シーボルト妻子像螺鈿合子の展示替え

2013年11月7日

先日、休館日を利用して、特別展「三瀬諸淵-シーボルト最後の門人-」の展示替えを行いました。これまで国指定重要文化財のシーボルト妻子像螺鈿合子については、複製を展示しておりましたが、今回の作業でいよいよ実物が登場します。

シーボルト妻子像螺鈿合子は、シーボルトの国外追放の翌年、天保元(1830)年に、妻のたきがシーボルトに贈った嗅ぎたばこ入れです。黒漆塗りに、蓋表には妻のたき、蓋裏には娘のいねが青貝細工の手法で克明に描かれています。特に3~4歳と思われる唐子髷(からこまげ)のいねの肖像は印象的で、幼いその瞳はシーボルトの血をひく証しのように青く輝いています。遠い国で暮らす妻子のことを忘れないで欲しいというたきの思いがこもった品といえます。

展示替えを慎重に行います。合子の蓋表のたきの肖像はそのまま、そして蓋裏のいねの肖像は斜めにしたミラーでご覧いただけるように展示しています。とても繊細な史料なので、展示期間を限定しての後期だけの公開になります。会期も後半に入りますので、ぜひお見逃しなく。