村上節太郎写真8 幸港の渡海船(昭和27年)

4月 12日 木曜日

村上節太郎写真7-541
 自動車やトラックが現在のように普及していない昭和30年前後まで、船は交通や運輸の重要な手段でありつづけた。そのため、村上節太郎が撮影した写真には漁船だけでなく、様々な物資を載せた船の姿が多く見られる。

 この写真も、芸予諸島大島の幸港(今治市吉海町)に停泊する船を撮影した一枚。左の船は今治港と幸港を結ぶ渡海船第五高島丸。踏み板が渡された船内にはたくさんの荷物が置かれている。右の船は沖合に停泊する定期連絡船まで人や荷物を運んだ渡船。たくさんの人が乗っており、自転車も積み込まれるなど、船が島の人々の日常的な足となっていた様子が分かる。

 渡海船は、「島の便利屋さん」ともいえる存在で、海に囲まれた愛媛では、瀬戸内海や宇和海を舞台に網の目のように航路が広がっていた。しかし、自動車を載せるフェリーの就航やしまなみ海道の開通により、島は一つの通過点となり、渡海船を目にする機会も少なくなった。
    
※愛媛新聞連載「海と島に生きる」(平成19年1月19日掲載分:一部加筆修正)

幸港の現況写真。埋め立てが進み、沖合に広がっていた干潟も姿を消している。
現況写真7-541g