佳姫の婚礼15(完)-遺された三枚の写真-

2011年4月10日

 連載の締めくくりとして、最後に宇和島藩伊達家に伝わったと3枚の写真を掲載します。

 最初の1枚は9代藩主の伊達宗徳(だてむねえ)。アーネスト・サトウの『一外交官の見た明治維新』には、宗徳が小舟をイギリス軍艦へと漕ぎ寄せ、オペラグラスで覗く人物として登場します。艦上に案内された宗徳について、サトウは「彼は三十二歳、やや中背で、少しかぎ鼻の貴族的な顔をしており、全体的に立派な容姿をしていた」とその印象を記しています。写真を見ても、サトウが的確に宗徳の雰囲気をとらえていることがわかります。

 2枚目はこの連載で取り上げてきた佳姫(よしひめ)。体を真っ正面にむけて着座しています。顔は斜めに向け、お歯黒に置き眉という化粧がされ、いかにも大名夫人というお顔をしています。目は大きく見開き、きりりとしまった口には意志の強さもあらわれているように思います。大変めずらしい大名夫人の写真になります。

 最後の3枚目は佳姫が秋田藩佐竹家から嫁入りして、宇和島で亡くなるまでずっと世話を続けてきた老女綾瀬の写真。綾瀬は佳姫付きの奥女中を束ねる存在で、宇和島藩の奥女中のトップにふさわしい堂々とした姿に見受けられます。先の宗城の書簡にも綾瀬を思い遣る内容が記されていたので、宗城の信頼も厚かったのかもしれません。

 この三枚の写真をよく見ると、背景にいずれも紅葉を描いた屏風が使われているので、同じ時期に撮影したものと思われます。いつどのような経緯で、このような貴重な写真が撮影されたのか、興味がつきません。(完)