特別展江戸考古紹介(22) 遺跡で見つかった十錦

11月 23日 日曜日

番町2次出土十錦
番町遺跡2次出土十錦小杯(愛媛県教育委員会蔵)

 これは、いったいなんのやきものでしょうか?松山藩の武家屋敷から見つかった十錦のやきもので、小杯の口縁部の破片です。外面には緑色の釉薬を厚く掛け、釘状の工具で唐草の文様が刻まれています。
 中国清朝のやきものに、赤、緑、黄色などの釉薬を掛けた十錦手のやきものがあります。江戸時代には富裕層に文人趣味の流行により、こうしたカラフルな清朝の磁器がもてはやされました。
 幕末から明治初年にかけて、伊予市郡中で小谷屋友九郎により、清朝磁器を模した郡中十錦という、砥部焼の素地に上絵付けを施したやきものが作られました。今回の特別展では、友九郎が伊豫稲荷神社に奉納した郡中十錦の徳利一対を展示していますので、その色鮮やかなやきものをご覧ください。
 現在のところ、郡中十錦の考古学的な調査が進んでいないため、写真の製品がどこの十錦なのか不明ですが、松山藩の武家屋敷で十錦手のやきものが出土していたことが明らかになったことは、当時のやきものの流通を考える上で重要です。