昨年度のブログで、当館では“土器”や“埴輪”などの立体パズルを数多く持っていることを紹介いたしましたが、今回のテーマ展「発掘 南予の遺跡 Part3-考古収蔵庫に眠る南予の宝-」の会場には、そのうち6つの立体パズルを置いています。
その内訳は、縄文土器2つ、弥生土器1つ、鶏形埴輪1つ、近世陶磁器2つで、縄文時代~江戸時代における多様な立体パズルが一堂に揃っています。このなかには担当者も唸るほどの大変難しいパズルもありますので、ぜひ一度チャレンジしてみて下さい。
Archive for the ‘常設展おすすめ情報’ Category
考古展示室に土器パズル大集合!!
2016年5月1日常設展示室(中世)の展示替え~村上海賊と現代の創作作品~
2016年4月30日昨日の記事で紹介したとおり、村上海賊に関するストーリーが「日本遺産」に認定されるなど、近年、村上氏をはじめとする瀬戸内海の海賊衆の歴史が高い注目を集めています。
村上海賊の活動の足跡は、現代の創作物にも影響を与えており、村上氏や瀬戸内海の海賊衆をモチーフにした多くの小説・コミックや映像などの作品が生み出されています。
今回の展示替えでは、いつもの歴史史料とは視点を変えて、展示室内にミニコーナーを設け、当博物館が制作に協力した、または当館に関連する以下の4作品を展示紹介しています。
尼子騒兵衛氏作『落第忍者乱太郎』(朝日新聞出版)
忍者のタマゴたちが主人公のアニメ「忍たま乱太郎」の原作です。ギャグを基調としつつ、入念な時代考証により室町・戦国時代の世相を反映した世界観に貫かれています。作中に登場する「兵庫水軍」は、村上海賊がモデルで、その活動の実態が色濃く反映されています。乱太郎たちが船道具を持っている、第40巻の表紙を置いてみました。
「船中の四功 山立・鬼蜘蛛丸」(『落第忍者乱太郎』より)
尼子騒兵衛氏作・寄贈
『落第忍者乱太郎』作中に登場する「兵庫水軍」は村上海賊の活動をモデルとしており、本作は兵庫水軍のキャラクターの一人、鬼蜘蛛丸を描いたものです。山立(やまだち)とは航海の責任者を指します。2014年、当博物館での特別展開催を記念して制作・ご寄贈いただきました。
和田竜氏作『村上海賊の娘』(新潮社)
和田竜氏による長編歴史小説。天正4年(1576)第一次木津川口合戦における能島村上氏の村上武吉の娘が描かれています。第35回吉川英治文学新人賞、第11回本屋大賞受賞。瀬戸内海の海賊衆に関する詳細な時代考証が施されており、多くの史料が小説に反映されています。
原作 和田竜氏・漫画 吉田史朗氏 作『村上海賊の娘』(小学館)
和田竜氏による長編歴史小説『村上海賊の娘』の漫画化作品です。当博物館は村上水軍博物館(今治市)とともに取材協力しており、当展示室で常設展示している戦国末期の小早や安宅船模型を資料の一つとし、軍船や船戦に関する緻密な描写がなされています。
本展示室では、戦国期の軍船「小早」「安宅船」模型をはじめ、海賊衆に関する歴史史料が数多く展示されています。
今回新たに設けてみたミニコーナーとあわせてご覧いただくことで、それぞれの作品世界や、戦国期の瀬戸内海で躍動した村上海賊について理解を深めるきっかけとなれば幸いです。
テーマ展「発掘 南予の遺跡 Part3-考古収蔵庫に眠る南予の宝-」の開幕!
2016年4月28日 先日の4月23日(土)から “えひめいやしの南予博2016”の関連イベントとして「発掘 南予の遺跡 Part3-考古収蔵庫に眠る南予の宝-」と題したテーマ展が開幕いたしました。
「発掘 南予の遺跡」展は、これまでにも平成18~19年度と同23~24年度に実施しており、本展が3回目の開催となりますが、今回は、当館が収蔵している発掘調査による出土品はもちろんのこと、これまで当館に寄贈・寄託いただいた南予地域関連の貴重な資料も展示しています。こうした考古資料を通して、南予地域の歴史を再発見していただければと思います。
また、昨年度に実施した考古資料相互活用促進事業で、東京国立博物館と奈良国立博物館へ貸出していた考古資料についてもあわせて展示していますので、是非、この機会にご鑑賞下さい。
本展は、考古展示室を会場にして、平成29年2月26日(日)まで開催しております。常設展示室の一部ですので、常設展示観覧料が必要(小中学生は無料)となりますが、ぜひ見にいらして下さい。
四国遍路展示室 展示替えしました!
2016年1月21日常設展示室「四国遍路」(民俗展示室3)の展示替えを実施しましたのでお知らせします。
今回、展示替えしたコーナーは「四国遍路の盛行」、「近現代の四国遍路」、「ミニ霊場」、「巡礼の歴史」。各コーナーでは、下記の館蔵資料を新たに展示しました。
■常設展示に加わった資料
<四国遍路の盛行>
・四国徧禮(へんろ)絵図(江戸時代)
・江戸時代のお遍路の所持品(納経帳、札挟み、四国中御宿入用控、四国順拝日付帳、文政11〈1828〉年)
<近現代の四国遍路>
・写真パネル「四国霊場第15番恩山寺」、「四国霊場第40番観自在寺」(『四国霊場名勝記』より、明治42〈1909〉年)
・戦前のお遍路の所持品(納経帳、納札、札箱、手甲、脚絆、さんや袋、記念写真、郵便葉書、昭和11〈1936〉年)
・講中札「永代大師講」(明治時代)
・講中札「千人講」
<ミニ霊場>
・『御府内八十八ヶ所道知るべ』
(慶応2〈1866〉年)
<巡礼の歴史>
・西国順礼道中絵図(江戸時代)
江戸時代に伊予国篠山道周辺で刷られた四国遍路絵図、明治後期の四国霊場の様子を記録した写真集『四国霊場名勝記』、江戸時代と昭和(戦前)のお遍路の所持品、四国八十八ヶ所霊場の巡拝を目的として結成された代参講の資料(講中札)、江戸時代の御府内 (江戸)に設けられた四国霊場の案内記、四国遍路に大きな影響を与えた西国三十三所巡礼の道中絵図など、貴重な資料を展示しました。この機会に多くの方にご覧いただければ幸いです。
テーマ展「松山城下図屏風―城下町から近代都市へ―」開幕!
2015年12月22日本日12月22日(火)から、テーマ展「松山城下図屏風―城下町から近代都市へ―」が開幕しました。
「松山城下図屏風」を公開するとともに、関連資料から城下町松山の姿、明治以降に近代都市として成長を遂げていく松山の歩みなどを紹介します。
この機会にぜひご覧ください!
会期 2015年12月22日(火)~2016年1月31日(日)
展覧会の詳細はこちら
テーマ展「松山城下図屏風―城下町から近代都市へ―」まもなく開幕!
2015年12月18日愛媛県歴史文化博物館では、12月22日(火)から1月31日(日)まで、テーマ展「松山城下図屏風―城下町から近代都市へ―」を開催します。
本展示では、「松山城下図屏風」を中心に、松山城主であった加藤家、蒲生家、久松松平家に関わる資料、古絵図などの関連資料も交えて城下町松山の姿を紹介するとともに、明治以降、城下町を基盤としながら近代都市として成長を遂げていく松山の歩みについても、吉田初三郎による鳥瞰図、古地図、古写真によりたどります。
現在、展示作業は順調に進み、「松山城下図屏風」も無事展示ケースにおさまりました。
開幕前にもかかわらず、すでに取材も入りました。
約300年前の城下町松山を詳細に描いた屏風、見る人それぞれにいろんな発見があると思います。
「松山城下図屏風」、この機会にぜひお見逃しなく!
会期 2015年12月22日(火)~2016年1月31日(日)
展覧会の詳細はこちら
博物館で冬のくらしをみてみよう
2015年12月2日 師走になり、めっきり寒くなりました。博物館でも冬支度です。
11月の終わりには当館ボランティアさん3名とともに愛媛県歴史文化博物館の民俗展示室2において展示替えを行いました。
まずは、復元家屋の海のいえ、里のいえ、山のいえ、それぞれの食事模型をお正月料理のものに展示替えしました。
こちらは丹原町の農家をモデルに復元した里のいえでの様子です。
お正月やお祭りなどハレの日にだけ膳にあがる白米やお雑煮など、二段の箱膳に乗り切らないほどのお正月料理を並べていきます。
食事模型の展示替えでのポイントはお昼ごはんを食べた後に作業をすること。
リアルにできている模型ですので、お昼前に作業をするとおなかがすいてくるほどです。
現代のおせち料理にも見られる、数の子や昆布を使った料理、お雑煮もありますので、比べてみるのもおススメです。
次に、海のいえの座敷で見ることができる冬の道具が「夜着(よぎ)」です。
きもののような形をしていますが、布団のように夜眠る時に使う寝具です。
この資料はお客様用の夜着ですので、華やかな色合いをしています。また襟や首のあたる部分にはビロードが使われており、暖かく眠るだけでなく肌触りも考えられています。
「夜着」のような昔の道具を実際に体験できるのは博物館では「特別」のこと。
普段は申し訳ありませんがご遠慮いただいております。
しかし!夜着をはじめとした昔のくらしを「知る」だけでなく「体験」もできるイベント「昔のくらし探検隊♪冬のくらし編」が新春のれきはくイベントで行われます。
小学校3年生の社会科では「昔の道具とくらし」を学校で学びます。火鉢やこたつなど冬の道具の仕組みや、番傘やオイコなど時代劇や教科書に出てくる昔の道具に博物館で出会うことができますので、ぜひおいでください。
「昔のくらし探検隊♪冬のくらし編」
学芸員とめぐるれきはく内探検ツアー!昔のくらしってどんな感じ?
日時 :1月3日(日)13:30~(一時間程度)
集合場所 :総合案内付近
参加費 :常設展チケット(当日券)が必要(中学生以下は無料)
*受付は13:00から行います
新春の博物館でお待ちしています。
常設展示室(中世・近世)を展示替えしました。
2015年11月6日当館の常設展示室では、多くの資料を展示していますが、貴重な博物館資料の保存ならびに公開のため、随時展示替えを行っています。
さる11月4日(水)の休館日、特別展「四国遍路と巡礼」の展示替えにあわせ、歴史展示室2(中世)と歴史展示室3(近世)の展示替えも行いました。
どんな資料が展示室に登場したのでしょうか・・3点ご紹介します。
「西禅寺文書」【愛媛県指定有形文化財】のうち
宇都宮蓮智(貞泰)寄進状
観応3年(1352)
西禅寺所蔵/当館寄託
西禅寺(大洲市)は南北朝初期に瀧ノ城(大洲市)城主津々木谷(つづきや)行胤が創建したとされる禅宗寺院です。西禅寺文書には創建当初の観応3年(1352)年の寄進状(きしんじょう)や置文(おきぶみ)にはじまり、天正8年(1580)年の津々木谷信房寄進状にいたるまでの17通がおさめられています。今回展示したのは、観応3年(1352)6月15日、西禅寺を創建した津々木谷氏の主家宇都宮蓮智(貞泰(さだやす))が、西禅寺興隆のための費用として毎年33貫600文を寄進することを書き残したものです。
「宇和郡石城・竹城絵図」【初公開です!】
文政2年(1819)
当館蔵
宇和島市吉田町に位置する石城(せきじょう)と竹城を描いた絵図です。石城は、吉田湾に流れ込む立間川と河内川に挟まれた御殿山(ごてんやま)に築かれた山城で、江戸時代、石城の南麓に伊予吉田藩の陣屋が築かれました。
両城は確実な中世文書には登場しませんが、江戸時代前期に作られた軍記『清良記』には、多くの合戦の舞台となった旨の記載が登場します。
絵図では中央に「石城」「竹城」と記し、絵図下部には、両城の高さや距離などが記されており、文政期の伊予吉田藩の測量術についても知ることができます。
「両替道具」(針口天秤、銭升、銭箱、大小板)【初公開です!】
江戸時代
個人蔵/当館寄託
両替をする際に用いた道具類です。時代劇などでも目にすることがあります。江戸時代には、金、銀、銭の3種類の貨幣が流通していたため、取引をするうえで両替は重要でした。両替時の計量に用いたのが、分銅を使って正確に量ることができる針口天秤で、両替天秤とも呼ばれました。貨幣の枚数を正確、迅速に数えるために、板に小さな枠を設けた銭升という道具も使われていました。このほか、銭や小判を収納するための銭箱や、取引の月締めに重要な月末日を間違えないために大の月(30日)・小の月(29日)を示すのに用いた看板も展示しています。初公開です!
このほかにも、さまざまな展示資料を入れ替えるとともに、少し解説を見直したり、展示の見せ方を変えてみたりしました。
当館にご来館の際は、ぜひ常設展示室にも足を伸ばしてみてくださいね。
石塔パズル(テーマ展「石手寺周辺を掘る!」)
2015年10月24日愛媛県の考古資料が東京国立博物館と奈良国立博物館へ(考古資料相互活用促進事業③)
2015年10月22日今回の考古資料相互活用促進事業において、当館が国立博物館よりお借りした資料は、「道後今市出土の平形銅剣」と「石手寺経塚出土品」であることは、先日のブログ内で紹介してきたとおりですが、本事業は、相互の考古資料を常設展示として交換展示・公開することを目的としていますので、当然、当館からも東京国立博物館と奈良国立博物館に資料を貸出す必要があります。
そこで、まず当館が東京国立博物館に貸出した資料が、松山市宮前川遺跡群出土の弥生土器・土師器・祭祀遺物(卜骨・土製品)など弥生時代~古墳時代初頭の出土品です。そして、奈良国立博物館へ貸出した資料が、西条市真導廃寺跡出土の古代瓦・奈良二彩と、今治市別名端谷Ⅰ遺跡出土の銅印(奈良~平安時代)です。
これらの考古資料は、それぞれ平成27年12月上旬~平成28年3月頃まで展示される予定ですので、公開中に東京国立博物館や奈良国立博物館を訪れた際は、愛媛の考古学をアピールしている彼らの雄姿をぜひ見てあげて下さい。