展示予告「異界・妖怪大博覧会」3―百鬼夜行絵巻1―

5月 18日 金曜日

 これは当博物館で所蔵している「百鬼夜行絵巻(ひゃっきやぎょうえまき)」という江戸時代に描かれた絵巻物で、さまざまな妖怪が登場します。

 妖怪たちが列をなして夜中に歩きまわる様子のことを「百鬼夜行(ひゃっきやぎょう)」といいますが、この絵巻物の最初の場面では、「青鬼(おに)」と「赤鬼(あかおに)」が走っています。

 つぎに、その鬼に追いかけられるように、さまざまな妖怪が描かれています。これらの妖怪の多くは、鍋(なべ)や釜(かま)といった昔の生活で使っていた道具をもとにして、ふしぎな姿に表現されています。そして妖怪たちがユーモラスに行進し、絵巻の最後の場面は、赤くかがやく物体が描かれていますが、これは夜明けの太陽とも、仏の力で発せられた火炎ともいわれ、それに妖怪たちが追い立てられて逃げ惑う姿で終わっています。

 この絵巻物に描かれた妖怪には、天狗(てんぐ)や河童(かっぱ)といった、よく知られた妖怪はでてきません。そのほとんどは、古い道具が変化した妖怪です。道具も、大切に使わないと妖怪となるという考え方があったのです。

 愛媛でも「ノガマ」という妖怪の言い伝えがあります。草を刈る鎌(かま)を大切に使わず、野原に置きっぱなしにすると「野鎌(ノガマ)」という妖怪になって、そこを通る人を斬りつけてしまうという言い伝えです。これも、もともとは道具を大切にしようという一種の教訓といえます。

 この絵巻物からは、昔の人々が、道具は大事に扱うべきであり、道具にもたましいが宿ると考えていたことがわかります。

 7月10日からの企画展「異界・妖怪大博覧会」では、この絵巻を全場面展示公開する予定ですが、予告も兼ねて、この絵巻に描かれている妖怪の画像を今後、数回にわたって紹介していきたいと思います。

※企画展『異界・妖怪大博覧会―「おばけ」と「あの世」の世界―』は、愛媛県歴史文化博物館で7月10日(火)~9月2日(日)まで開催します。