展示案内特別展・テーマ展 詳細

テーマ展「宇和島藩領の遍路道」

 四国八十八箇所霊場を巡る遍路道は、総延長が約1400kmにも及ぶ長大な巡礼の道です。「四国八十八箇所霊場と遍路道」の世界遺産登録を目指して、四国4県では遍路道の調査が継続的に進められ、文化財的な価値が高い道については国史跡に指定されています。このように古道としての景観をとどめる一部の遍路道については保全・保護が図られていますが、その一方で、旧遍路道の多くは、モータリゼーションの発達とともに国道や主要地方道としてアスファルトの下に埋もれるか、廃絶されて別の用途の土地に変わっている現状にあります。したがって、四国遍路が大衆化した江戸時代にさかのぼって、遍路道の姿をとらえるのは容易ではありません。
 本テーマ展では、宇和島藩が作製した絵図を用いることで、江戸時代の失われた遍路道を追跡します。なかでもデジタル出力により初公開する「宇和島藩領色分絵図」は、延宝4(1676)年に宇和島藩士八十島治右衛門が作製したもので、宇和島藩領の村々の耕地が一村ごとに色分けされています。山野河海などの地理情報とともに、主要な街道が朱線で示されており、それらを読み解くことで、江戸時代前期の遍路道のルートに迫ることができます。また、江戸時代後期の村の測量図からは、遍路道を取り巻いていた周辺環境が浮かび上がります。
 なお、当館では今回展示した絵図も含めて、収蔵する絵図の高精細画像をインターネット上で御覧いただけるデジタルアーカイブを3月末に公開予定です。本展がきっかけとなり、絵図のデジタル画像を片手にしながら遍路道を歩く新たな試みが誕生することを期待します。

展示概要

会場
愛媛県歴史文化博物館 文書展示室
会期
2021年2月11日(木・祝)~3月14日(
開館時間
午前9時~午後5時30分(展示室への入室は午後5時まで)
観覧料
  大人
(高校生以上)
高齢者
(65歳以上)
小・中学生
常設展観覧料 520円
[420円]
270円
[220円]
無料
[無料]
※[]内は20名以上の団体料金
休館日
開催期間中の休館日:2月15日(月)、2月22日(月)、3月2日(火)、3月8日(月)
開館日カレンダーはこちら

展示構成

  • (1)宇和島藩領色分絵図
  • (2)予土国境の松尾坂
  • (3)灘道の柏坂
  • (4)難所の篠山道
  • (5)合流地点の祝森村
  • (6)宇和島藩の遍路統制
  • (7)東多田番所
  • 宇和島藩領色分絵図
    延宝4(1676)年
    当館蔵
  • 篠山権現
    (「宇和島藩領色分絵図」部分)
  • 東多田番所
    (「宇和島藩領色分絵図」部分)
  • 遍路道の合流地点にある庚申堂
    (「祝森村絵図」部分)