日本の文様―文様になった生きもの達―(26)鯉

2008年8月27日

(26)鯉(こい) -滝をのぼって龍へ-

鯉

 中国において、鯉は急流を昇りやがて龍になるという伝説があり、日本でも「鯉の滝昇り」は吉祥文様とされています。

染型紙 鯉 個人蔵(西宇和郡伊方町)

染型紙 鯉 個人蔵(西宇和郡伊方町)

 この型紙では、流れに逆らって泳ぐ勇壮な出世魚を、ダイナミックな水の流れと共にデザイン化した、躍動感あふれる文様となっています。

 こちらの型紙には糸入れの技法が見られます。

日本の文様―文様になった生きもの達―(25)馬

2008年8月26日

(25)馬 -成長への願い-

与那国島の馬

 古来、馬は神様の乗り物として考えられてきました。
 その姿は絵画や絵馬に描かれ、玩具としても形づくられています。
 きものでは、男の子の衣装に馬の文様が見られます。元気よく跳ね回る馬の姿に、成長の願いを託したのでしょうか。

染型紙 馬 個人蔵(西宇和郡伊方町)

染型紙 馬 個人蔵(西宇和郡伊方町)
 型紙では、尾をなびかせた馬がはつらつと野を駆け回る様子がデザインされています。

 この型紙は、今までご紹介した型紙と少し異なり、縦型となっています。型紙の
中には少数ですがこのような縦型のものが見られます。

南予の中世城跡探訪19 土居清良も奮戦 ―岡本城跡―

2008年8月22日

 天正7もしくは9(1579/1581)年5月、すでに土佐を統一し伊予へもその手を伸ばした長宗我部元親の軍勢が宇和郡の三間盆地まで侵攻し、そこで伊予の軍勢と衝突します。その舞台となったのが岡本城であり、奮戦して土佐勢を撃退したことでよく知られるのが三間大森城主土居清良です。


  岡本城跡

 岡本城は、大森城から東南へ2kmとない至近の城で、三間川沿いの広見盆地と三間盆地の間でちょうど山が張り出して平野が狭まった場所にあり、まさに三間盆地の玄関口にあたります。JR予土線の二名駅から東南方向の眼前に見えます。
 尾根の先端の高みに主郭を設け、そこから三間川に向けて複数の曲輪が配され、後方の尾根には横堀や縦堀が造られ、さらに後方には出曲輪のようなもう一つの遺構群が存在します。
 岡本城合戦で土居清良は、長宗我部氏の重臣久武親信(ひさたけちかのぶ)らを討ち取るなど、土佐勢に対して大きな打撃を与えました。その戦功は道後の河野通直からも讃えられるところとなり、賛辞とともに褒美として太刀と馬代、あるいは具足や兜が与えられました。
 土居清良の名を世に広めるきっかけの一つとなった、まさに清良功名の場ともいうべき城跡です。

日本の文様―文様になった生きもの達―(24)亀

2008年8月20日

(24)亀(かめ) -亀は万年-

 

鶴は千年、亀は万年と言われるように長寿の象徴です。その亀がさらに長く年を重ねると、尻尾に海藻がつき蓑(みの)のようになると考えられていました。

染型紙 亀 個人蔵(西宇和郡伊方町)

染型紙 亀 個人蔵(西宇和郡伊方町)

この型紙の亀はおしりから虹のように線がのびていますね。これが蓑のような部分で、「蓑亀(みのがめ)」と呼ばれています。

 円を重ねたような文様は「青海波(せいがいは)」と呼ばれています。波をイメージした扇のようなデザインは同名の雅楽の舞曲から名づけられたとされています。

日本の文様―文様になった生きもの達―(23)鶴

2008年8月17日

(23)鶴(つる)  -鶴は千年-

染型紙 鶴 大西金七染物店(四国中央市川之江)

染型紙 鶴 大西金七染物店蔵(四国中央市川之江町)

鶴は、舞うように飛ぶ姿や気品あふれる立ち姿などが好まれてきました。また、鶴は千年、亀は万年と言われ、長寿のモチーフともされています。
文様においても、型紙のように二羽が向かい合わせの文様「向かい鶴」や羽を丸く広げた文様、空に羽ばたく文様などバリエーションが豊富です。

夏休みは歴博に行ってみる!?

2008年8月14日

 8月13日(水)から開催中のイベント「夏休みは歴博に行ってみる!?」。
展示室では、恒例のクイズラリーを実施中です。今回は、開催中の特別展にもクイズを設置しています。クイズラリーの参加賞は、れきはくオリジナルチョコ。たくさんの図柄に迷ってしまうお子さん続出。もちろん、大人の方も参加していただけますので、家族みんなでクイズに挑戦してみませんか?
 エントランスには、「型紙摺り絵でうちわづくり」と「ガラスの風鈴に絵付けしてみよう」を行っています。うちわも風鈴も、日本の夏にかかせないアイテムの一つ。チリン、チリンと涼やかな音色に引かれて、会場は大盛況です。

 イベントは17日(日)まで。ぜひ、ご家族揃ってれきはくへおこしくださ~い。

南予の中世城跡探訪18 土居清良の本拠 ―大森城跡周辺―

2008年8月10日

 三間(宇和島市三間町)の市街地のやや東方、まさに三間盆地の中央部に悠然とそびえる山の頂に大森城跡はあります。独立丘陵の頂上を利用し、細長く広い主郭からは複数の曲輪が尾根伝いに連なり、周囲に伸びた尾根の高みには出曲輪とみられる遺構も確認できます。


  大森城跡

 大森城は、三間地域を支配した土居清良が本拠としました。土居清良は、近世に子孫たちが編纂した軍記物語「清良記」の主人公として有名です。また、天正7(1579)年には伊予進出を図る土佐長宗我部氏の軍勢が三間盆地まで進軍してきますが、それに対して盆地の入口を押さえる岡本城にて重臣層を討ち取る戦功をあげ、みごと防戦したことでも知られます。


  清良神社

 土居清良は、三間地域の英雄として、清良神社に祀られています。大森城から南に対面する三間町土居中地区の山裾、県道57号線沿いにあります。石段を登りきった所に社殿があり、神社境内から一段下がった所には龍泉寺があります。この寺院の墓地には土居家の墓所があり、墓所の最も高い段には土居清良廟が建ち、今も地域の人々の崇敬を集めています。


  土居清良廟

 当館歴史展示室2には、大森城跡の1500分の1の模型が展示されています。ご興味のある方はぜひご来館のうえ、観察してみてください。


  大森城模型

日本の文様―文様になった生きもの達―(22)葡萄(ぶどう)

2008年8月9日

(22)葡萄(ぶどう) -実りの秋-

染型紙 葡萄 個人蔵(西宇和郡伊方町)

染型紙 葡萄 個人蔵(西宇和郡伊方町)

 葡萄は豊穣の象徴として西方より伝わり、正倉院の宝物にもその文様が見られます。
 ぐんぐんと伸びる蔓(つる)とたわわに実る房が繁栄の象徴であるとともに、秋の季節を象徴する文様です。

 型紙の葡萄は、じゃっかん粒がまばらなようにも見えます。
 

日本の文様―文様になった生きもの達―(21)鉄線

2008年8月8日

(21)鉄線(てっせん)-固い結びつき-

染型紙 鉄線 大西金七染物店(四国中央市川之江)

染型紙 鉄線 大西金七染物店蔵(四国中央市川之江町)

 鉄線はクレマチスの洋名で知られており、六弁の花びら(本当はガクの部分)を風車のように広げた、気品ある夏の花です。
かたい蔓(つる)に結びつきを託して、婚礼衣装にも多く取り入れられています。

日本の文様―文様になった生きもの達―(20)梅

2008年8月7日

(20)梅 -けなげな生命-

 松、竹、とくれば次はです。梅は、冬の寒さに耐えて花を咲かせる姿から生命力の象徴とされます。愛らしい花の姿や可憐な色合い、味わいのある枝ぶりや寒中に漂う薫りもあいまって古来より親しまれてきました。

染型紙 氷梅 個人蔵(西宇和郡伊方町)

染型紙 氷梅 個人蔵(西宇和郡伊方町)

氷の割れ目の間に梅花を配したこの文様を「氷梅(こおりうめ)」といい、早春を表わしています。