、馬にまたがっています。

草鞋(わらじ)

草鞋は、藁でできた履物(はきもの)で、親指と人差し指の間に挟んで履きます。草鞋は、旅や労働などよく使われることから、大変身近な存在でした。