調査・研究えひめの歴史文化モノ語り

第117回
2022.5.15

高速化50年 考える機会

四国特急新設 記念入場券

彩り豊かな記念入場券。1972(昭和47)年発行。
 1972(昭和47)年3月15日、新幹線の岡山開業にあわせて、四国初の特急列車が登場した。今回は、国鉄が発行した高松駅の記念入場券を紹介する。
 入場券は4枚組で、3枚が30円の大人用、1枚が10円の小人用である。封筒には山陽新幹線を図柄にした「鉄道100年記念」切手が貼られ、「宇和島駅前 47.3.15」の消印が押されている。入場券には、①新幹線・宇高連絡船・181系特急 ②主要都市間の所要時間 ③特急「しおかぜ」(高松―松山・宇和島) ④特急「南風」(高松―高知・中村)がデザインされ、両特急を四国の自然美が体感できる「パノラマ特急」とアピールしている。
 特急「しおかぜ」は、高松―宇和島を2往復、高松―松山を1往復し、最速で高松―宇和島を4時間34分、高松―松山を2時間41分、松山―宇和島を1時間50分で結んだ。当時、急行「うわじま」(高松―宇和島8往復、松山―宇和島1往復)、急行「いよ」(高松―松山5往復)の平均所要時間は、高松―宇和島が約5時間36分、高松―松山が約3時間12分、松山―宇和島が約2時間19分。特急列車はまだ便数が少なかったものの、四国内だけではなく中国・阪神方面との高速化を図った。
 特急「しおかぜ」は7両編成で、1両がグリーン車、4両が指定席車、2両が自由席車であった。最高時速は95km/h(1987年から110km/h)。途中の停車駅は、新居浜、今治、松山、伊予大洲または八幡浜の4駅であった。その後、特急「しおかぜ」は停車駅を増加させながら、1986(昭和61)年にステンレス製の185系を、1990(平成2)年に制御付振り子車両の2000系を本格的に導入し、1993年に初代の181系は現役を退いた。現在、特急「しおかぜ」は電化されて岡山―松山を結んでいる。
 今年(2022年)は四国に特急列車が登場して50年になる。現在、四国では新幹線の実現に向けた取り組みが行われている。これを機会に四国における鉄道の高速化や電化の歴史、人やモノの流れを振り返り、将来の在り方を考えてみてはどうだろうか。

(専門学芸員 平井 誠)

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