特別展「歌舞伎と文楽」 人形師・天狗久

2009年7月21日

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この写真は天狗久の製作した文楽(人形浄瑠璃)のかしらです。本名吉岡久吉(ひさよし)。阿波人形浄瑠璃で最も著名な人形師です。安政5(1858)年~昭和18(1943)年。阿波の国府町和田に住む。江戸で人形頭の彫りや京都で人形の塗りを学んだ人形富(にんぎょうとみ)に16歳で弟子入り。舞台で人形を目立たせるために頭を大型化しました。そのため頭の材料を桧(ひのき)から桐(きり)に変えて人形の重さを軽くしました。また、目にガラス玉を使って、目の輝きを表現したのも天狗久の業績です。愛媛のすべての文楽保存会に、この天狗久の製作した人形頭が保存されて、現在も舞台で使われています。そして今回の展示では、天狗久の作品を25点、展示しています。
(写真は俵津文楽保存会蔵・撮影は当館友の会会員の兵頭盡靖氏)

「歌舞伎・文楽展」 市川團十郎の弁慶(勧進帳)

2009年7月18日

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資料名:勧進帳(歌舞伎十八番之内) 国立劇場所蔵

歌舞伎十八番を制定した七代目市川團十郎(のち五代目市川海老蔵)が、嘉永5(1852)年9月に河原崎座で演じた武蔵坊弁慶です。この時の上演は、一世一代のものと銘打って行われました。歌舞伎十八番は、七代目市川團十郎が、市川家の芸として制定したもので、主人公は「荒事(あらごと)」が多く見られます。七代目團十郎は、天保3(1823)年に息子に八代目を襲名させ、自分は五代目海老蔵と改名しました。

この錦絵の右側には、次のような記述があり、代々の市川團十郎の紹介をしています。

「元祖市川段十郎は、慶安4年生まれ。幼名は海老蔵。改めて団十郎と号す。筋隈を工夫、荒事の根元である。ニ代目は、武道、太刀打、和事、立役、所作を始める。三代目より角鬘、濡事、丹前、四代目より実悪が始まる。五代目、六代目団十郎も相伝し、これは成田山(新勝寺)のご利益、大江戸ご贔屓の御恵、冥加で、至極ありがたいことである。慶安4年から今の嘉永5年までの約200年、代々相続している。河原崎座にて、歌舞妓狂言組十八番之内勧進帳を興行する。」

江戸時代の市川團十郎家の歴史を物語る上で、貴重な資料ですし、迫力もあり、見ていて惹きこまれる資料です。

NHK生中継「歌舞伎と文楽の世界」

2009年7月17日

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昨日のNHK松山放送局の夕方の番組「いよかんワイド」で、
「歌舞伎と文楽の世界」展を生中継で紹介していただきました。
展示室で、歌舞伎・文楽に関する展示資料を映したり、
この写真のように、歌舞伎メイクをした職員が登場したり、
伝統芸能の楽しさの一端がお伝えできたかと思います。
ちなみに、写真の右下で隈取(歌舞伎メイク)をしているのは、
NHK松山放送局の西山香子アナウンサー。
今回の中継では大変お世話になり、ありがとうございました。
18:30からの中継の後、即、歌舞伎メイクをして
18:59の番組のエンディングに間に合わせました。

さて、この歌舞伎の隈取ですが、
8月9日と8月23日に「体験!歌舞伎メイクアップ」を実施します。
小中学生対象です。役者気分を味わってみませんか?

レトロパッケージ

2009年7月16日

 特別展「歌舞伎と文楽の世界-愛媛の伝統芸能-」が開幕しましたが、近・現代の常設展示室もいくつかのケースの展示替えを行いました。その一部を紹介します。

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 こちらのケースでは、さまざまな商品のパッケージを展示しています。紙箱やブリキ缶は、商品のイメージを分かりやすく伝えるレトロなデザインで埋め尽くされています。中でも目につくのはキャラメルの大箱。昔のポケット物のキャラメルは、このような大きな箱に詰められて、メーカーから卸店へ運ばれていました。

 展示している大正時代の森永ミルクキャラメルの大箱にはエンゼル(天使)、昭和初期の明治ミルクキャラメルの大箱には当時の人気キャラクター正ちゃんが描かれています。商品広告にキャラクターは付き物ですが、エンゼルも正ちゃんも現在のキャラクター文化の原点ともいえそうです。

 なお、今日のNHK総合テレビの「いよかんワイド」では、「歌舞伎と文楽の世界-愛媛の伝統芸能-」の会場からの生中継があります。こちらもお見逃しなく。

歌舞伎・文楽講座

2009年7月15日

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本日は、午前中、西予市立城川中学校さんがご来館。
夏休み企画・歴博ナイトミュージアム用の「あんどん」に使う大洲和紙に、
歌舞伎の隈取を書いていただきました。
城川中のみなさん、ありがとうございました。
そして、実際の歌舞伎の隈取をご覧いただきました。

午後は、歴史文化博物館友の会の講座。
今回の特別展「歌舞伎と文楽の世界」の見どころをお話ししました。

実際に人形を持って、からくりを説明したり、
スライドで、現在の愛媛の文楽・歌舞伎の状況を紹介しました。

友の会の会員の中には、会期中に何回もご来館いただく方々も多く、
本当にありがたいことです。

今日は、研修室での講義だけでしたが、
7月25日(土)13:30~は、今度は、実際に展示室内で、
「歌舞伎と文楽の世界」の展示解説をします。

「歌舞伎と文楽の世界」展、開幕しました。

2009年7月14日

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本日、特別展「歌舞伎と文楽の世界―愛媛の伝統芸能―」が、無事、開幕しました。
展示準備にあたり、ご出品、ご協力いただきました関係者の皆様、ありがとうございました。
多くの方々にご来館いただき、歌舞伎・文楽の資料をご覧いただければと思っています。
展示は、8月31日(月)までです。

期間中、作家・松井今朝子さんによる記念講演会「歌舞伎と遊ぶ」など、さまざまなイベントも予定しています。
お楽しみに。

野澤錦糸先生がご来館されました!!

2009年7月10日

歌舞伎と文楽の世界―愛媛の伝統芸能―」展の準備も進み、展示室も徐々に資料で埋まってきています。
 そんな中、突然、野澤錦糸(のざわ きんし)先生がご来館されました!
 野澤先生は文楽三味線方として高名な方で、先般、第28回国立劇場文楽優秀賞を受賞されています。
 愛媛県にも頻繁に来県されており、俵津文楽等の三味線を指導するなど、愛媛県の文楽の技術向上に貢献されています。  先日は、俵津文楽へ三味線の指導に行かれる前に、博物館へお寄りいただき、展示準備中ではありますが、展示室をご案内しました。

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大江巳之助の手によるカシラを見る野澤先生
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文楽の衣装、幕、カシラを見られる野澤先生
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俵津文楽の人形の前で記念写真
 ゆっくりと展示をご覧頂く中で、「愛媛県に明治時代の人形のカシラがこれほどたくさん残っているのは驚いた」とおっしゃった野澤先生の言葉が印象的でした。
 今回の展示で紹介しているカシラは一部ですが、これだけの数のカシラが一堂に会する機会はそうありません。
 ますます開幕が待たれる「歌舞伎と文楽の世界―愛媛の伝統芸能―」7月14日(火)からスタートです!

突撃取材!歌舞伎のメイクアップ体験

2009年7月9日

 「歌舞伎と文楽の世界―愛媛の伝統芸能―」展の関連ワークショップとして「体験!歌舞伎メイクアップ」が開催されますが、「歌舞伎のメイクアップってなに?」「どんなことするのかな?」と思われる方も多いのでは・・・

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例えば、この絵の男の人は「鎌倉権五郎(かまくらごんごろう)」と言い、「暫(しばら)く!」といって颯爽(さっそう)と登場するので、歌舞伎のタイトルも「暫(しばらく)」といいます。
 実際にも赤い顔をしていたのではありません。このような赤や黒の筋のことを「隈取(くまどり)」といい、顔の血管や筋肉などを大げさにあらわしたものです。隈取は、色にも意味があり、このような紅の筋は、血の気の多く正義感あふれる若者を表現しています。
 このような隈取をはじめとしたメイクアップ、歌舞伎役者の方はすべて自分の手で行うようです。

 そこで、歌舞伎の世界をちょっとのぞいてみようというわけで、メークアップ体験をれきはくでも行うことになり、ワークショップにむけて準備している様子を突撃取材してきました。
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白粉(おしろい)を塗ります。ワークショップでは、塗ってもらえるから、安心です。真っ白な顔になりましたね。
 
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筆を持って自分で隈取してみよう!ちょっとくらいはみ出たり、左右違ってもノープロブレム♪自分の顔をキャンバスに大胆に変身してみましょう!
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おお!凛々しい出来上がりです。「え?これが私?」と驚くくらいの変身。ポーズを決めて、ハイ記念写真☆

 参加費は500円程度+特別展観覧券が必要ですが、プロの舞台用化粧品を使用して、自分でメイクアップした隈取をハンカチにうつしとった「押隈ハンカチ」のお土産つき♪
 おうちに帰って額に入れてもいいですね。夏の思い出にいかがですか??ご参加お待ちしています。

 「体験!歌舞伎メイクアップ」
 日時:8月9日(日)・8月23日(日)いずれも14:00集合
 参加費:500円程度(特別展観覧券が必要です)
 対象:小・中学生
 事前申し込み不要 先着20名
 カメラを持ってぜひお集まり下さい!
 *かぶれやすい方、お肌の弱い方はご遠慮下さい。
 *できればタオル持参の上、汚れてもよい服装でお越し下さい。

人形に命を吹き込む~俵津文楽~

2009年7月8日

 「歌舞伎と文楽の世界―愛媛の伝統芸能―」展の開幕まであと一週間となりました。展示準備も着々とすすんでいます。
 今日は、西予市明浜町俵津の俵津文楽保存会の皆さん8名が資料を展示して下さいました。
 はじめは首を垂れ、まさに「人形然」としていた人形が、保存会の皆さんの手にかかるとみるみるうちに生き生きとしてくるのは驚きでした。

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人形の髪型を櫛で丁寧にとかし、整髪料でセットします。
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きものの内側に詰め物をしてふっくらとさせます。
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 整えた人形を展示ケースの中に運び入れ、きものや首の角度、足の向きなどの調節をします。
 展示ケースにずらりと並んだ人形は圧巻です。普段は動いていてなかなかじっくりと見ることの出来ない、人形の細部までじっくり見ていただけます。
 こうなると実際の文楽のお芝居も見たくなるもの。今回の展示では、愛媛県内に残る文楽の紹介ビデオも上映する予定です。 
 俵津文楽保存会の皆さん、ありがとうございました!

「歌舞伎と文楽の世界」展がNHKで紹介されます!

2009年7月6日

7月14日開催の「歌舞伎と文楽の世界―愛媛の伝統芸能―」展は、準備もいよいよ佳境に入っております。ちまたでチラシやポスターを見かけることも多くなってきたのではないでしょうか?
 NHK総合テレビで月曜日~金曜日、午後6時10分~午後7時放映の「いよかんワイド」の中で、「歌舞伎と文楽の世界―愛媛の伝統芸能―」展が紹介されることになりました。
 「いよかんワイド」といえば、今年の冬、「昔の道具の謎をとけ!」展も中継していただき、怪人れきはくが衝撃のテレビデビューを飾った思い出深い番組です。
 今回も博物館の展示室から生中継ですので、入念な下準備が必要です。アナウンサーの西山香子さんが博物館にいらして一回目の打ち合わせを行いました。
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とはいえ、展示は14日から。まだ準備中の展示室にご案内して、資料について展示構成について担当学芸員がお話しました。
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「歌舞伎と文楽の世界―愛媛の伝統芸能―」展の生中継放映日は7 月16日(木)です。
「怪人れきはく」に替わる超大型新人が「しばらく!」とばかりにテレビデビューするかも?!しれません。
愛媛の皆様どうぞお見逃しなく!