
これは、伊予市にある伊予稲荷神社所蔵の山姥金時(やまんばきんとき)の絵です。金時とは昔話でも有名な「金太郎」のこと。実は、丹波国大江山(今の京都府)にすんでいた鬼「酒呑童子(しゅてんどうじ)」を退治した四天王の一人坂田公時(さかたのきんとき)の幼名なのです。
金太郎の母親は、足柄山(今の神奈川県)の山姥(やまんば)とされます。元は八重桐(やえぎり)という名前で、京都の坂田蔵人(くろうど)の妻でしたが、蔵人が自害してしまい、八重桐は、故郷の足柄山の山姥となり、金太郎を産んだといいます。
江戸時代の軍記物『前大平記』によると、山姥が山上で眠っていると、夢で竜が雷鳴とともに訪れ、目覚めると身ごもっていた。それが金太郎であったといいます。
成長した金太郎は、足柄山で熊と相撲をとったりするなど、母に孝行する元気な子供に育ち、そののち、足柄峠を通った武将の源頼光(みなもとのよりみつ・らいこう)と出会い、家来となって京都にのぼって頼光四天王の一人となります。そして大江山(京都府)に住む酒呑童子を退治したのです。
金太郎に関する伝説は、江戸時代に浄瑠璃(じょうるり)や歌舞伎(かぶき)の題材としても取り上げられ、広く庶民に親しまれました。
なお、本画は江戸時代後期の画家で岸派の祖とされる岸駒(がんく)の作で、伊予市の有形文化財に指定されています。