西予市の泉貨紙を知る講座

2022年10月8日

本日は、えひめ南予きずな博連携講座「手漉和紙の歴史・現在・未来 ―西予野村町泉貨紙を知る―」が開催されました。

愛媛県歴史文化博物館では新常設展「密●空と海―内海清美展」を展示していますが、この展示の人形作品は四国の和紙を素材に制作されていることから、今回は特に愛媛県南予地方の和紙「泉貨紙」に注目して学ぶ講座をセッティングしました。
泉貨紙の製造技術が継承されている西予市野村町の乙亥会館を会場に、約30名にご参加いただきました。講師は、泉貨紙の製造に携わる菊地賢祐さん(菊地製紙)と、元・西予市野村町地域おこし協力隊で泉貨紙の普及・活用に取り組むシーバース玲名さん、当館の大本敬久学芸員が務めました。

まずは新常設展「密●空と海」のPR動画を上映して、和紙を用いた創作性について紹介したあと、大本学芸員から泉貨紙の歴史や、泉貨紙の祖である泉貨居士(慶長2年(1597)年没)の生涯や江戸時代以降の顕彰の過程等、泉貨紙の「過去」を紹介しました。菊地さんからは、泉貨紙の製造の「現在」や、原料となる楮や用具の制作の課題をお話いただくとともに、実際に使用している用具を参加者と見ながら解説していただきました。シーバースさんからは、泉貨紙の活用の可能性として、名刺、インクジェットの印刷用紙、家屋の内装材など様々な活用事例をご紹介いただき、泉貨紙の「未来」を参加者一同、考えるきっかけとなりました。

講師のみなさま、参加者のみなさま、ご参加ありがとうございました。

#泉貨紙 #和紙 #西予市 #文化財 #愛媛県歴史文化博物館

小3年国語科「ちいちゃんのかげおくり」    で平和学習!

2022年10月7日

平和学習の様子
千人針や焼夷弾の殻などの実物資料

 10月6日(水)に地元宇和町小学校の3年生90名が来館され、国語の授業で学んでいる「ちいちゃやんのかげおくり」に関連して、平和学習を実施しました。

 作品の主人公は「ちいちゃん」。お父さんが出征中に空襲に遭い、お母さんたちとはぐれてしまいます。家も焼け防空壕の中で「ほしいい」を食べながら、お母さんたちの帰りを待ちました。ある朝、明るい光で目が覚めると、お父さんにおしえてもらった「かげおくり」を思い出し、「ひとつ、ふたつ‥‥」と数えるうちに、お父さん、お母さん、お兄ちゃんが見え、「ちいちゃん」のからだはすうっとすきとおって、空にすいこまれていく、という話です。

平和学習では、作品に出てくる時代背景を実物資料やパネルを使用して説明しました。特に、体の弱いお父さんが出征する場面では徴兵制度について、空襲の場面ではサイパンから飛んできたB29や県内の空襲について、「ちいちゃん」が「ほしいい」を食べる場面では配給制度や切符制度について解説しました。

最後に児童から「なぜ戦争するの?」と質問を受けました。戦争の原因は様々であることを伝えました。しかし、児童への回答になってないと感じ、「私も答えは分かりませんが、相手の気持ちを考えない身勝手な行動が原因の一つではないかな。実は「けんか」や「いじめ」に共通する問題なのかも。平和とは何か、戦争とは何か問い続けることが平和な世の中につながるのでは。私も平和学習を通して問い続けています」と正直に答えました。

平和学習は社会科だけではなく、他教科でも活用可能です。学芸員が先生方に目的をお聞きし、できるかぎりご希望にそったプログラムを考えます。お気軽にお問い合わせください。

特別展「浄土寺・浄瑠璃寺と写し霊場」                             まもなく開幕!

2022年9月15日

資料を確認しながら展示する学芸員
異なるパネルの中心をあわせて展示

 特別展「浄土寺・浄瑠璃寺と写し霊場」の準備も佳境を迎えました。展示室では担当学芸員の指示のもと、各時代の資料を調査してきた学芸員が展示の真っ最中です。図録原稿を片手に、資料を並べる順番や開けるページなどを確認しながら慎重に並べていきます。資料には解説ラベルもあるため、資料とラベルが間違ってないか、一点一点慎重に作業を進めます。展示には専門業者の方にもお手伝いいただいています。学芸員が指示した高さにパネルの中心が一直線に並ぶよう、 水平器レーザーを用いながら効率的に作業を行っています。また、地震などに備えて資料が倒れないように紐で結ぶなど細かい作業もあります。

 本展では四国八十八箇所霊場第46番札所の浄瑠璃寺と、49番札所の浄土寺のご協力を得て、 絵画、工芸、古文書、古記録などの文化財を特別に公開します。さらに、各地に作られた写し霊場(地四国・新四国・島四国)を特集し、遍路文化の広がりを概観します。9月17日(土)にオープンです。ご来館の際は展示における工夫や危険防止にもご注目下さい。

 

博物館実習無事終了!

2022年8月30日
ワークショップ会場
こどもの目線でアドバイスする実習生
女の子にも対応できるようになった実習生

8月23日(火)から始まった5名の博物館実習ですが、最後の2日間は午後からワークショップの補助を行いました。内容は、小さなガラスや砂をレジンで混ぜて紫外線で固め、かき氷のキーホルダーを作るものです。何色にするか、何をのせるかによって、いろいろなかき氷ができます。

 初日の27日、実習の記録写真を撮るため会場に向かったところ、実習生の多くが立ったままです。どうやらキーホルダーを作っている子どもたちとコミュニケーションがとれない様子。作り方は知っていても、子どもに伝えることができていないのです。明日はどうなることかと思い、1日のまとめの際に反省会をしました。

 最終日の28日、会場に行ってみると実習生が今何をすべきか考えながら行動していました。子どもの視線にあわせてしゃがみながら、「上手にできてるね」、「何年生?」、「どこから来てくれたの?」、「難しいところある?」と問いかけながら手伝いができていました。時間があるときは容器を洗ったり、アルコールで机や椅子を拭いたり、よく気がつくようになっていました。

最終日には実習生の指導教官が視察に来られました。昨日との違いをお伝えすると、マスクで顔が見えない大学生活、コンパも行われず、ゼミの行事も受け継がれない中で、コミュニケーション能力を心配されていました。ですが、子どもと話しながら適切なアドバイスをしている様子に安心された様子でした。

 今回の実習生は静かであったため、どのような最終日を迎えるか心配していたのですが、最終日に大きく成長した姿を見せてくれました。実社会に出ると学生時代のように優しく教えてくれる機会は少なくなります。5名の実習生が今後どのような道を歩むかわかりませんが、6日間の実習生活で学んだことを活かしてください。みなさん、おつかれさまでした!

令和4年度の博物館実習始まる!

2022年8月25日
「教員のための博物館の日」で古代人のモデルとなるため準備する実習生

  

8月23日(火)から博物館実習が始まりました。今年は愛媛大学、大谷大学、京都芸術大学、信州大学から5名の実習生が参加しています。28日(日)までの6日間、学芸員として必要な知識や技術を学ぶほか、来館者への接客やワークショップの補助などを行います。

初日の午前は学芸課長から施設の概要説明があり、続いて展示室や収蔵庫を学芸員の視点で見て回りました。展示室では現在進めている照明設備のLED化や音声ガイドシステムの導入など、近年の新しい取り組みについて紹介しました。午後からは収蔵庫に移り、資料を受け入れてから燻蒸を経て各収蔵庫に収まるまでの流れを説明しました。初めて入る収蔵庫に興味津々の様子でした。

2日目から資料整理実習が始まりました。午前は歴史資料として、切手の整理を行いました。小さな切手にも大きな歴史があることを感じ取ってもらえたのではないかと思います。その後、実物資料を使って梱包のコツや注意点を学びました。午後からは民俗資料として、祭りと芸能に関する調査の仕方や見方を学び、関連する絵巻を取り扱いました。祭りを学ぶ実習生や地元出身の実習生にとっては、関心の高い話となったようです。その後、明日開催の「教員のための博物館の日」に向けて準備を行いました。

実習生の皆さんには、体調に十分注意していただき、6日間の博物館実習を実りあるものにしてほしいと思います。学芸員を目指して頑張ってください!

戦時下を生きた松中生の日記を展示

2022年8月10日
日記の一部
焼夷弾と空襲をうけた松山のチケッチ
新居浜での空襲の様子

まもなく77回目の終戦の日を迎えます。今回は戦時下の県立松山中学校(現松山東高校)の生徒が記載した日記を紹介します。

日記を記したのは橋爪陽一(1927~2014)さん。橋爪さんは伊予市中山町に生まれ、昭和15(1940)年に松山中学へ入学しました。戦局の悪化に伴い同19年8月から新居浜市の住友機械工場で勤労動員に従事しました。勤労動員では機械作業で怪我をしたり、集団生活で赤痢に苦しめられたりしたようです。そのなかでも寸暇を惜しんで勉強し、松山高等学校に合格しました。翌年、松山高等学校(現愛媛大学)に入学したものの勤労動員は継続され、授業が開始されたのは10月からでした。

昭和20年7月26日、松山は空襲を受けますが、数日後その惨状をスケッチで残しています。実家で終戦を迎えた橋爪さんは「驚嘆、失望、落胆、甚だしき立腹」と記載しています。大きなショックだったのでしょう。戦後は進駐軍に嫌悪感を抱きながらも、日本人が「世界の公民」となるため、日本のことを知ってもらうことが必要だとも述べており、心境の変化がうかがえます。

多感な10代の時期を戦時下に生きた橋爪さん。その日記は77年の時を経て、私たちに平和の尊さを訴えています。本資料は歴史展示室4(近・現代)の戦争コーナーで展示しています。

新常設展「密●空と海」の魅力発信-県庁ロビー展-

2022年7月16日

密●空と海ー内海清美展

愛媛県歴史文化博物館では、平成24年から新常設展として「和紙彫塑による弘法大師空海の世界 密●空と海―内海清美展」を展示するとともに、空海や四国遍路に関する特別展や講座など様々な活動を展開してきました。

また、四国4県で進められている四国遍路世界遺産登録への取組みにも協力しており、その一環として、今回、県庁ロビー展「新常設展『密●空と海』-弘法大師空海と四国遍路-」を開催いたします。

会場では、新常設展「密●空と海」のPR映像、四国遍路に関する紹介パネルを展示するほか、四国遍路の世界遺産登録への取組みに関する広報用パンフレット等も配布していますので、ぜひ会場に足をお運びください。

名称:県庁ロビー展「新常設展『密●空と海』-弘法大師空海と四国遍路-」
会期:令和4年7月25日(月)~7月29日(金)9:00~17:00
※ただし25日は10:00~、29日は15:00まで
主催:愛媛県歴史文化博物館
会場:愛媛県庁第一別館1Fロビー 松山市一番町四丁目4番地2

大野ヶ原小学校で平和学習

2022年7月15日
授業風景
資料を見つめる児童たち

 7月12日(火)、西予市立大野ヶ原小学校で平和学習を実施しました。平和学習は戦後70年を機会に取り組み始めた事業です。その特徴は、学芸員が戦時資料を学校に持参し、資料を見て、触れて、感じてもらいながら戦争の悲惨さと平和の大切さを考えることです。博物館を出発して約2時間。大野ヶ原は気温21度の涼しさ。13時のチャイムと同時に、児童のみなさんの気持ちのよいあいさつで平和学習が始まりました。

 平和学習に参加した児童は6年生1名、4年生2名の計3名。まず、満州事変から終戦に至る歴史の流れを説明し、「ヘイタイ人形」、「戦艦文鎮」、「国民学校の通知表」を通して子どもたちの身の回りにも戦時色が表れていったことを紹介しました。

 続いて、配給制度や切符制度について、米の配給量を見せながら給食と比較したり、衣料切符でスカートやズボンを買う場合を想定したりして、当時の苦しい生活を振り返りました。また、戦前の兵役制度について説明し、出征兵士が身に着けていた千人針について紹介しました。その製作方法、5銭玉や10銭玉が結び付けられている意味を説明すると、児童のみなさんは当時の女性たちに思いを馳せているようでした。

 愛媛の大きな空襲として、松山・今治・宇和島空襲を紹介しました。松山空襲で投下された焼夷弾の殻を手にしながら、形や重さ、77年を経ても消えることのない焦げ臭さなど、五感を通して空襲の惨状を想像してもらいました。6年生は修学旅行で長崎に行くと聞いていたため、長崎型模擬原爆「パンプキン」についても触れました。長崎に原爆が投下される前日、宇和島に「パンプキン」が投下されていた事実を伝えると、大変驚いていた様子でした。

 最後に、鉄兜、防空頭巾、ゲートル、もんぺを実際に身に着けてもらう体験コーナーで2時間の授業をしめくくりました。

 児童のみなさんからは、「歴史に関心をもつことができた」、「体験を通して当時の様子がよくわかった」、「今後は戦時下の郷土にも関心を持ちたい」といった感想を聞くことができました。戦争体験者の高齢化が進む中で、戦時資料が果たす役割は益々大きくなると思われます。今後も戦時資料が語り掛ける声を児童・生徒のみなさんに伝える役割を担いたいと思っています。平和学習のご依頼については、お気軽に博物館までご連絡ください。

特別展「浄土寺・浄瑠璃寺と写し霊場」に乞うご期待

2022年7月14日

当館では9月17日(土)から、特別展「浄土寺・浄瑠璃寺と写し霊場」を開催(11月27日迄)するため、その準備をおこなっています。

今回は一足先に特別展の見どころをちょっぴり紹介します。

みなさんは松山市にある浄土寺と浄瑠璃寺を知ってますか?  訪れたことがありますか?

どちらも四国八十八箇所霊場の寺院で、浄瑠璃寺は第46番、浄土寺は第49番の札所です。

浄土寺は伊予鉄久米駅近く、久米北部エリア(鷹子町)にあります。諸国を遊行した空也上人が逗留したと伝えられ、空也上人像(重要文化財)が安置され、空也上人ゆかりの寺として知られています。

一方、浄瑠璃寺は松山市と久万高原町との境にある三坂峠を下った坂本エリア(浄瑠璃町)にあります。四国遍路で松山地方における最初の札所です。緑に包まれ、弁天池の蓮の花も人気のスポットとして知られています。


実は、近年、四国へんろ世界文化遺産推進事業として、愛媛県教育委員会によって、浄土寺と浄瑠璃寺の詳細な文化財調査が行われ、令和3年に両寺の調査報告書が刊行されました。

博物館では、浄土寺、浄瑠璃寺の最新の調査成果を、実物資料を展示してわかりやすく紹介します。浄土寺、浄瑠璃寺様のご協力により、秘蔵されている絵画、工芸、古文書・古記録など特別に公開します。ほとんどの資料が今回初公開となる大変貴重な展覧会です。

☆☆☆おもな見どころ☆☆☆

【浄土寺】

●中近世の巡礼者による本堂厨子(室町時代)への落書を赤外線撮影して再確認。何が記されているのか確認します!

●空也上人が描かれた室町時代の絵画「松尾明神空也上人対面図」。諸国を行脚した空也上人の肖像は必見です!

●四国遍路関係資料(へんろ絵図、案内記、古写真など)が充実!

【浄瑠璃寺】

●発掘調査によって、江戸時代の浄瑠璃寺の境域を示す土塀基礎が発見!

●浄瑠璃寺の縁起を記した江戸時代前期の薬師堂再興の棟札は必見!

●石手川に立花橋をかけた第11代住職尭音が使用したと伝えられる鉄鉢

その他、四国遍路が盛んとなると、地方で八十八箇所霊場をまねて作られた写し霊場についても特集します。本展は「えひめ南予きずな博」の関連イベントでもあり、南予地方の写し霊場も紹介します。

見どころいっぱいの次回の特別展「浄土寺・浄瑠璃寺と写し霊場」。乞うご期待。語呂合わせにあやかり、札所番号「46」「49」で、「よ・ろ・し・く」お願いします。

ロビー展「青谷弥生人がやって来た」開幕!

2022年7月9日

本日(7/9)より、ロビー展「青谷弥生人がやって来た!」が開幕しました。本展は、鳥取県鳥取市にある青谷上寺地遺跡(あおやかみじちいせき)で2000年に発掘された人骨を基に、弥生時代後期(約1800年前)の男性の顔を鳥取県が復元したものです。2021年10月に復顔が公開されるやいなや、SNSなどで「誰かに似ている」と話題となり、そっくりさんを決めるコンテストや名前の募集が行われました。

そして2022年度、鳥取県の弥生時代・文化の魅力を全国に発信することを目的とした「とっとり弥生の王国プロモーション推進事業」の一環として、「青谷上寺朗(あおやかみじろう)」の復顔像の移動展示(ミュージアムキャラバン)が開催されることになり、7月24日(日)までの間、当館のエントランスホールにて無料で見学できます。写真撮影も可能です。是非、この機会に、弥生人に会いにきませんか。 また、最終日の7/24(日)13:30~15:00にはで関連事業として濱田竜彦氏(鳥取県地域づくり推進部とっとり弥生の王国推進課)による考古講座 とっとり弥生の王国プロモーション推進事業「日本海を望む弥生の村と人々」を開催予定です。定員は150名・ハガキ、当館HPからもお申込みできます。ロビー展と合わせて、山陰の弥生文化を学んでみませんか ?