昭和39年8月21日、ギリシャのオリンピアにあるヘラ神殿跡で採火された聖火は、世界の11の中継地をまわった後、9月7日に当時アメリカの占領下にあった沖縄に上陸します。聖火はその後4つのコースに分かれて日本中をまわりますが、愛媛にも9月12日についに到着します。高浜桟橋に上陸した聖火はリレー隊23名の手により、三津浜-六軒家-国鉄松山駅-札の辻-平和通り-祝谷-道後駅前-上一万-一番町-市駅とまわり、最後に県庁に入りました。
上の写真は、村上節太郎が聖火リレーを自宅付近で撮影したもの。新聞には多いところで100mの間に1000人近くの大混雑で、全体で12万人の群衆と記されています。写真からはそこまでの混雑はないものの、熱烈な歓迎ぶりがうかがえます。
村上節太郎はこの一大イベントをカラー写真でも撮影しています。写真にはNHK放送局の中継車も見えます。オリンピックを契機に、テレビの販売数が伸びたという話しがうなづける一枚です。
確かにこの時期の新聞を見ると、たくさんの家電メーカーが、テレビの広告を打っています。あまりに高価なので、どのメーカーも月賦による購入を勧めています。あるメーカーの売り文句は人工頭脳テレビ。途中で電波や電圧が変わっても大丈夫。調整しなくても鮮明な画像でオリンピックが楽しめるとあります。オリンピック開幕まで、あと一ヶ月。何としてもオリンピックをテレビで見たいという人の駆け込み需要があったのでしょう。