「回想法」という言葉をご存知ですか?
過去のことを思い出したり、自分の体験を話すことにより、脳を活性化させるもので、介護予防のプログラムとして期待されています。
今回、宇和島市社会福祉協議会が主催された傾聴ボランティア講座、「回想で元気づくり講座」におじゃまして、博物館の資料を使った回想法のデモンストレーションを行いました。
道具を使ったことのある方、使ったことはないけど見たことはある方、見たことも聞いたこともない方、メンバーには色々いらっしゃいますが、お互いに説明したり、教えてもらったりしながら話は弾みます。
例えば湯たんぽなど、お湯を入れて温める人、ブリキの湯たんぽ自体を火にかけて温めた人、使い方は一つではないので、話が広がります。

豆炭あんかです。見た瞬間「懐かしい」と声があがりました。
20分ほどのデモンストレーションが終了後、話の内容やすすめるにあたっての態度など回想法の注意点について、心理士である講師の先生からアドバイスを頂きました。
さて次は、参加者の皆さんの実践です。月組、星組、花組と華麗な名前のついたグループに分かれて、博物館の資料である昔の道具を使いながら、懐かしいお話を始めます。6~8人の少人数の中で、リーダー、補佐を決めたのですが、誰がリーダーだったかわからないくらい話が盛り上がる組ばかりです。
アルミのお弁当箱を選んだ組では、「冬はストーブでお弁当を温めたわ」「ふたにお茶を入れて飲むのよ」「お弁当のおかずはイカの佃煮が懐かしい」など、お弁当の中身から使い方まで、どんどん思い出話があふれてきました。
自分の思い出話をするだけでも楽しいものですが、他の人の話を聞いて、また思い出してお話して・・・という会話のキャッチボールが回想法では大切になります。
その回想法の中で、実物資料である昔の道具が果たす役割は小さくありません。
愛媛県歴史文化博物館の常設展示では、昭和初期の大街道を復元した町並みを歩いたり、牛鬼や太鼓台など愛媛の祭りを見たり、実物大の農家におじゃまして昔のくらしをのぞいていただくことができます。懐かしい風景や、昔の道具を見ながら、楽しい思い出を語り合うことで、脳をイキイキ、笑顔で楽しい時間をすごしていただけます。
さらに遠方でなかなか博物館にご来館いただけない方のために、貸出用資料パックを現在準備中です。来春登場予定のその名も「れきハコ」には、回想法のお手伝いをする「昔のくらしパック」のほかに、「弥生のくらしパック」や、「祭りパック」、「民話パック」などがございます。
今回の講座では「れきハコ」を実際に試していただき、博物館としてもよい機会となりました。この講座での経験を踏まえてよりよい「れきハコ」にすべく改良を重ねていきたいと思っております。
脳をイキイキ、元気で楽しく毎日を過ごすために、ぜひ博物館をご利用下さい。お待ちしております。