村上節太郎写真9 今治本町の商店街(昭和11年)

4月 13日 金曜日

村上節太郎写真7-147
 空には美しいアーケードが架かり、店先には様々な形の凝った看板、夜の通りを照らすモダンなスズラン灯が連続する。そして、横断幕には、「東洋のハーゲンベツク、木下大サーカス団」の文字が見える。

 この写真は戦前の今治本町の町並みを撮影したものである。本町は古くからの商店街で、今治港から近いため、近郊だけでなく島からも渡海船で買い物に来る人々でにぎわった。呉服町といわれるほど呉服屋が多く、そのほかに洋傘やショールを扱う小間物屋などもあった。一回買い物に来ると、女性の身のまわりのものは大概がそろったという。

 このモダンな商店街も、昭和20年8月6日、B29六十六機の二時間にわたる激しい空襲により焼き払われた。無数の照明弾で照らされたなか、次々に焼夷(しょうい)弾が落とされ、今治旧市街の75%は焼失、本町も瓦礫(がれき)と化した。村上節太郎の写真は、戦災で失われた町並みのありし日のかがやきを今に伝えている。
    
※愛媛新聞連載「海と島に生きる」(平成19年1月21日掲載分)

 今治本町の現況写真。戦後の区画整理で道幅が広くなり、店の並びも変わった。
現況写真7-147g