展示予告「異界・妖怪大博覧会」8―百鬼夜行絵巻6―

6月 4日 月曜日

当館所蔵の「百鬼夜行絵巻」に描かれた「妖怪」シリーズの第5回目。

「百鬼夜行絵巻」も展示する企画展「異界・妖怪大博覧会」は7月10日からです。開幕まであと1ヶ月にせまってきました。

今回の妖怪も少々風変わり。「百鬼夜行絵巻」というよりも「百器」つまり、まさに器物の妖怪です。


12 花瓶の妖怪
器物は百年経つと魂を持つといわれており、この花瓶も例外ではない。三本足、三本の指、そして三つの目という異形。しかし生けられた花は案外、鮮やかだ。


13 楽器の妖怪 
この妖怪は鞨鼓(かっこ)という楽器を頭に戴いている。細長い撥(ばち)で打って音を鳴らすが、妖怪自ら演奏し、舞っているようにも見える。


14 洗濯をする妖怪 
頭には角のようなものが二本あるためか、表情は般若のように険しい。歯は黒いので、お歯黒をした既婚の妖怪か。盥で洗濯をしているようにも見える。

※ちなみに、今回の企画展で「百鬼夜行」関連で展示する主な資料には、次のようなものがあります。お楽しみに。
 妖怪絵巻(国立歴史民俗博物館蔵)
 今昔画図続百鬼(香川大学附属図書館蔵・神原文庫)
 百鬼夜行拾遺(香川大学附属図書館蔵・神原文庫)
 画図百器徒然袋(香川大学附属図書館蔵・神原文庫)
 怪物画本(香川大学附属図書館蔵・神原文庫)
 暁斎百鬼画談(香川大学附属図書館蔵・神原文庫)

展示予告「異界・妖怪大博覧会」7―百鬼夜行絵巻5―

6月 3日 日曜日

当館所蔵の「百鬼夜行絵巻」に描かれた「妖怪」シリーズの第4回目。

番号9と番号10の妖怪は京都大徳寺の塔頭である真珠庵に伝えられた「百鬼夜行絵巻」(室町時代、伝土佐光信画)にも登場しますが、番号11は真珠庵本には出てこないものです。百鬼夜行図が時代とともにどのように書写され、変容、展開していったかを知る上で興味深い材料といえます。(本資料は、7月10日~9月2日の企画展「異界・妖怪大博覧会」にて展示予定です。)


9 黒布の妖怪
黒い布をかぶっているので、正体はよくわからない。ただ、足には鋭い爪があり、獣の毛のようなものも見える。少なくともおとなしい妖怪ではなさそうだ。


10 狐女の妖怪 
紫色の着物を振り乱しながら疾走する妖怪。顔は見えないが、尻尾の形や色から狐と思われる。一体、何を急いでいるのだろう。


11 盥(たらい)の妖怪
水やお湯を入れて顔や手を洗うための盥。顔を洗う道具自体が顔になっているという不思議な妖怪。表情や体は人間の女性なのに、手足はなぜか獣のようだ。

村上節太郎写真17 浅海のおたた 昭和20年代

6月 2日 土曜日

村上節太郎写真6-364
 村上節太郎は松前のおたただけでなく、浅海(松山市浅海原)のおたたについても写真に記録している。この浅海地区で頭上運搬による魚の行商が行われていたことは、民俗学者、瀬川清子の『販女(ひさぎめ) 女性と商業』にも全く言及がなく、それだけに村上の写真は貴重である。

 村上は「瀬戸内海国立公園候補地域としての忽那諸島の地理的景観」(昭和27年)に、浅海のおたたについて書き記している。それによると、当時は毎朝40~50人の婦人が頭上に桶をのせて付近に行商に行っていたという。汽車を利用する者もあったが、大半の行動範囲は10キロ余りで、昼頃には帰ってきたらしい。

 頭上運搬の桶から、手や肩に提げるブリキの「カンカン」へという運搬方法の変化は、松前と同様に浅海でも見ることができる。しかし、浅海の写真では、かなり年輩の婦人でも「カンカン」を提げているので、この変化は世代差もさることながら、魚の鮮度を保つために「カンカン」の方が適していたことによるものとも考えられる。

※下の写真は浅海のおたた。未だ頭上運搬も残るが、「カンカン」を手にする人の方が増えている。昭和27年。
村上節太郎写真3-386

展示予告「異界・妖怪大博覧会」6―百鬼夜行絵巻4―

6月 1日 金曜日

当館所蔵の「百鬼夜行絵巻」に描かれた「妖怪」シリーズの第3回目。お経や錫杖など仏教法具などの妖怪です。(本資料は、7月10日~9月2日の企画展「異界・妖怪大博覧会」にて展示予定です。)


6 仏具の妖怪 
左上の妖怪は、頭にお経(経巻)を載せている。右下の妖怪は、お堂の中で置いて使う鐘(「磬子(けいす)」)をかぶり、たたく棒(「倍(ばい)」)を持っている。


7 笙の妖怪
錫杖を担いだ妖怪。頭は笙(雅楽の楽器)をかぶる。もともと錫杖は、魔を除ける仏教道具だが、それを妖怪が持っているとは、これまた不思議。


8 妖怪の入った葛籠(つづら) 
縄で縛られた古葛籠。中では妖怪がうごめいている。大きな爪を持つ黒い手も出ている。上には鋏(はさみ)の妖怪がいる。鋏で縄を切ってしまえば、妖怪は大暴れ?

展示予告「異界・妖怪大博覧会」5―百鬼夜行絵巻3―

5月 31日 木曜日

当館所蔵の「百鬼夜行絵巻」に描かれた「妖怪」シリーズの第2回目。今回は、鬼だけでなく、道具の妖怪も登場です。(本資料は、7月10日~9月2日の企画展「異界・妖怪大博覧会」にて展示予定です。)


3 唐櫃を覗く赤鬼 
唐櫃の中に多くの妖怪が潜む。それを巨大な赤鬼が覗く。さて、この赤鬼、よく見ると角がない。虎の毛皮のパンツも履いていない。鬼にもいろんな姿があるようだ。


4 釜の妖怪 
釜をかぶって、手には笹の葉を持っている。毛皮を羽織っているようにもみえる。鳥山石燕著『百器徒然袋』の「鳴釜」は、これを基に描いたものだろう。


5 五徳の妖怪
台所道具の妖怪だ。五徳とは、火鉢の灰の中に置いて、鉄瓶や釜をのせる輪形の台。火吹き竹を前に吹いているが、炎は後方の頭上から出ているではないか。

ワークショップ 紋切りあそび

 5月27日(日)にワークショップ「紋切り遊び」を行いました。紋切り遊びとは、色紙を切って日本古来の文様を作ることです。作り方は簡単。折った色紙の上に型紙を貼って、線の通りに切ります。それを開くと紋のかたちが現われます。

 

 例えば、下の写真は、こうもりの文様で、右が型紙、左が出来上がった文様になります。

 

 こうもりの文様と聞くと、ちょっとびっくりされるかもしれませんが、蝙蝠(こうもり)という漢字の「蝠」という字が、中国では「幸福」の「福」と発音が同じことから、おめでたい文様とされており、それが日本にも伝わりました。何気ない文様にも実は意味があるんです。

 5月のワークショップでは、切った文様を使ってコースターを作りました。同じ文様でも色の組合わせや空間の配置を変えると、かわいくもかっこよくもなるから面白いものです。参加者の皆さんのセンスの見せ所とも言えます。
 6月と7月の「紋切り遊び」では、うちわに挑戦します。世界でたった一つのうちわを作ってみませんか?

村上節太郎写真16 松前のおたた 昭和7年

5月 30日 水曜日

村上節太郎写真3-385
 おたたとは頭上運搬する魚の行商をいうが、松前というとおたたを連想するほど、松前のおたたは広く知られていた。明治8年の調査によると、松前のおたたは320人で、その半数は松前から10キロ圏内が行商圏で、日帰りがほとんどだった。その後鉄道の延伸や乗合自動車の普及とともに、人口が多い松山道後を中心に森松線や横河原線の沿線、そして砥部や久万へと行商圏が広がり、泊まりがけの行商も行われるようになった。

 村上節太郎の写真を見ると、伊予絣の着物に前かけをつけて草鞋(わらじ)か地下足袋を履くおたたさんの服装がよく分かる。頭には手拭いの輪を置き、その上に「御用桶」の焼印が入ったゴロビツ、竹で編んだざる(したみ)をのせている。商品は生魚、いりこ、小魚を煮て味付けした儀助煮で、10貫(約37.5キロ)~15貫(約56キロ)ぐらいを頭にイタダキ歩いたという。 松前では行商を経験しないと一人前と認められなかったそうで、村上の写真には御用桶を頭に未知の土地に販路を開拓していったおたたさんのたくましさが感じられる。

 戦後になると、頭上運搬は年輩の女性だけで、若い女性は手に荷物を提げるようになり、やがて「カンカン」と呼ぶブリキの容器が使われるようになる。村上の写真からはそうした変化まで読み取ることができる。

※下の写真は、横河原駅に降りた松前のおたた。荷物は風呂敷でかつぐか、手に提げている。昭和26年。
村上節太郎写真6-451

宇和島市遊子水荷浦の段畑「重要文化的景観」に答申

5月 29日 火曜日

■ 重要文化的景観について

マスコミ報道などで既にご存知の方も多いと思いますが、先日、宇和島市遊子水荷浦(ゆすみずがうら)の段畑が、国の文化財審議会によって、重要文化的景観に選定されるよう答申されました。

段畑の保存と活用に取り組んでこられた「段畑を守ろう会」はじめ地域の皆様に、心からお喜び申し上げます。

「重要文化的景観」という語句を、まだ聞きなれない方も多いかもしれません。
これは、平成17年から始められた新しい文化財保護の手法で、その土地ならではの暮らしや仕事、風土によって形成された景観地で、日本国民のそれぞれの土地ならではの生活、生業を理解するために不可欠なものをさします。

それぞれの土地の特徴や気侯、歴史を反映したくらしが行われている地、という点がこれまでの史跡や名勝との相違点といえるでしょうか。

今までに重要文化的景観に選定されているのは、「近江八幡の水郷」(滋賀県近江八幡市)、「一関本寺の農村景観」(岩手県一関市)の計2件です。また「アイヌの伝統と近代開拓による沙流川流域」(北海道平取町)も、今回同時に選定への答申がなされています。
「遊子水荷浦の段畑」は、中四国以西では初の選定となります。」

■ 遊子水荷浦の段畑とは

遊子水荷浦の段畑の場合、段畑が宇和海の風土と調和し、地域住民の生活と深く関わりながら維持されてきた点などが評価されました。


2月の段畑
水荷浦は冬でも霜が降らないので、日本一早く露地ものの馬鈴薯が収穫できます


3月の段畑
収穫を間近に控え、青々と繁る馬鈴薯の葉


4月の段畑
だんだん祭りの日。
収穫を終えた畑も多くなりました。

地域の人々にとっては、日々見慣れた、非常に身近な景観であるため、普段その価値にはなかなか気付きにくいものです。
穏やかな宇和海と美しいリアス式海岸、そして段畑は、私たちにも非常に馴染み深く、愛媛を代表する風景の一つです。しかし、それは自然発生的に出来上がったものではなく、また一朝一夕になされたものでもなく、宇和海に生きてきた人々の長い間の暮らしの積み重ねといえるのではないでしょうか。

当館では、今回の選定を記念し、今年12月~2月頃にテーマ展の開催を予定しています。
このブログでも、今後、展示の準備状況や興味深い資料など、随時ご紹介していきたいと思います。


段畑の石垣
石垣積みや修復は手作業で行います。
石垣の間に生えた草をこまめに抜くのも、大事な仕事だそうです。

展示予告「異界・妖怪大博覧会」4―百鬼夜行絵巻2―

5月 27日 日曜日

当館所蔵の「百鬼夜行絵巻」に描かれた「妖怪」を数回にわたって紹介します。(本資料は、7月10日~9月2日の企画展「異界・妖怪大博覧会」にて展示予定。)


1 御幣を持つ赤鬼
罪を祓う大幣(おおぬさ)という神具を持って走る赤鬼。鬼が神具を持って妖怪を追いかけている様子。本来、追われるべき鬼が逆さまの役割を担う。


2 冠をかぶる青鬼
矛を担いで疾走する青鬼。鬼なのに公家の冠をかぶっている。妖怪世界の治安を守る警護役とされる。この鬼は「追われるべき鬼」ではないようだ。

「発掘 南予の遺跡」 後1ヶ月で閉幕。お見逃しなく!!

5月 26日 土曜日

 現在、考古展示室では、博物館がある県南西部の南予地域の身近な歴史を紹介する「発掘 南予の遺跡~身近な歴史を見て・ふれる?~」を開催しています。
 南予地域では、この10数年の間に高速道路建設や史跡整備に伴い多くの遺跡の発掘調査が行われています。今回の展示では、(財)愛媛県埋蔵文化財調査センターが発掘調査を実施した遺跡を中心に、旧石器時代から近代にいたる17遺跡の調査成果をわかりやすく紹介しています。
 主な展示項目は次の通りです。

・四国最古の石器群-伊予市双海町東峰遺跡第4地点-
・大洲盆地を見下ろす山城-大洲市元城跡-
・時代のものさしになる弥生土器が出土-西予市宇和町上井遺跡-
・縄文時代の石器製作跡-宇和島市津島町犬除遺跡2次調査-
・戦国南予の戦乱-宇和島市正徳ヶ森城跡・岩倉城跡・角ヶ谷城跡・長松寺城跡―

 これらの調査成果は、南予地域の歴史を検討する上で新しい資料ばかりです。展示室内には、発掘で出土した土器をさわるコーナーもあります。この機会に地域の身近な歴史資料を見て・ふれてみませんか?
 なお、この展示は7月1日までの予定です。お見逃しなく!!