坪ケ谷新四国(西予市宇和町)を訪ねて 1

2010年5月13日

    愛媛県歴史文化博物館では常設展示室(民俗3)で「四国遍路」の歴史と文化について紹介していますが、博物館の裏山の遊歩道には、四国八十八ケ所を模したミニ四国霊場の坪ケ谷新四国があることを知っていますか?

博物館への遊歩道にある坪ケ谷新四国の石仏 78番(香川・郷照寺)  

     坪ケ谷新四国は、江戸時代後期の天保2(1831)年に創設されました。四国遍路は江戸時代に盛んに行われるようになりますが、当時は四国中を遍路して歩くことは決して容易ではありませんでした。そこで四国遍路に行けない人たちのために、全国各地に誕生したのがミニ四国です。坪ケ谷新四国を100回参詣すると、本四国の代わりになるといわれています。

    ちなみに博物館の遊歩道には、香川県内の札所第78番(郷照寺)から第88番(大窪寺)までが配置され、各札所には御本尊像と弘法大師像の石仏がセットになって祀られています。これは四国遍路でお遍路さんがお参りする本堂のご本尊と、大師堂の弘法大師像にならったものです。それらの石仏は長い年月を経て、破損したり、表面が風化、苔が繁茂するなどして、文字が判読しにくいものもありますが、札所番号、仏名、寺院名、制作年、製作者(村・浦名、願主・施主名)などの文字情報が刻まれて、坪ケ谷新四国の歴史を垣間見ることができます。遊歩道の石仏の製作年代は古いもので天保3~4(1832~33)年、明治28~29(1895~96)年頃のものがありました。

81番(香川・白峯寺)天保3年建立 

    それでは、実際に、1番札所から順に坪ケ谷新四国をまわってみましょう。